第55回食品産業功労賞受賞者決まる 生産8・技術1・流通6・外食2人を顕彰

総合 ニュース 2022.09.14 12466号 01面
8月3日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で開かれた第55回食品産業功労賞選考委員会

8月3日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で開かれた第55回食品産業功労賞選考委員会

左から小高愛二郎氏、河邉哲司氏、伊藤秀二氏

左から小高愛二郎氏、河邉哲司氏、伊藤秀二氏

左から野並直文氏、長南収氏、下嶋正雄氏

左から野並直文氏、長南収氏、下嶋正雄氏

左から門脇清和氏、盛田淳夫氏、三島豊氏

左から門脇清和氏、盛田淳夫氏、三島豊氏

左から三枝富博氏、川田一光氏、荒木章氏

左から三枝富博氏、川田一光氏、荒木章氏

左から森山透氏、西田邦生氏、佐々木淳一氏

左から森山透氏、西田邦生氏、佐々木淳一氏

左から堀冨士夫氏、近藤正樹氏

左から堀冨士夫氏、近藤正樹氏

 ●業界発展に貢献、功績たたえる 11月1日贈呈式 選考委、満場一致で選出

 日本食糧新聞社制定・第55回(令和4年度)食品産業功労賞は、11月1日午後4時から東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で贈呈式が開催される。今回は生産部門8氏、技術部門1氏、流通部門6氏、外食部門2氏の17人が受賞する。第55回食品産業功労賞選考委員会は8月3日午後3時から同ホテルで開かれた。全国8地域31人の既受賞者による推薦制度に基づき、関係業界と地区活動において選考基準にかなう候補者の推薦があり、選考委員会に上程された。それらの方々を含めて斯界の権威である選考委員による慎重な討議の結果、今回の受賞者が満場一致で選出された。食品産業功労賞は日本食糧新聞創刊25周年を記念して、わが国食品産業界の発展と隆盛に大きく貢献し偉大な功績を残してきた功労者の顕彰を目的として、昭和42(1967)年に農林水産省後援の下に制定した。第55回までに生産部門で342人、技術103人、流通191人、外食34人、特別賞18人の累計688人が受賞している。(安田陽子)

 ◆食品産業功労賞 選考委員(敬称略)

 ▽委員長=櫻庭英悦(農林水産省食料産業局元局長/高崎健康福祉大学客員教授)

 ▽選考委員=浅野茂太郎(明治ホールディングス元社長)、池田弘一(アサヒグループホールディングス社友)、歌田勝弘(味の素社元社長)、垣添直也(日本水産元社長)、國分勘兵衛(国分グループ本社代表取締役会長兼CEO)、正田修(日清製粉グループ本社名誉会長相談役)、田中茂治(日本アクセス元社長/伊藤忠商事理事)、中野勘治(三菱食品前会長)、茂木友三郎(キッコーマン取締役名誉会長・取締役会議長)、今野正義(日本食糧新聞社代表取締役会長CEO)

 〈生産部門〉

 ●伊藤秀二氏(いとう・しゅうじ)

 カルビー代表取締役社長兼CEO=1957年2月25日生まれ、福島県出身。79年3月法政大学経営学部卒業。79年3月カルビー入社。99年7月関東事業部長、2001年7月執行役員東日本カンパニーCOO、02年3月執行役員消費者部門担当、同年12月執行役員CRMグループ担当、04年6月取締役執行役員じゃがりこカンパニーCOO、09年6月代表取締役社長兼COO、18年6月代表取締役社長兼CEO(現職)。

 09年、米国ペプシコ社とスナック事業で資本・業務提携契約締結を推進。11年3月には東証一部に上場し、業績拡大を果たす一方、経済価値のみならず、企業の社会的価値の向上にも取り組む。

 さらに、ホクレン農業協同組合連合会と20年8月に連携協定を締結し、北海道のジャガイモ栽培と農業振興における歴史的な大同団結を主導した。業界発展のためにも貢献。スナック産業に降りかかる課題を行政、研究機関などと協力しながら解決した。12年6月に日本スナック・シリアルフーズ協会会長に就任。

 ●河邉哲司氏(かわべ・てつじ)

 久原本家グループ本社社主=1955年4月17日生まれ、福岡県出身。78年福岡大学商学部貿易学科卒、家業である当時の久原調味料入社。入社時の従業員は6人。自らが醤油の配達を一軒ずつ行う中で、顧客への感謝の心を醸成し、現場からチャンスを見いだす術を学んだ。

 四代目社主を継いでからは、たれや調味料のOEM事業に着手。1990年には明太子で初の自社ブランド「椒房庵」を立ち上げ、直営店舗・通信販売を通じて全国で認知度向上に努めた。2005年、自然食レストラン『御料理茅乃舎』を開業。その後、化学調味料・保存料無添加のブランド「茅乃舎」を立ち上げ、福岡の百貨店を皮切りに、東京ミッドタウンなどへ直営店を拡大。現在は全国に29店舗を展開している。2019年には北海道アイを設立。今年6月には久原本家グループ北海道工場を竣工し、食を通じた地域貢献に積極的に取り組む。

 創業から120余年を経た今、社内では「ありがとう」の気持ちを何より大事にする企業文化の醸成に注力している。

 ●小高愛二郎氏(こだか・あいじろう)

 エイワ代表取締役会長兼CEO=1954年11月2日生まれ、東京都出身。79年3月中央大学商学部卒業。79年4月大福商事(現永和商事)入社、82年2月エイワ入社。82年大福商事(現永和商事)グループ会社取締役、88年3月エイワ代表取締役(現職)、2014年3月愛億華(杭州)食品有限公司董事、19年1月EIWA AMERICA INC.President。

 マシュマロ専業のオンリーワン企業として市場をけん引。欧米では製菓材料のマシュマロを菓子として日本の食生活に浸透させると同時にさまざまなマシュマロの食べ方を提案。キャンプなどアウトドアシーンで欠かすことができない「焼きマシュマロ」を定着させた。商品開発にも積極的に取り組み、マシュマロのセンターにチョコレートを入れた「チョコマシュマロ」などを開発。

 海外にも積極的に展開。中国でマシュマロ製造工場を建設。米国では販売会社を設立。マシュマロ革命を起こしたメーカーとして雑誌で紹介された。全日本菓子輸出促進協議会理事長としても日本菓子の海外におけるプレゼンス向上に多大な貢献を果たしている。

 ●下嶋正雄氏(しもじま・まさお)

 日東富士製粉前代表取締役社長=1952年2月8日生まれ。70年4月三菱商事入社、2007年4月理事食糧本部飼料ユニットマネージャー、同年6月日東富士製粉社外監査役、10年4月同社理事農水産本部付(戦略企画室長)、11年理事農水産本部付、同年6月日東富士製粉代表取締役社長に就任、19年相談役、20年退任。

 社長就任後から「原料調達・製造・販売・開発・物流」全部門の連携に取り組み、需給管理の徹底、最適物流の構築、「美味しさと健康」を基軸にふすまや全粒粉の商品開発などを推進した。18年には増田製粉所を完全子会社化し、シナジー効果の最大化を図るなどグループ企業の一体感によって組織力を向上させた。同年のタイプレミックス事業設立や、ベトナムプレミックス事業の業容拡大によって海外事業を強化した。また、幅広い知識の習得、技術の伝承などで対応力、展開力を持った人財の育成にも注力した。

 11年、15年には製粉協会長に就任し、TPP大筋合意後の製粉産業の体質強化に尽力した。

 ●長南収氏(ちょうなん・おさむ)

 キユーピー相談役=1956年5月16日生まれ、山形県出身。1980年3月鹿児島大学水産学部卒業。同年4月キユーピー入社。2001年7月に仙台支店長、06年11月に広域家庭用営業部長、08年9月に大阪支店長を務め、12年7月に東京支店長。その後、13年2月執行役員、14年2月取締役、16年2月常務執行役員サラダ・惣菜事業担当と要職を歴任後、17年2月に代表取締役社長執行役員に就任した。

 2019年に創業100周年を迎えたキユーピーグループを率いて、マヨネーズとドレッシングの汎用(はんよう)性訴求による市場活性化で産業振興に貢献した。またサラダと卵を中心とした健康志向の食文化の訴求や普及拡大の推進、惣菜業界初の機能性表示食品の発売など同食品分野の活性化にも貢献した。22年2月に現職。キユーピーみらいたまご財団の理事長としても社会貢献活動に力を入れている。

 ●野並直文氏(のなみ・なおぶみ)

 崎陽軒代表取締役会長=1949年1月22日生まれ、神奈川県出身。71年慶應義塾大学商学部卒、80年同大学院経営管理研究科修了。72年崎陽軒入社。79年取締役、91年代表取締役社長、2022年代表取締役会長に就任。

 1908年創業、28年にシウマイを発売した崎陽軒の3代目社長として「横浜シウマイ」のブランドを研さん。「横浜ローカル」を基軸に地元主義を実践。地域の誉れ、地域の日常消費、地域文化と一体を目指し、シウマイの事業多角化に取り組んだ。

 一方、卓越したマーケティング手腕で社内改革を断行。年商218億円強、店舗数約160店舗と、いずれも社長就任時から飛躍的に発展させた。先人の開拓精神を受け継ぎ、シウマイという「完成したモノ」よりも、シウマイを生み育てた「経緯のコト」を尊重し、シウマイ事業の進化と深化を追求している。駅弁業者の全国団体・日本鉄道構内営業中央会会長(2013年から)を務めるほか、横浜商工会議所副会頭、神奈川県経営者協会会長、神奈川経済同友会副代表幹事など公職多数。

 ●三島豊氏(みしま・ゆたか)

 三島食品代表取締役会長=1954年1月28日生まれ、広島県出身。78年3月東京大学大学院金属材料専門課程卒業。4月京セラ入社、81年8月三島食品入社。84年3月取締役社長室付部長、86年6月専務取締役、89年3月取締役副社長、92年4月代表取締役社長、2017年4月代表取締役会長(現職)。

 赤ジソふりかけ「ゆかり」をフラッグシップ商品に、ふりかけや混ぜご飯の素、レトルト食品、調味料などを製造する三島食品の2代目トップ。同社創業者である故三島哲男が掲げた「良い商品を良い売り方で」を基本スローガンに、激変する市場環境に臨機応変に対応するイノベーションを生み出す企業へと同社を進化させた。変化に対応できる「変な会社」を目指し、創業以来、他社にない“挑戦”を続け、培ってきた同社のイノベーション力を最大限に発揮できる土壌づくり、組織づくりを行ってきた。10~16年まで全国ふりかけ協会の会長として、現在も副会長として、また、ふりかけ資料館「楠苑」を運営するなど業界の発展にも尽力されている。

 ●盛田淳夫氏(もりた・あつお)

 敷島製パン代表取締役社長=1954年8月3日生まれ、愛知県出身。77年成蹊大学法学部卒業。82年敷島製パン入社。87年常務、92年副社長、98年11月から現職。

 盛田社長は、98年発売の「超熟」をはじめとするロングセラー商品を数多く世に送り出してきた。2003年に企業ブランドを「Pasco」へ統合し、第二の創業と位置付けた。

 100年を過ぎた今も当時の創業理念を受け継ぎ、パン製造を通じた社会貢献に取り組む。30年までに社内の国産小麦使用比率を20%まで引き上げる取組みを続けており、その背景には国産小麦を活用することで、食料自給率の向上に貢献したいという思いがある。食品ロス削減や人手不足の解決に、リベイク用冷凍パンの発売や、食料不安に備えた昆虫食の研究開発にも取り組んできた。

 20年4月に中部経済同友会筆頭代表幹事就任以降、財界活性化にも尽力している。

 〈技術部門〉

 ●門脇清和氏(かどわき・きよかず)

 クレオ会長=1941年3月18日生まれ、東京都出身。63年関西学院大学卒業。東京ベアリング製造(現NTN)入社。76年クレオを創業、代表取締役社長に就任。2016年取締役会長、20年会長(現職)。

 1976年に大阪、78年に東京で創業し、82年に東京を存続会社として一本化した。外食向け業務用食器洗浄機販売から始めたが、77年に容器洗浄機に参入したのを手始めにパレット洗浄機、折りたたみ式コンテナ洗浄機、パレット用延伸脱水機など次々に発売し、その後、洗剤の研究開発・販売にも進出。機器と洗剤の双方を手掛けることで食品製造現場での衛生管理向上に大きく貢献した。

 現在、製パン、乳業などの大手食品メーカー、大手総合食品商社などに約1万2000台を納入。容器洗浄機市場でのシェアは50%を超え、首位を独走。食品製造現場における容器・機器洗浄で、同社は欠かせない存在となっている。

 また、日本製パン製菓機械工業会理事も務め、機器の衛生管理や洗浄精度の向上に貢献した。

 〈流通・情報部門〉

 ●荒木章氏(あらき・あきら)

 カナカン代表取締役会長、トモシアホールディングス代表取締役社長=1954年8月28日生まれ、石川県出身。77年甲南大学経済学部卒、同年4月カナカン入社。2002年5月酒類部長、04年4月取締役、06年4月常務取締役、08年4月代表取締役副社長、09年4月代表取締役社長、13年1月トモシアホールディングス(HD)代表取締役、19年6月トモシアHD代表取締役副社長、21年4月同代表取締役社長就任。業界団体活動として、北陸三県卸売酒販組合理事長、日本加工食品卸協会理事、金沢経済同友会常任理事、19年秋に藍綬褒章を受章した。

 入社以来酒類一筋で、石川・富山・福井の営業所長を経験し販路を開拓。製配販一体となって、酒類・食品市場を盛り上げ、売上げに貢献する。得意先との関係づくりにまい進し、食文化を育てる思いを大切にしてきた。

 トモシアHD代表取締役に就任して縦割りだった組織を改革。支店制へ変更し、得意先本位かつ「商は笑なり」と社員の育成に力を入れる。

 ●川田一光氏(かわた・かずみつ)

 東京青果代表取締役会長兼社長=1951年7月生まれ、東京都出身。75年慶応義塾大学経済学部卒業。同年富士銀行入社。84年に退社し東京青果貿易入社。85年東京青果入社、経理部長。98年代表取締役専務、太田花き取締役(現職)。99年東京青果貿易代表取締役(同)、東京青果代表取締役社長(同)。01年東京都中央市場青果卸売会社協会会長(同)。05年全国中央市場青果卸売協会会長(同)。09年大田市場ロジスティックセンター代表取締役社長(同)、22年東京青果代表取締役会長兼社長(同)。

 青果業界で約40年間、荷受けから流通商社への脱皮を目指し、国内生産青果物の約8割を占める卸売市場活性化に取り組んできた。市場流通の規制緩和をビジネスチャンスにナンバーワン企業となり、円滑かつ安定的に青果物を供給。適正な価格形成にも貢献してきた。業界団体の代表も務め、青果物の消費拡を通じて、日本食文化に維持・発展にも尽力している。

 ●三枝富博氏(さえぐさ・とみひろ)

 イトーヨーカ堂取締役会長=1949年12月15日生まれ、神奈川県出身。76年9月イトーヨーカ堂入社。97年1月成都イトーヨーカ堂有限会社出向、2006年3月同社総経理、09年5月同社董事長、11年3月イトーヨーカ堂執行役員中国室長、17年3月同社代表取締役社長セブン&アイ・ホールディングス常務執行役員、22年3月同社取締役会長に就任。

 97年からイトーヨーカ堂の中国事業に携わり、現地の従業員や顧客と同じ視点に立って繁盛店に導き、その経営手腕は内外で高い評価を得た。17年には同社の代表取締役社長として事業と店舗の構造改革を着実に進め、顧客ニーズに合わせた店づくりと従業員が自ら考え行動する風土改革で総合スーパー(GMS)の活性化に注力し、収益安定化の基盤を構築したとともに循環型社会の実現に向けた環境経営を推し進めた。今年5月には日本チェーンストア協会の会長に就任し、新たな視点で業界発展のため精力的に活動している。

 ●佐々木淳一氏(ささき・じゅんいち)

 日本アクセス代表取締役社長社長執行役員=1955年11月26日生まれ、香川県出身。神戸大学経済学部卒。79年4月伊藤忠商事入社後、化学品・合成樹脂分野を経験し、常務執行役員中国総代表・アセアン・南西アジア総支配人など歴任後、16年6月に日本アクセス社長に就任。

 現場主義を徹底し、18~20年度までの第7次中期経営計画では成長に向けた投資と戦略を加速、1年前倒しで計画を達成。情報卸などの次世代ビジネスや、フルライン卸機能を強化。得意とする低温物流機能や商品開発にも磨きをかけ、食品総合卸で収益力ナンバーワンへ導いた。

 度重なる自然災害やコロナ禍でも「食の供給を止めない」使命感で安定供給に尽力。食品ロス削減、省エネ、一人親家庭を支援するこどもフードアライアンス、イクボス宣言などの働き方改革といった本業を通じたSDGsへの取組みも推進。伊藤忠グループの20年度優秀CEOを受賞。17年6月から日本加工食品卸協会の関東支部長に就任し、業界の発展に貢献している。

 ●西田邦生氏(にしだ・くにお)

 ジャパン・インフォレックス代表取締役社長=1952年4月27日生まれ、長野県出身。77年3月早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。同年4月国分入社。94年3月国分経営統括室副室長兼システム推進担当副部長、2003年6月廣屋監査役兼国分取締役グループ企業統括本部長、05年1月廣屋代表取締役社長、11年3月国分経営統括本部付顧問ジャパン・インフォレックス(JII)出向、12年3月JII代表取締役社長。

 JIIは06年4月に国分グループ本社(当時は国分)、日本アクセス、三菱食品(当時は菱食)の3社と三井食品、加藤産業、日本酒類販売の6社で設立、後に伊藤忠食品、トーカン、ファイネットが加わった共同出資会社。食品卸各社の商品マスター管理業務の統合、情報登録のコスト削減・精度向上など効率化推進、200万件に上る商品情報の流通基盤の提供で貢献している。西田氏はその重要性、非競争領域での協業、標準化推進の理解を求め、合意形成に長年尽力してきた。

 ●森山透氏(もりやま・とおる)

 三菱食品前代表取締役社長=1954年8月9日生まれ。福井県出身。一橋大学経済学部卒。77年4月三菱商事入社。2010年4月常務執行役員生活産業グループCOO、11年4月生活産業グループCEO、13年4月アジア・大洋州統括(シンガポール)、16年6月三菱食品代表取締役社長執行役員、21年6月相談役、22年6月退任。

 三菱食品の2代目社長として、「日本の食を支える総合食品商社」のビジョン、「中間から中核へ。食と暮らしの明日を創造する。」を企業ミッションに掲げた5ヵ年プラン「経営方針2020」を推進。商品開発や輸入調達を軸とする「川上寄り事業」やSCM改革による物流のムリ・ムダ・ムラの是正、デジタル活用による業務効率化などに着手。11年に4社統合で発足した同社の機能・事業領域の拡張や体質強化に尽力し、今日の成長へ道筋をつけた。16年から21年まで日本加工食品卸協会の副会長を務め、業界の発展や協調促進にも貢献した。

 〈外食部門〉

 ●近藤正樹氏(こんどう・まさき)

 日本KFCホールディングス顧問=1955年1月5日生まれ、兵庫県出身。早稲田大学卒業後、78年三菱商事入社。2008年伯国(ブラジル)三菱商事社長、13年三菱商事生活産業グループCEO補佐、14年日本KFCホールディングス社長、21年同社顧問。

 14年社長就任時はクリスマスやパーティー需要が高かったが、QSC、ホスピタリティーの再教育を継続的に行い、来店頻度アップを図る。18年に「今日、ケンタッキーにしない?」のキャッチコピーやワンコインランチを導入し、エブリデイブランドへの転換に成功、V字回復を達成。コロナ禍ではドライブスルーやデリバリー対応店を拡大し、「密」「接触」を避けたいという利用者のニーズに対応し、緊急事態宣言下でも既存店30%増の圧巻の伸びを見せた。

 看板商品の「オリジナルチキン」を含むすべてのチキンは100%国内産。KFC登録飼育農場で飼育された「国内産鶏」を使用。同社の鶏肉消費量は国内食鳥消費量の約7%(羽数換算、同社試算)で、日本食鳥産業の安定的発展に寄与。公職は22年日本フードサービス協会会長に就任。

 ●堀冨士夫氏(ほり・ふじお)

 デリカスイト相談役FOUNDER、日本惣菜協会元会長=1942年7月1日生まれ、岐阜県出身。岐阜経済大学経済学部卒業。61年個人商店創業、72年2月水都食品(現デリカスイト)代表取締役社長、92年7月デリカスイト代表取締役社長、2008年4月代表取締役FOUNDER、22年9月から現職。

 創業者として同社を中部・東海地区を中心とした大手食品スーパーやショッピングモール、駅ナカに約60店舗展開する企業へと成長させた。テークアウト専門店「美濃味匠」をはじめ、外食要素も兼ね備えた店舗や宅配事業などさまざまなブランドを育成、発展させてきた。

 2012年から16年まで日本惣菜協会の会長を務め、惣菜産業の振興発展に尽力。日本の惣菜文化を世界に発信するほか、惣菜を通じた地域活性化や健康訴求、人材教育などに奔走した。

 07年から3年間、京都大学大学院で地域経済学を学び、著書「郷土力を活かす市街地再生のまちづくり」を出版。17年には藍綬褒章を受章した。

 ◆第55回食品産業功労賞受賞者名(部門別・五十音順・受賞理由)

 〈生産部門〉

 ●伊藤秀二氏(カルビー代表取締役社長兼CEO)

 ▽スナック、シリアル等製菓産業発展貢献

 ▽東証上場、グループ持続的経営戦略貢献

 ▽業界全国団体等組織運営、普及活動貢献

 ●河邉哲司氏(久原本家グループ本社社主)

 ▽醤油等調味だし文化先駆的普及拡大貢献

 ▽調味食等国内外、多彩な販路開拓推進貢献

 ▽九州、北海道等地域振興活性化社会貢献

 ●小高愛二郎氏(エイワ代表取締役会長兼CEO)

 ▽マシュマロトップ定着普及促進拡大貢献

 ▽開発ヒット受賞、菓子食文化内外発展貢献

 ▽業界全国団体等組織運営、海外普及貢献

 ●下嶋正雄氏(日東富士製粉前代表取締役社長)

 ▽製粉事業効率化、コスト等発展推進貢献

 ▽タイ、ベトナム等製造販売基盤確立貢献

 ▽製粉協会会長等業界団体運営活性化貢献

 ●長南収氏(キユーピー相談役)

 ▽マヨネーズ・ドレッシング等産業振興貢献

 ▽サラダ・卵等食文化訴求普及拡大推進貢献

 ▽惣菜業界初機能性表示食品等活性化貢献

 ●野並直文氏(崎陽軒代表取締役会長)

 ▽シウマイ誕生90年余普及拡大振興貢献

 ▽横浜名所名物創り一筋、地域活性化貢献

 ▽地域業界団体等組織運営、開発牽引貢献

 ●三島豊氏(三島食品代表取締役会長)

 ▽業務用・家庭用ふりかけ産業普及拡大貢献

 ▽「ゆかり」等ヒット商品創造市場活力貢献

 ▽業界団体等組織運営、ふりかけ食文化貢献

 ●盛田淳夫氏(敷島製パン代表取締役社長)

 ▽製パン製菓産業等内外多彩多様業務拡大貢献

 ▽食パンヒット「超熟」等業界活性化牽引貢献

 ▽業界団体、地域社会活力推進拡大行動貢献

 〈技術部門〉

 ●門脇清和氏(クレオ会長)

 ▽洗浄機開発等で食品工場衛生管理向上貢献

 ▽洗浄剤、洗浄システム技術研究等衛生貢献

 ▽業界団体組織運営等食品機械技術開発貢献

 〈流通・情報部門〉

 ●荒木章氏(カナカン代表取締役会長・トモシアホールディングス代表取締役社長)

 ▽北陸信越地域密着卸業使命活性化推進貢献

 ▽旭食品、カナカン、丸大堀内3社統合発展貢献

 ▽各社歴史風土地域食文化新使命融合拡大貢献

 ●川田一光氏(東京青果代表取締役会長兼社長)

 ▽荷受けから青果物流通商社脱皮推進貢献

 ▽青果物流通基盤拡大生産性向上等改革貢献

 ▽業界団体等組織運営、日本食文化活性化貢献

 ●三枝富博氏(イトーヨーカ堂取締役会長)

 ▽総合スーパー経営、新構造改革等推進貢献

 ▽変わる生活、小売業業態変化対応挑戦貢献

 ▽業界組織運営、海外事業等推進新創造貢献

 ●佐々木淳一氏(日本アクセス代表取締役社長社長執行役員)

 ▽低温度帯基盤強化、総合卸業トップ推進貢献

 ▽フルライン機能強化、要冷物流各種戦略貢献

 ▽食品ロス削減等、省エネ社会支援型活動貢献

 ●西田邦生氏(ジャパン・インフォレックス代表取締役社長)

 ▽食品卸共同出資会社軌道化、情報基盤提供貢献

 ▽商品マスター情報提供標準化合理化推進貢献

 ▽DX化推進共通流通インフラ基盤活用貢献

 ●森山透氏(三菱食品前代表取締役社長)

 ▽総合食品商社として事業領域拡大推進貢献

 ▽三菱系卸業4社の統合推進、拡大進捗貢献

 ▽食品卸業界の強化発展、協調促進貢献

 〈外食部門〉

 ●近藤正樹氏(日本KFCホールディングス顧問)

 ▽コロナ禍対応型店舗創出推進貢献

 ▽日常消費拡大による業績大幅回復貢献

 ▽日本食鳥産業、安定的発展寄与貢献

 ●堀冨士夫氏(デリカスイト相談役FOUNDER、日本惣菜協会元会長)

 ▽惣菜産業人意識改革、惣菜産業振興発展貢献

 ▽SOUZAI文化世界へ地域内再投資健康訴求貢献

 ▽業界全国団体等運営、生活者食調理提唱貢献

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