全国清涼飲料連合会、RB異物低減へ実証実験 プラ資源循環加速 異業種と連携強化

飲料 ニュース 2021.08.04 12271号 01面
河野敦夫専務理事(中央)、白石和弘自販機部長(同(右))ら

河野敦夫専務理事(中央)、白石和弘自販機部長(同(右))ら

実証実験で使用するキャップ・ラベル分別回収ボックス(左)と新機能リサイクルボックス21年度モデル

実証実験で使用するキャップ・ラベル分別回収ボックス(左)と新機能リサイクルボックス21年度モデル

 全国清涼飲料連合会(全清飲)は、プラスチック資源循環を促進する新たな取組み「自動販売機リサイクルボックス 異物低減プロジェクト2021」(RFRプロジェクト)を開始する。新機能を搭載した自動販売機のリサイクルボックス(RB)を使用し、異物混入の低減や質の高いPETボトルの回収・散乱防止、キャップやラベルの分別検証–などの実証実験を、業界の垣根を越えた異業種連携によって行う。今回のプロジェクトの検証結果を踏まえ、RBへの“異物混入の低減”などがクリアされたら、新機能RBを22年秋に業界統一仕様にするなど、PETボトルの回収現場から始めるプラスチック資源循環を加速させていく。(本吉卓也)

 今回のプロジェクトのポイントとなるのが、異業種との連携だ。2日に東京會舘(東京都千代田区)で開催した記者説明会で、河野敦夫専務理事は「『ボトルtoボトル』などPETボトルの資源循環を進めていくためには、自動販売機からの確実な使用済みPETボトルの回収ときれいな状態で回収することが不可欠となる。ただ、RBの中身は約3割が空容器以外の異物であることが課題となっている。そこで、連携するパートナーを拡大し、業界の枠を超え、課題解決に取り組む」と語った。

 同プロジェクトでは、農林水産省の支援や日本たばこ産業の啓発協力に加え、RB最大手のアートファクトリー玄と協業し、投入口が見えないなどの新機能RBを開発した。実際の回収現場の差配はオペレーター業界の日本自動販売協会と協働する。カーボンニュートラルを進めるために、キャップ・ラベルの分別回収や再商品化の検証のため、ラベルのトップメーカーのフジシールインターナショナル、キャップのトップメーカーの日本クロージャーと手を組み、課題解決に取り組む。

 白石和弘自販機部長は「RBはゴミ箱ではなく、リサイクルのための回収ボックスであることを訴求していく。異物を低減することで、リサイクル現場での分別作業の効率化が図られ、売上げ減少による処理コスト拡大を減少し、働き方改革につながる労働環境改善にも貢献できる取組みとなる。今後も行政や自治体、他業界などの連携を強化し、消費者への啓発を促進していく」と語った。

 なお、今回の実証実験は農林水産省の支援を受け、地方中核都市の静岡県浜松市で8月23日~9月19日、地方都市の愛知県岡崎市で9月13日~10月10日に行われる(各40ヵ所で予定)。また、9月27日~12月14日に三重県津市で「ペットボトル協働回収モデル事業実証実験」受託によって100ヵ所(予定)で行う。これらは20年11月に東京都渋谷区で実施した「RB異物低減」実証実験に次ぐ取組みとなる。渋谷区の実験では、異物数が48%減、異物混入割合が43%から29%へ改善したことから、新たに地方都市で実証実験を試み、比較検討を行うものだ。

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