大手食品卸、「普段食」開拓などプロテイン強化 新たな需要創造へ

卸・商社 ニュース 2019.07.01 11901号 01面
三菱食品「からだシフト」のタンパク質シリーズは、第1弾の糖質コントロールと併せてSM店頭で集合陳列されるケースも増えている(ライフ相模大野店)

三菱食品「からだシフト」のタンパク質シリーズは、第1弾の糖質コントロールと併せてSM店頭で集合陳列されるケースも増えている(ライフ相模大野店)

大手食品卸はプロテイン(タンパク質)市場への対応を強化する。シニアやシルバーをはじめタンパク質摂取の重要性が幅広い層に認知が進み、今秋のラグビーW杯、来年の東京五輪大会開催と2年連続のスポーツイヤーを背景に、関連市場の拡大が見込まれるためだ。卸は市場課題を想定した商品開発や販促提案のバリエーション強化などを進め、新たな需要創造へ努めていく。

最大手の三菱食品は市場の有望性に着目しつつも、「商品の大半は粉末プロテインが占め、普段食に使えるものが少ない」(同社)と課題を指摘。2月から健康軸のマスターブランド「食べるをかえる からだシフト」の第2弾としてタンパク質シリーズを投入し、普段食の開拓に乗り出した。

プロテイン配合のカレーや米飯、スープ、中華惣菜などの日常的なメニュー12品を幅広く揃えたことで、SM店頭ではブランドの集合陳列も進むなど手ごたえを得ている。今後、SNSや啓もうイベントを通じて、消費者認知度のアップに努めていく方針だ。

伊藤忠食品は昨年から「アスレチックフード」の切り口でSMや百貨店にタンパク質のMD提案を進める一方、自社開発商品を軸にした対応を強化。

昨秋発売したプロテイン強化型の粉ミルク「おとなのミルク習慣プレミアム」で高齢者層のロコモ予防などを訴求するとともに、9月からスポーツ習慣のある若年層をメーンターゲットにした小容量の飲料「プロテインショット」を投入する。「秒速チャージ」をコンセプトに飲みやすさを訴求し、競合するバーやゼリーと差別化を図っていく考えだ。

国分グループは低温分野の自主開発商品などを通じ、タンパク質の提案を強化。6月末に東京で開催したグループ展示会ではギリシャヨーグルトや肉まん、甘酒などを用い、主婦やシニアといった生活者など六つのクラスター別に最適なメニューを提案する新たな試みを紹介した。

従来、プロテインといえばアスリートや強度の高いトレーニングを行う層のものと思われていたが、タンパク質は筋肉をはじめ体の基礎を構成する重要な栄養素と認知度が高まり、最近は高齢層のロコモ対策やフィットネスに励む若い女性層などへユーザーの拡大が進む。世代やシーン別に使いやすい商品の拡大を進めることによって、市場のさらなる活性化も見込めそうだ。=関連記事12~15面(篠田博一)

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