新型コロナ:ファンケル、マスク不足解消へ 事業参入に中国の協力
ファンケルが12日から参入したマスク販売事業は、中国・北京に本拠を置く国有企業・中国国際医薬衛生有限公司(国薬国際)との絆で誕生した。さらにこのマスクを全国の医療関係者や保育施設に寄贈するなど、社会貢献活動につなげている。今後、顧客や株主からも寄付を呼び掛け、マスク不足解消に向けた支援の輪を広げる考えだ。
同社と国薬国際との縁は、17年に中国市場での健康食品販売代理店として契約を締結したことに端を発し、翌18年に越境ECでの販売をスタートさせた。
今年に入って2月、武漢の新型コロナウイルス感染拡大に際し、同社は国薬国際にマスク13万7200枚、防御服3000着、保護ゴーグル2000個、手袋6000個などを支援した。
一転3月、日本でも感染が拡大しマスク不足が顕在化したことを受け、今度は国薬国際が同社直営店舗従業員の感染予防に役立ててほしいと、5万枚のマスクを寄贈した。
同社は、マスク不足に困っている顧客にも届けようと、国薬国際に仲立ちの可否を打診したところ、迅速かつ確実に入手できるよう、国薬国際が代金を立て替え調達したことで、速やかな販売が可能となった。
一方同社は、マスク不足が続く医療や保育の現場への寄贈を決定。まず、厚生労働省の新型コロナウイルス対策本部を通じて、医療機関に高機能マスク(国薬国際から調達)を1万枚、日本保育協会を通じて、全国の保育所に不織布マスクを10万枚の寄贈を決定した。
日本保育協会への寄贈費は、同社員が社会貢献に活用するため、毎月積み立てている「もっと何かができるはず基金」から100万円を拠出し、不足分を同社が補う。多くの従業員が、保育園の恩恵に浴しているだけに、日頃の感謝の気持ちを込める。
日本保育協会山内五百子女性部長は「保育園はこの状況下でも、休園することなく保育を続けている。貴重なマスクを提供してもらい、大変心強く、勇気付けられる」とコメントしている。(佐藤路登世)