ライスペーパー急拡大 インフルエンサー多様な用途発信 家庭へ定着
サラダ惣菜メニューとして定着する生春巻きだが、皮に使われるライスペーパーの需要が家庭にも定着し、大きく拡大している。人気インフルエンサーが発信する多様な食材を巻き込んだり、トッピングして作るお好み焼きやギョウザ、ピザなどのほか、ライスペーパーのみを巻いたトッポギ、たたんで餅(もち)菓子に見立てスイーツとして食べるなど、メニューや用途が広がっていることが背景にある。(佐藤路登世)
ライスペーパーは米粉やタピオカ粉をシート状に加工したベトナムの食材で、最も販売量の多いユウキ食品では前期(5月期決算)、金額ベースで前年比73.8%も伸長。国内企業で唯一、NB商品を製造・販売するケンミン食品の出荷数量も今上期(3~8月)、コロナ前の19年上期と比べ3.4倍、18年比約4倍まで拡大し過去最高を更新。同社がホームページ上で発信する使い方や戻し方についてのアクセス数が急増した3月は、1月比5倍以上に上った。
時系列で見ると、21年にライスペーパーで作るトッポギが韓国で話題となり、日本に飛び火。22年にダイエット食として登場し、SNSでバズったことを機に3月、TVの人気番組で取り上げられブレーク。4月には店頭から商品が消える事態に陥った。
その結果、TikToK上半期トレンド大賞、DELISH KITCHENやCOOKPADの食トレンド大賞を相次ぎ受賞した。
急激な需要増に対応し、ユウキ食品は仕入れ先の現地メーカーを見直すほか、選別人員を増強するなど対策を講じた。ケンミン食品もタイ工場の製造ラインを1.7倍に増強し、増産体制を整えた。
POSデータを基にユウキ食品が分析した結果では、エスニックカテゴリー商品はコロナ禍の巣ごもり需要で20年に大きく拡大し、その後反動減があったものの、23年は前年比23%増とV字回復を遂げた。けん引役がライスペーパーで、トップシェアを占めるカレー類の売上げを上回ったという。
今回の需要増に対しユウキ食品では「今まで何度か人気サラダメニューとして生春巻きブームはあったが、今回は明らかに異なり、コメへの関心の高まりを背景にコメ加工品として認識されている」としている。ケンミン食品では「一過性のブームではなく、需要は一段階上のステージに上がった」とし、今後に掛ける期待は大きい。