アイルランド産ホエイ、日本市場向け輸出が伸長基調 プレミアム成分で差別化
アイルランド産ホエイの日本市場向け輸出が伸長基調だ。2023年は世界の乳製品市場が弱含みした中、同国産の対日輸出規模は拡大。ホエイはバターとともにけん引役となった。アイルランド政府食糧庁(ボード・ビア)は欧州連合(EU)との協力キャンペーンを通じて、同国産ホエイの価値訴求を進める。グラスフェッド(牧草飼育)で高栄養価のプレミアムホエイとして差別化を進め、さらなる伸長余地が期待される。
23年に日本に輸出された同国産乳製品は約1万7000t。前年比12%増と堅調に推移している。内訳を見ると、底堅い伸びが続くチーズに加え、バターとホエイが大幅に増加。ホエイは167.2%増と急成長している。
同国産のホエイは、グラスフェッド乳牛からの供給が強み。同国のTeagasc(農業開発局)とFood for Health Ireland(FHI)による近年の研究で、グラスフェッドの生乳はオメガ3脂肪酸や共役リノール脂肪酸(CLA)を多く含み、飽和脂肪酸を最低レベルに抑えるといった高い栄養価を実現していることが明らかになった。ホエイについても、入手可能な動物性タンパク質の中で最も優れた栄養のあるものの一つとして、アスリートや健康志向の人などの間で人気を獲得。プロテインバーやシェイクなど、さまざまな機能性食品・飲料にプレミアム成分として組み込まれている。
そうした高い付加価値を持つグラスフェッドホエイを支えるのが、国を挙げて取り組むサステナビリティプログラム「オリジングリーン」だ。同プログラムで保証された高い安全性とサステナビリティは世界的にも支持されており、今やアイルランド乳製品は約130ヵ国の市場で評価されている。
日本でも、ボード・ビアとEUの協力キャンペーン「ヨーロピアン乳製品fromアイルランド」のサポートを得ながら、明確に差別化された特徴をさらにアピールしていく方針。各業界の知見に基づいた強力なパートナーシップを発揮し、市場浸透と需要拡大が期待されている。(小澤弘教)