第40回食品ヒット大賞決まる 令和初、3年ぶり大賞「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」
◆優秀ヒット賞23品、ロングセラー賞5品が受賞
日本食糧新聞社制定、令和3年度「第40回食品ヒット大賞」および「第35回新技術・食品開発賞」の受賞商品が決まった。食品ヒット大賞にはアサヒビールの「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」が選出された。亀井昭宏選考委員長は「圧倒的な推薦件数と選考委員全員の強力な支持による受賞で、わが国食品業界の先行きに明るい希望の光を投げ掛けた」と評価した。食品ヒット大賞の選定は3年ぶりで、令和初の受賞となる。優秀ヒット賞23品、ロングセラー賞5品が受賞した。贈呈式・祝賀会は来年2月17日午後4時からホテルニューオータニ(東京)で行われる。(安田陽子)
コロナ禍でテレワークへの対応、飲食店では人数制限や営業自粛など行動が抑制される中、消費者の「飲食店で飲んでいた生ビールの味が忘れられない、家でも飲みたい」という声に応えた「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」が食品ヒット大賞に選出された。開栓するだけで料飲店に近い生ビールが味わえる初めての缶ビール。ジョッキを思わせる缶の蓋をほぼフルオープンとし、缶内部に泡が湧き出る仕掛けを施して飲み終わるまできめ細やかな泡が続く、家飲みスタイルを大きく変える商品だ。
ヒット賞では、ウィズコロナで家での滞在時間の増加などライフスタイルの変化に対応した商品が受賞した。その中には引き続き、舌の肥えた消費者を魅了する「本物志向」を求める声に応える商品が多く、お湯をかけるだけ、電子レンジでチンするだけで専門店の味に触れられ、「健康性」「簡便性」にさらに磨きをかけている。「健康」では、総合的に体のケアを意識した商品からターゲットを絞った商品と消費者の目的に合わせた選択肢を持たせている。
ロングセラー賞では、「軒並み高得点の食品が続出し、選考に戸惑うほどだった」(亀井委員長)と表されるほど、消費者に愛され息の長い昭和、平成生まれの商品が選ばれた。
令和3年度「第40回食品ヒット大賞」選考委員会は11月24日、ホテルニューオータニ(東京)で開催された。全国の有力小売、卸など90社のモニター企業に推薦を依頼、67(回答率74.4%)からの回答があった。ノミネートされた商品について慎重かつ厳正な選考審査を行って決定した。
〈選考委員〉▽委員長=亀井昭宏早稲田大学名誉教授▽委員=岡本均伊藤忠食品代表取締役・社長執行役員、京谷裕三菱食品代表取締役社長、國分勘兵衛国分グループ本社代表取締役会長兼CEO、佐々木淳一日本アクセス代表取締役社長・社長執行役員、田中正昭日本酒類販売代表取締役社長、柴田幸介三井食品代表取締役社長、今野正義日本食糧新聞社代表取締役会長CEO
◆食品ヒット大賞
・「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」 アサヒビール
◆優秀ヒット賞(部門別、社名五十音順)
〈一般加工食品部門〉
・「一蘭 とんこつ」 一蘭
・「にんにく背脂」 エスビー食品
・「クラフトボス 抹茶ラテ」 サントリー食品インターナショナル
・「創味ハコネーゼ」シリーズ 創味食品
・「カップヌードルPRO 高たんぱく&低糖質」 日清食品
・「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」 日本コカ・コーラ
・「ひろし」 三島食品
・「スープも味わうしゃぶしゃぶ」シリーズ Mizkan
〈酒類部門〉
・「SPRING VALLEY 豊潤<496>」 キリンビール
・「サッポロ 濃いめのレモンサワー」 サッポロビール
・「パーフェクトサントリービール」 サントリービール
〈チルド食品・フローズン食品部門〉
・「かじるバターアイス」 赤城乳業
・「ザ★ハンバーグ」 味の素冷凍食品
・「大阪王将 羽根つきスタミナ肉餃子」 イートアンドフーズ
・「ビヒダス ヨーグルト 便通改善」 森永乳業
・「Yakult(ヤクルト)1000」「Y1000」 ヤクルト本社
〈菓子・パン部門〉
・「無限エビ」 亀田製菓
・「マロッシュ」 カンロ
・「KOIKEYA The」シリーズ 湖池屋
・「日清シスコのホットシリアル」シリーズ 日清シスコ
・「ケロッグ オートミール」 日本ケロッグ
・「カントリーマアムチョコまみれ」 不二家
・「ヤマザキ マリトッツォ」 山崎製パン
◆ロングセラー賞(発売年)
・「ホットケーキミックス」(昭和32年) 森永製菓
・「ブルドック 中濃ソース」(昭和41年) ブルドックソース
・「江戸むらさき ごはんですよ!」(昭和48年) 桃屋
・「野菜生活100」シリーズ(平成7年) カゴメ
・「〓〓(カリー)屋カレー」(平成11年) ハウス食品
【動画】ヒット食品が生まれた背景を記者が解説
令和3年度「第40回食品ヒット大賞」(日本食糧新聞社制定)が決まった。3年ぶりの大賞選出は食品業界の明るい未来を予測しているといえよう。生活者がコロナ禍に翻弄されはや2年。急変するニーズをうまく汲み取りながら誕生した食品群が今回の受賞につながっている。しかし状況への素早い対応だけがヒットのポイントではない。「ヒット大賞」となった「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」は、既成概念を打ち破る“技術革新”があってこその話題性だった。構想から4年、発売と自粛生活のタイミングが重なる偶然も何かの運命か。2021年度らしさを反映した「優秀ヒット賞」製品について、月刊「食品新製品トレンド」武藤麻実子編集長が解説をする。