日本でPRを開始した豪州米、品質と安定供給強調 開放後はシェア2%狙う

日本のコメ市場をめぐってこれまでアメリカ側は、新多角的貿易交渉の中で扱うという姿勢であったが、クリントン政権では、日米二国間交渉に持ち込まれるものと見られており、まだまだコメ市場の開放をめぐる問題は当分の間続きそうな気配である。3月のFOODEXでは、オーストラリアン・ライス生産者組合が展示参加をすれば、4月に行われた’93グレート・アメリカン・フードショー大阪では、USAライスカウンシルが教育参考展示をするなどひと足お先にPR戦が静かに開始されている。そこで「オーストラリアン・ライス」の日本のコメ市場について、どのような展望をしているのか見ることにした。

オーストラリア・NSW(ニューサウスウェールズ州)リートンのオーストラリアン・ライス生産者組合が3月の幕張メッセでのFOODEXに参加したのは今年で三回目。

「私たちがFOODEXに参加したのは、日本の人達にとって、オーストラリアのコメは大変ユニークで魅力あるものであることをぜひ知っていただきたいと考えているからです」と同組合・ジム・ケネディ理事長はコメントしている。そして、「日本のコメ市場が外国米に開放される暁には、オーストラリアン・ライス生産者組合では日本市場の約二%程度の日本人の舌を満足させることのできる、高品質かつ安全なジャポニカ種のコメを、長期かつ安定的に供給したいと考えています」と、コメ自由化後には二%のシェアを狙いたいとも付け加えている。

さらに、オーストラリアン・ライスの特性を次のようにあげた。

オーストラリアのコメがユニークなのは第一にもともと日本から導入した種をもとにしたジャポニカ種であり、日本と同じように一年一回の収穫だが、北半球の日本とはまったく逆の季節にコメが収穫されるという点。

第二は厳格な品質管理プログラムと効率的な生産方法および最新技術を駆使した貯蔵流通システムの活用によって、品質や安全性について特に厳しい基準が必要な日本の消費者にも、将来、十分満足してもらえるコメやコメ加工品を供給できる点である。

第三は、オーストラリアの水田はNSW州の米作地帯は砂漠のはずれに位置する広大な乾燥地帯にあり、そのためコメに特有な虫や病気が発生しにくいため、農薬、殺虫剤や除草剤をほとんど使う必要がなく、四年から七年の輪作によって土地の自然な富養化をはかれること。

第四にNSW州の米作地帯であるリバリナ地域は防疫地域に指定されており、外からのムシや病源虫の侵入が防がれている点。

第五はオーストラリアン・ライス生産者組合はコメの生産から集荷、精米、加工、パッケージング、梱包、出荷と一貫して携わっているところから、消費者に対して最高の品質の商品を提供できる点である。

このオーストラリアNSW州では九二年、九三年の収穫年にそれぞれ一〇〇万tのコメを生産、そのうち九〇万tが世界六〇ヵ国に向けて輸出されており、外貨の重要な稼ぎ手である。

最後に「オーストラリアのコメは日本の最高品種米にかないませんが、味の点からみても“ネクスト・ベスト”の位置を占めるものと信じています。私は日本の人達に、地球の反対側に、日本にルーツをもつ、日本人がおいしいと思う安全性の高いコメが作られていることを知っていただき、それによって日豪の経済的・文化的結びつきが、より一層強くなることを願ってやみません」とケネディ理事長は日本の食品業界に対してメッセージを送っている。

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