FABEX2022:コロンバン・小澤俊文社長 危機管理と生き残りで講演 変化に応じた方針転換も

再建に向けた施策について説明する小澤俊文氏

再建に向けた施策について説明する小澤俊文氏

◆デザート・スイーツ&ベーカリー展 プレゼンテーションステージ

コロンバンの小澤俊文代表取締役社長は14日、「デザート・スイーツ&ベーカリー展」のセミナーで「中小企業の危機管理と生き残り」をテーマに講演を行った。三和銀行(現三菱UFJ銀行)出身の同氏が2006年の社長就任時に、同社は長年の業績不振に苦しんでいた。そこで銀行時代の経験を生かし、現状を徹底的に分析。その後、具体的な改善策を次々に実行し、再建への確実な道筋をつけた。そして、コロナ禍でも自己資本を毀損(きそん)することのない盤石な経営体質になるほどの再建を果たしている。

コロンバン(東京都渋谷区)は、日本人で初めて菓子製造視察研究のためにフランスに渡った門倉國輝氏が1924年に創業した歴史の長い企業。小澤氏が企業再生のためにまず着手したのは、販路拡大に向けた施策だった。

同氏は「就任当時は、売上げの85%を百貨店に依存しており、いつ倒産してもおかしくなかった」とし、この百貨店依存体質からの脱却を目指すため、駅構内でも販売できる焼菓子「東京サクサクチョコ」を自ら企画開発。同氏自ら試食販売を行うなど、積極的なPRを行った結果、1ヵ月間、完売が続くヒット商品となった。

同時に、売上げが予測しにくい従来の販売方法も見直した。そこで、既存品「フールセック」のパッケージを変更。大学や企業の名前など、希望の印字をクッキーや缶蓋に入れられるようにしたことで、入学や式典などの行事で定期的に安定した売上げが作れる商品への転換に成功した。

こうした商品の利益を工場設備に投資。13年には、最新鋭の設備が揃った埼玉工場(埼玉県加須市)を新たに稼働させるまでに至った。

なお、同社は自社ビル屋上(同)で養蜂を行っている。そこで採取されたはちみつ「原宿はちみつ」を使ったバウムクーヘン「原宿バウム 欅(けやき)」や「原宿はちみつプレミアムマーブルケーキ」など、従来の良い商品に新しい価値を加えることで、商品のバリエーションを広げ、さまざまなニーズを取り込むことに努めている。(宇佐見勇一)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

書籍紹介