アリババ、日本製品の拡大へ 「LST」へ参加呼び掛け
アリババグループは4日、東京都内のホテルで日本企業向けに中国・東南アジア市場で展開する自社プラットホームの説明会を開催した。アリババの販売力は、11月11日の「シングルデー」に1日で3兆6000億円を売り上げるEC(電子商取引)サイト「天猫(Tモール)」が注目されるが、同社の中核戦略である「ニューリテール」はオンラインにとどまらない。リアルの食品スーパーとECの仕組みを融合させた「盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)」だけでもない。説明会でフォーカスした項目の一つが、地方都市・農村部の小規模小売店130万店以上が参加するプラットホーム「LST」で、Tモール以上に日用品の販売に適した仕組みとして日本企業の参加を呼び掛けた。
LSTは、地方のパパママストアに情報システムと物流のインフラを提供するB2Bの仕組みだ。会場ではライオンの掬川正純社長やUHA味覚糖の山田泰正社長が登壇、主要都市だけでなく地方の販路拡大につながるLSTでの取組み事例を紹介した。
アリババグループが提供するのは商流・物流だけでなく、クーポン配信など販促ツールも備えている。メーカーはリアルタイムで更新されるマーケティングデータを参照しながら施策を打てる。
アリババグループのダニエル・チャンCEOは、2023年までに同社による海外製品の輸入額を約22兆円とする方針の下、中国・東南アジア市場における日本製品の優位性を指摘した。
「シングルデーの売上げは日本が3年連続で輸入の1位だ。日本製品への信頼は高く、都市部だけでなく地方にも市場拡大の余地は大きい。若年人口が多い東南アジアでもグループ会社のLAZADAを通じてプラットホームを整えており、中国と同様に日本製品への関心は高い。さらに欧州、その他の地域にもビジネスを広げていく」(チャンCEO)
説明会には国内企業約170社、300人以上が参加した。(宮川耕平)