第58回食品産業功労賞受賞者決まる 業界発展の功績たたえ16氏顕彰

表彰 総合 2025.09.10 12995号 01面
7月29日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で開かれた第58回食品産業功労賞選考委員会

7月29日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で開かれた第58回食品産業功労賞選考委員会

左から近藤雅之氏、小野真紀子氏、石川紳一郎氏

左から近藤雅之氏、小野真紀子氏、石川紳一郎氏

左から杉野哲也氏、島崎利博氏、佐々木茂喜氏

左から杉野哲也氏、島崎利博氏、佐々木茂喜氏

左から大久保慶一氏、吉田正子氏、中土忠氏

左から大久保慶一氏、吉田正子氏、中土忠氏

左から亀井創太郎氏、大見英明氏、山木一彦氏

左から亀井創太郎氏、大見英明氏、山木一彦氏

左から大神輝博氏、中野義久氏

左から大神輝博氏、中野義久氏

左から三國清三氏、片岡護氏

左から三國清三氏、片岡護氏

部門別受賞者数

部門別受賞者数

【選考委員】左から大河原愛子氏、歌田勝弘氏、浅野茂太郎氏、櫻庭英悦氏

【選考委員】左から大河原愛子氏、歌田勝弘氏、浅野茂太郎氏、櫻庭英悦氏

【選考委員】左から佐々木淳一氏、國分勘兵衛氏、小路明善氏、垣添直也氏

【選考委員】左から佐々木淳一氏、國分勘兵衛氏、小路明善氏、垣添直也氏

【選考委員】左から今野正義本紙会長、茂木友三郎氏、正田修氏

【選考委員】左から今野正義本紙会長、茂木友三郎氏、正田修氏

 ◆選考委、満場一致で選出 11月4日贈呈式

 日本食糧新聞社制定第58回(令和7年度)食品産業功労賞は、11月4日午後3時から東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で贈呈式が開催される。今回は生産部門8氏、技術部門2氏、流通・情報部門3氏、外食・中食部門1氏、国際・食文化部門2氏の16人が受賞する。第58回食品産業功労賞選考委員会は7月29日午後3時から同ホテルで開かれた。全国8地域30人の既受賞者による推薦制度に基づき、業界や地区活動において選考基準にかなう候補者の推薦があり、選考委員会に上程された。それらの方々を含めて斯界(しかい)の権威である選考委員による慎重な討議の結果、今回の受賞者が満場一致で選出された。食品産業功労賞は日本食糧新聞創刊25周年を記念し、わが国食品産業界の発展と隆盛に大きく貢献し、偉大な功績を残してきた功労者の顕彰を目的として、昭和42(1967)年に農林水産省後援の下に制定。第58回までに生産部門で365人、技術108人、流通・情報202人、外食・中食40人、国際・食文化部門6人、特別賞19人の累計740人が受賞している。(安田陽子)

 ◆食品産業功労賞 選考委員(敬称略)

 ▽委員長=櫻庭英悦(農林水産省食料産業局元局長/高崎健康福祉大学特命学長補佐・客員教授)

 ▽選考委員=浅野茂太郎(明治ホールディングス元社長)、歌田勝弘(味の素元社長)、大河原愛子(デルソーレ前代表取締役会長)、垣添直也(ニッスイ元社長)、小路明善(アサヒグループホールディングス会長)、國分勘兵衛(国分グループ本社代表取締役会長兼CEO)、佐々木淳一(日本アクセス取締役会長)、正田修(日清製粉グループ本社名誉会長相談役)、茂木友三郎(キッコーマン取締役名誉会長・取締役会議長)、今野正義(日本食糧新聞社代表取締役会長)

 ◆第58回食品産業功労賞受賞者

 〈生産部門〉

 ●石川紳一郎氏(いしかわ・しんいちろう)

 ソントン食品代表取締役社長=1954年5月28日生まれ、東京都出身。78年3月東京農業大学農学部醸造学科卒業。81年2月ソントン食品入社。製造、開発、営業での経験を経て、89年6月取締役東京営業部長、92年4月常務取締役東京支店長、93年4月専務取締役営業本部長、同年12月ソントン食品代表取締役に就任。

 社長就任後は94年の石岡工場建設をはじめ、和田山農産設立(2002年)、やくらいフーズ新工場(06年)、大阪新工場(12年)、中央研究所建設(17年)などを進め事業基盤を強化し、売上げを約100億円拡大させた。28年には、茨城県笠間市に新工場稼働予定。海外は14年にインドネシアに進出し事業を拡大中。12年にMBOを実施し、翌年ホールディングス化。分社化を経て今年3社を吸収合併し「ソントン食品」に改称した。

 業界活動では、06~14年フラワーペースト工業会会長、94年日本ジャム工業組合副理事長(現職)と要職を務め、食文化普及に尽力している。

 ●小野真紀子氏(おの・まきこ)

 サントリー食品インターナショナル代表取締役社長=神奈川県出身。1982年東京外国語大学外国語学部卒業、同年サントリー入社。2010年サントリー酒類(現サントリー)執行役員、20年Orangina Suntory France(現サントリー食品フランス)CEO、23年サントリー食品インターナショナル代表取締役社長就任。

 同社初の女性社長として23年に就任して以降、海外事業やサステナビリティに関する豊富な経験や知見を生かしグローバル企業としての成長を推進している。ハーゲンダッツジャパンマーケティング本部長時代は「クリスピーサンド」の発売に貢献。サントリー食品フランスCEO時代には、フランス人以外で初のCEOとして着任した。フランス駐在中にコロナ禍を経験したことが組織作りや人財育成の考え方の構築につながり、SBFグループで採用する「生活者起点」の価値観を基盤に事業拡大に取り組む。

 ●近藤雅之氏(こんどう・まさゆき)

 ニップン特別顧問=1954年2月10日生まれ、東京都出身。1978年3月早稲田大学政治経済学部卒業。同年4月日本製粉(現ニップン)入社。2006年執行役員経理・財務本部経理グループ長、07年取締役執行役員経理・財務本部副本部長、09年常務取締役常務執行役員経理・財務部長、10年取締役常務執行役員、16年代表取締役専務執行役員、16年代表取締役社長社長執行役員、20年特別顧問(現職)。

 社長就任直後から、多角的食品企業として冷食・中食・ヘルスケア・海外事業の成長分野で拡大を図るとともに、基幹事業のさらなる筋肉体質強化の実現を目指し、経営のかじを取る。成長戦略として、ローコストオペレーションの推進によって製粉と食品の事業基盤強化に取り組み、競争力強化と収益力向上を図った。

 その中で、当時では業界最速の80秒でゆで上がる「オーマイ 超早ゆでサラダマカロニ」などを販売した。冷食事業では、時代に先駆けた1食完結型家庭用冷凍食品「オーマイ よくばり御膳」を投入。現在の環境に配慮したワンプレート商品の基盤をつくった。公職として製粉協会会長就任時は、主原料の小麦の安定供給と業界の発展に貢献した。

 ●佐々木茂喜氏(ささき・しげき)

 オタフクホールディングス会長=1959年7月28日生まれ、広島県出身。82年広島修道大学商学部卒業。同年オタフクソース入社。96年取締役大阪支店長、99年取締役東京支店長、2002年専務取締役技術生産本部長、03年専務取締役営業本部長、05年代表取締役社長。15年オタフクHD代表取締役社長、24年会長(現職)。公職は広島経済同友会代表幹事(17~21年)、広島県観光連盟会長(17年~現任)など。

 佐々木氏は学生時代からオタフクソースでアルバイトをし、大学卒業後入社。生産管理や商品開発に従事。大阪や東京の支店長、営業本部長、生産本部長などを歴任し、05年同社6代目社長に就任した。佐々木氏はフラッグシップ商品「お好みソース」を発展させ、オタフクソースを中核に国内6社、海外3社のお多福グループを形成。国内外で日本の食文化の普及に注力している。15年オタフクHD社長に就任。グループ全体を統率、支援している。

 ●島崎利博氏(しまさき・としひろ)

 小川製麺所代表取締役社長=1949年6月5日生まれ、山形県出身。72年商工組合中央金庫入行。日本生産性本部への出向などを経て、82年小川製麺所入社。2010年代表取締役社長に就任(現職)。

 1887年創業の小川製麺所(山形市)の4代目社長。「とびきりそば」「味のそば」などの市販用乾麺の製造、販売を通じて、山形そばの全国への普及、知名度向上に寄与した。北海道、山形の国産そば粉の使用を推進。食塩を使わない独自の製法にこだわり、そばの香りを最大限に引き出すなど、品質重視のものづくりが高く評価されている。

 1993年に国内最大の乾燥室を備えた4階建ての本社工場を建設。機械製麺による品質の安定化に努めた。2017年には品質管理、安全認証に特化した国際規格「FSSC22000」と「ISO9001」を取得。「品質競争は繁栄への道、価格競争は破滅への道」という先々代の教えを引き継ぎ、職人育成、技術継承に取り組んでいる。

 ●杉野哲也氏(すぎの・てつや)

 スギヨ代表取締役社長=1952年3月2日生まれ、福井県出身。75年成蹊大工学部卒業後、76年スギヨ入社。84年同社専務、86年米国法人スギヨUSA社長、88年から現職。

 72年に先代会長の杉野芳人氏と開発チームが生み出した世界初のカニカマを進化させ、2004年にズワイガニの雌の再現を目指した最高級カニカマ「香り箱」を発売。その独自の発想力と技術力に加え、地元産の水産物の活用や雇用の創出など地域に根差した活動が評価され、スギヨは第45回農林水産祭の天皇杯を受賞した。

 現在、すり身や水産加工にとらわれず、農業などにも取り組んでいる。また能登半島地震後は七尾商工会議所会頭、石川県食品協会会長として、官公庁を含め関係各所と連携しながら能登全体の復興に向けて取り組みを続けている。

 能登半島地震からの工場復旧にめどが立ったことで、次のステージである復興を加速させるために若返りを図り、9月26日付で代表取締役会長に就任する予定。

 ●中土忠氏(なかつち・ただし)

 ドンク代表取締役社長執行役員=1960年1月6日生まれ、富山県出身。84年ドンク入社。98年北陸事業所所長、2005年営業本部部長、06年執行役員、07年取締役、10年常務取締役、13年代表取締役、17年代表取締役社長執行役員に就任。

 ドンクは創業当時から本場の製パン技術の習得に力を入れ、1965年より本格的なフランスパンを製造・販売している。中土氏は国内での店舗拡大のみならず、海外展開も積極的に推進。海外でも、日本と同じ品質と味を追求しており、現地に合わせた製法変更は行わないというこだわりを持つ。

 また、商品だけでなく「文化を届けられる企業」となることを目指しており、フランスパンに加え、イタリアの伝統発酵菓子「パネトーネ」の普及にも尽力し、イタリアの食文化を日本に伝えた功績が評価され2015年に「伊日食文化賞」を受賞した。日本フランスパン友の会、会長の要職を長く務め、フランスの食文化の啓蒙に尽力するとともに、国内パン職人を海外製パンコンテストに派遣し業界全体の人材育成に貢献している。

 ●吉田正子氏(よしだ・まさこ)

 アンデルセン・パン生活文化研究所元代表取締役社長=1954年8月3日生まれ、広島県出身。81年3月タカキベーカリー入社。2001年3月アンデルセン取締役。04年6月アンデルセン・パン生活文化研究所取締役副社長。06年4月アンデルセン代表取締役。13年4月アンデルセン・パン生活文化研究所代表取締役社長。15年4月代表取締役社長を退任。

 吉田氏は、セルフ販売方式やパンの冷凍生地など革新的な取り組みで業界の常識を変革し、新たなパン市場を創造したアンデルセングループの創業家出身。06年にアンデルセン社長、13年にはグループ全体を統括するアンデルセン・パン生活文化研究所の社長に就任し、デンマークを手本とした「パンのある暮らし」の提案とパン文化の普及に尽力。また、ショコラティエ「ジャン=ポール・エヴァン」の店舗展開により日本の高級チョコレート市場を開拓。女性の活躍推進にも力を注いでいる。

 〈技術部門〉

 ●大久保慶一氏(おおくぼ・けいいち)

 ヤマダイ代表取締役社長=1956年5月22日生まれ、茨城県出身。80年一橋大学経済学部卒業後、東食(現・カーギル東食)を経て、83年4月にヤマダイ入社。85年2月常務取締役、92年2月取締役副社長、99年6月代表取締役社長に就任(現職)。

 社長就任の2年後、価値追求型の「ニュータッチ 凄麺」を商品化。10年以上の開発期間を経て、2001年10月29日に第1号商品「これが煮玉子らーめん」を発売した。量産化に向け、従来の即席麺製法ではなく、専門店と同様に麺を「ゆでる」工程にこだわり、独自のノンフライ麺製法(特許取得)を開発した。同ブランド専用の新工場「坂東ファクトリー」の建設など、ブランド立ち上げから20年を超えた現在も、製法を常に見直し続けている。

 全国のご当地麺を再現した「ニュータッチ 凄麺 ご当地」シリーズにおいて、自治体や地元ラーメン団体などと連携体制を確立。地元の声を数多く反映し、商品作りや合同イベントなどを通じ、ご当地麺文化の盛り上げに取り組む。

 ●山木一彦氏(やまき・かずひこ)

 理研ビタミン取締役会長=1959年2月3日生まれ、宮城県出身。83年東北大学農学部卒、同年理研ビタミン入社。中国室室長、加工用食品営業第4部長を経て、2006年執行役員、08年天然エキス調味料事業推進部長、10年取締役業務用食品営業本部長、14年常務取締役、16年代表取締役社長、25年取締役会長(現任)。

 創業以来の「天然物の有効利用を図る」というポリシーの下、独自技術を活用し、家庭用では「ふりかけるザクザクわかめ」「インドカレー屋さんの謎ドレッシング」「割るだけスープ」などヒット商品を連発し、成熟市場に新風を呼び活性化。業務用においては「三陸産わかめ唐揚げ」、沖縄勝連産もずく使用の「もずくキムチ(冷凍)」の開発など海藻事業のリーディングカンパニーとして産地の活性化および海藻類の新需要創出に貢献した。また、改良剤事業では海外市場の開拓への方針を定め、海外売上げ大幅増を果たした。19~23年には学校給食用食品メーカー協会会長を務め、食育などの推進にも尽力した。

 〈流通・情報部門〉

 ●大見英明氏(おおみ・ひであき)

 生活協同組合コープさっぽろ理事長、日本生活協同組合連合会副会長=1958年12月10日生まれ、愛知県出身。82年北海道大学教育学部卒業後、コープさっぽろに入協。旗艦店舗のルーシー店長、水産部長、生鮮本部長、常勤理事商品本部長など役職を経て2007年理事長に就任。今年6月日本生活協同組合連合会副会長、22年から小樽商科大学商学部特任教授を務める。

 コープさっぽろを98年の経営破綻から立て直し、今日の事業成長へと導いてきた。日本生協連から緊急融資とトップ受け入れで再建を進めた10年後の07年、生え抜きで若手幹部だった同氏が理事長に就任し自主再建へとかじを取る。宅配事業拡充とともに、自ら開発を手掛け現在も店舗の基本コンセプトになっている「おいしいお店」を核にしたSM競争力強化を切り札に、成長路線への流れを築いた。

 買い物困難者対応や学校給食の民間受託などにも尽力、地方行政が抱える課題解決型組織として全道の道民生活を支える。「縮充と可能性の追求」をテーマに、共助支援、事業創造で地域貢献する方向性を貫いている。

 ●亀井創太郎氏(かめい・そうたろう)

 カメイホールディングス代表取締役会長兼社長=1950年4月7日生まれ、熊本県出身。73年一橋大学卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て、82年3月亀井通産に取締役企画部長として入社。85年常務取締役、87年取締役社長。2007年8月カメイホールディングスを発足させ会長兼社長として現在に至る。

 1869年に乾物問屋として創業した会社の5代目となり経営の近代化に尽力。フルライン・フルファンクションを掲げ、全温度帯の食品を取り扱うよう努力した。コロナ禍前までは県内食品卸の業界団体「親熊会」の会長として、流通上の課題解決や教育研修にまい進した。

 持ち株会社の傘下には事業会社として食品卸、運輸業、システム開発があり、それぞれに地域密着・地域貢献を目指し活動している。近年は地方において高齢化や過疎が進んでいることから買い物難民を解消することを重視。現在は「肥後の赤・薩摩の黒」という食文化と観光振興キャンペーンを推進するなどにより、熊本県の「くまもと『食』の大地親善大使」を務めている。

 ●中野義久氏(なかの・よしひさ)

 ヤマナカ代表取締役社長=1956年5月12日生まれ、愛知県出身。79年慶應義塾大学法学部卒業後、米国マサチューセッツ州のハブソンカレッジ大学院でMBAを取得、82年修了。東一東京青果で3年間勤務した後、85年ヤマナカ入社。店舗での現場経験を積み、88年に商品統括部商品企画室長を務め、90年に取締役に就任した。

 97年、父である先代社長が叙勲祝賀会の席で急逝したことを受け、急きょ社長に就任(現職)。同年、名古屋の地で初の本格的高質スーパーマーケット「フランテ」業態を構築。「より美味しい、より自然に、より健康に、より便利に」をキーワードに、従来のレギュラー店舗とは一線を画す上質な商品提供を実現してきた。さらに2023年には「商品・生活・店内に3つの潤いを提供する店舗」をコンセプトに、新ブランド店舗「フランテ・ロゼ」を立ち上げた。

 現在はオール日本スーパーマーケット協会副会長、日本スーパーマーケット協会理事、睦経営研究会会長、東海スーパーマーケットビジネスフェア代表幹事などを務め、流通業界の発展に尽力している。

 〈外食・中食部門〉

 ●大神輝博氏(おおがみ・てるひろ)

 モンテローザ代表取締役会長兼社長=1950年1月18日生まれ、大分県出身。75年東京・新宿歌舞伎町にパブレストラン「モンテローザ」を開店、83年に同社を設立し、東京・中野に第1号店「白木屋」を開業。「魚民」「笑笑」「目利きの銀次」など、居酒屋業態を中心に外食の多角ブランド展開を精力的に推進し、チェーン居酒屋の多様化、活性化に大きく貢献した。同社が展開する居酒屋は「サラリーマンが日々のストレスを発散し活力を養う場」として支持され、98年には売上高1000億円、同社設立30年の2013年には総店舗数2000店を達成した。コロナ禍による苦境を経て、現在は売上高564億円(25年3月期実績)、グループ総店舗数847店舗、31業態を展開している(25年8月末時点)。

 08年に開始した国内農業生産事業は居酒屋業態としては先駆的な取り組みで、同社の運営店舗では現在、自社グループの養鶏場で生産された鶏肉を使用している。

 〈国際・食文化部門〉

 ●片岡護氏(かたおか・まもる)

 「リストランテ アルポルト」オーナーシェフ=1948年9月15日生まれ、東京都出身。「つきぢ田村」で日本料理を研修し、68年日本領事館総領事付き料理人としてイタリア・ミラノに渡る。現地の名店に通い詰めて料理修行を重ね、73年帰国。東京・代官山「小川軒」、東京・南麻布「マリーエ」の料理長を務めた後、83年に東京・西麻布「リストランテ アルポルト」を開店。同店は日本における本格イタリア料理の草分け的存在として注目を集める。片岡シェフの手掛ける料理は「一皿のアート」と絶賛され、パスタ料理の名手としても名高い。

 レストランプロデュース、メディア出演、料理教室、イベント、食育活動など多方面で活躍。卓越した料理技術と気さくな人柄でイタリア料理の魅力を広め、国内のイタリア料理文化浸透に多大な貢献を果たした。2015年現代の名工を受章、20年一般社団法人日本イタリア料理協会会長に就任、21年には黄綬褒章を受章。

 ●三國清三氏(みくに・きよみ)

 ソシエテミクニ代表取締役=北海道増毛町出身。15歳から札幌グランドホテルでコック修業を開始。勤勉さが評価され18歳で東京の帝国ホテルに転勤。20歳の時、650人のコックの中から選抜され駐スイス大使館の厨房に転勤。4年勤務後、仏料理の鬼才、フレディ・ジラルデに師事。アラン・シャペルなど三つ星レストランの修業を経て帰国。85年、東京・四谷に「オテル・ドゥ・ミクニ」を開業後、世界各国で「ミクニフェスティバル」を多数開催するなど「世界のミクニ」をブランド化。事業多角化に乗り出し、仏料理の発展をリードした。

 公職では各種団体の要職を通じて後進の育成に手腕を発揮。また、国産食材に関する諮問委員やPR大使を多数務め、地域産品の価値向上と消費拡大に貢献した。2013年仏国のフランソワ・ラブレー大学から名誉博士号を授与、15年仏国からレジオン・ドヌール勲章シュバリエを受勲。前者は世界で4人の料理のみ、後者は日本人の料理人初の栄誉。07年現代の名工受章、25年黄綬褒章受章。

 ◆第58回食品産業功労賞受賞者名(部門別・五十音順・受賞理由)

 〈生産部門〉

 ●石川紳一郎氏(ソントン食品代表取締役社長)

 ▽多彩・多様な商品開発・業務用事業拡大貢献

 ▽ジャム・フィリング市場普及拡大貢献

 ▽国内外促進展開・関係組織運営振興貢献

 ●小野真紀子氏(サントリー食品インターナショナル代表取締役社長)

 ▽大規模企業女性社長、多様・独自性等推進貢献

 ▽環境・社会課題等積極対応持続貢献

 ▽多様な生活者対応・商品開発等社会貢献

 ●近藤雅之氏(ニップン特別顧問)

 ▽無漂白紙トレー採用・海洋プラごみ削減貢献

 ▽冷凍ワンプレート、先駆・食多様化推進貢献

 ▽製粉協会会長等全国業界団体運営発展貢献

 ●佐々木茂喜氏(オタフクホールディングス会長)

 ▽粉物文化普及・日本食文化継承推進貢献

 ▽環境・地域・食支援等社会活動普及貢献

 ▽和食の魅力研究発信・海外普及推進貢献

 ●島崎利博氏(小川製麺所代表取締役社長)

 ▽品質重視・乾麺地場産業活性化貢献

 ▽山形蕎麦普及・そば文化普及拡大貢献

 ▽機械製麺確立、職人育成技術継承貢献

 ●杉野哲也氏(スギヨ代表取締役社長)

 ▽革新的カニカマ開発・水産業界技術貢献

 ▽地域農業法人設立等地元食文化振興貢献

 ▽商工会議所会頭・能登半島地震復興貢献

 ●中土忠氏(ドンク代表取締役社長執行役員)

 ▽リテイルベーカリー市場活性化育成貢献

 ▽海外出店活動・パン文化普及拡大貢献

 ▽仏・伊パン等欧州食文化啓蒙推進貢献

 ●吉田正子氏(アンデルセン・パン生活文化研究所元代表取締役社長)

 ▽日本初導入・デニッシュ販売普及拡大貢献

 ▽セルフ式導入、販売革新・利便性向上貢献

 ▽冷凍パン生地製造開発、効率的生産体制貢献

 〈技術部門〉

 ●大久保慶一氏(ヤマダイ代表取締役社長)

 ▽乾麺・即席麺等・国内普及拡大貢献

 ▽乾麺・即席麺生産技術向上推進貢献

 ▽ご当地ラーメン・認知普及啓蒙貢献

 ●山木一彦氏(理研ビタミン取締役会長)

 ▽独自技術活用、成熟市場活性化貢献

 ▽海藻類産地活性化・新需要創出貢献

 ▽改良剤事業推進、海外市場拡大貢献

 〈流通・情報部門〉

 ●大見英明氏(生活協同組合コープさっぽろ理事長)

 ▽宅配サービス拡充・地域生活支援貢献

 ▽給食事業参画・学校食質向上推進貢献

 ▽物流強化・インフラ基盤構築促進貢献

 ●亀井創太郎氏(カメイホールディングス代表取締役会長兼社長)

 ▽地域密着・九州食基盤卸売促進貢献

 ▽多彩な商品展開で地域商品開発普及貢献

 ▽地元食材活用・独自商品提供地域貢献

 ●中野義久氏(ヤマナカ代表取締役社長)

 ▽地域価値創造企業、経営刷新率先推進貢献

 ▽店舗刷新・組織改革等経営革新貢献

 ▽流通業界先進的改革リーダー推進貢献

 〈外食・中食部門〉

 ●大神輝博氏(モンテローザ代表取締役会長兼社長)

 ▽外食産業拡大等ブランド多角化貢献

 ▽自社農場食品安全等自給体制確立貢献

 ▽飲食業・地域振興と人材育成等貢献

 〈国際・食文化部門〉

 ●片岡護氏(リストランテ アルポルトオーナーシェフ)

 ▽本格伊料理店の草分け・伊料理普及貢献

 ▽褒章受章・総合料理文化発展等推進貢献

 ▽食育普及推進・未来世代食文化継承貢献

 ●三國清三氏(ソシエテミクニ代表取締役)

 ▽日本市場フランス料理革新・発展貢献

 ▽国際的食文化交流価値向上推進貢献

 ▽先進的食育活動等普及推進拡大貢献

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