トマトの営農支援にAIを活用 カゴメとNECが欧州で新事業

営農指導員がデバイスを使用し、生産者に指導している様子

営農指導員がデバイスを使用し、生産者に指導している様子

カゴメは日本電気(NEC)と共同で、4月から、主に欧州のトマト1次加工品メーカーに向け、AI(人口知能) を活用した営農支援事業を開始した。センサーや衛星写真によるトマトの生育状況や土壌の状態を可視化するサービスとAIを活用した営農アドバイスサービスの販売となる。今後、国内での展開も見据え、4月中旬より茨城県、宮城県、岩手県の産地にて検証を予定しているという。

このサービスは、熟練栽培者のノウハウを習得したAIが、水や肥料の最適な量と投入時期を指示することで、農家にとっては栽培技術に左右されず、収穫量の安定化と栽培コストの低減を実現できるなど、地球環境に優しい持続可能な農業の支援に向けた取り組みとなる。

加えて、トマト1次加工品メーカーにとっては、このサービスを活用することで、自社圃(ほ)場や契約農家の圃(ほ)場におけるトマトの生育状況を網羅的に把握することができるため、客観的なデータに基づいた最適な収穫調整が可能となり、生産性の向上が図れるものとなる。

カゴメは主にトマト1次加工品メーカーに対して可視化サービスと営農アドバイスサービスを販売し、トマト1次加工品メーカーは両サービスを用いて、トマト生産者の営農支援を行うというビジネスモデルとなる。

営農指導者に向け用意されたポータル画面

同事業を開始した背景は、加工用トマトの生産は、新興国を中心とした人口増加や経済成長に伴い今後も拡大が見込まれるなか、生産者の減少や環境負荷低減への対応などさまざまな課題に取り組む必要があるため。

カゴメとNECは2015年から技術開発に着手し、2019年までにポルトガル、オーストラリア、アメリカなどさまざまな地域で実証に取り組んできた。2019年にポルトガルの圃(ほ)場で行ったAI営農実証試験では、熟練栽培者の栽培とほぼ同等の結果となり、事業化のめどが立ったことで開始に至ったという。

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