第56回食品産業功労賞受賞者決まる 生産10・技術2・流通4・外食2・特別賞1人

総合 ニュース 2023.09.15 12644号 01面
8月2日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で開かれた第56回食品産業功労賞選考委員会

8月2日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で開かれた第56回食品産業功労賞選考委員会

左から井上ゆかり氏、井上猛氏、石垣幸俊氏

左から井上ゆかり氏、井上猛氏、石垣幸俊氏

左から工藤茂雄氏、小形博行氏、岩崎浩一氏

左から工藤茂雄氏、小形博行氏、岩崎浩一氏

左から的埜明世氏、松田克也氏、新妻一彦氏

左から的埜明世氏、松田克也氏、新妻一彦氏

左から小泉武夫氏、久保村喜代子氏、山邑芳子氏

左から小泉武夫氏、久保村喜代子氏、山邑芳子氏

左から岡本均氏、伊藤碩彦氏、井阪隆一氏

左から岡本均氏、伊藤碩彦氏、井阪隆一氏

左から谷真氏、西原一義氏

左から谷真氏、西原一義氏

左から山東昭子氏、松岡まち子氏

左から山東昭子氏、松岡まち子氏

【選考委員】左から大河原愛子氏、歌田勝弘氏、浅野茂太郎氏、櫻庭英悦氏

【選考委員】左から大河原愛子氏、歌田勝弘氏、浅野茂太郎氏、櫻庭英悦氏

【選考委員】左から正田修氏、國分勘兵衛氏、小路明善氏、垣添直也氏

【選考委員】左から正田修氏、國分勘兵衛氏、小路明善氏、垣添直也氏

【選考委員】左から今野正義本紙会長、茂木友三郎氏、中野勘治氏、田中茂治氏

【選考委員】左から今野正義本紙会長、茂木友三郎氏、中野勘治氏、田中茂治氏

 ◆偉大な功績たたえ顕彰 11月7日贈呈式 選考委、満場一致で選出

 日本食糧新聞社制定第56回(令和5年度)食品産業功労賞は、11月7日午後4時から東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で贈呈式が開催される。今回は生産部門10氏、技術部門2氏、流通部門4氏、外食部門2氏、特別賞1氏の19人が受賞する。第56回食品産業功労賞選考委員会は8月2日午後3時から同ホテルで開かれた。全国8地域32人の既受賞者による推薦制度に基づき、関係業界と地区活動において選考基準にかなう候補者の推薦があり、選考委員会に上程された。それらの方々を含めて斯界(しかい)の権威である選考委員による慎重な討議の結果、今回の受賞者が満場一致で選出された。食品産業功労賞は日本食糧新聞創刊25周年を記念して、わが国食品産業界の発展と隆盛に大きく貢献し偉大な功績を残してきた功労者の顕彰を目的として、昭和42(1967)年に農林水産省後援の下に制定した。第56回までに生産部門で352人、技術105人、流通195人、外食36人、特別賞19人の累計707人が受賞している。(安田陽子)

 ◆食品産業功労賞 選考委員(敬称略)

 ▽委員長=櫻庭英悦(農林水産省食料産業局元局長/高崎健康福祉大学特命学長補佐・客員教授)

 ▽選考委員=浅野茂太郎(明治ホールディングス元社長)、歌田勝弘(味の素社元社長)、大河原愛子(デルソーレ前代表取締役会長)、垣添直也(日本水産元社長)、小路明善(アサヒグループホールディングス取締役会長兼取締役会議長)、國分勘兵衛(国分グループ本社代表取締役会長兼CEO)、正田修(日清製粉グループ本社名誉会長相談役)、田中茂治(日本アクセス元社長/伊藤忠商事理事)、中野勘治(三菱食品前会長)、茂木友三郎(キッコーマン取締役名誉会長・取締役会議長)、今野正義(日本食糧新聞社代表取締役会長CEO)

 ◆第56回食品産業功労賞受賞者

 〈生産部門〉

 ●石垣幸俊氏(いしがき・ひさとし)

 ブルドックソース代表取締役 社長執行役員=1954年7月4日生まれ、北海道出身。77年小樽商科大学商学部経済学科卒業。78年ブルドックソース入社。2000年取締役マーケティング室長、01年取締役経営企画室長、05年イカリソース代表取締役社長、08年ブルドックソース常務取締役、11年専務取締役、17年代表取締役社長(現在)。

 石垣氏は、社長就任した翌18年に「&Bull-Dog(アンド・ブルドック)」のブランドでドレッシング、たれカテゴリーに本格参入。21年には日本の新しいソースとして「Jソース」を開発するなど新ブランドや新商品の開発を推し進め、市場活性化を図ってきた。

 また、19年には広島県のサンフーズを子会社化。大阪のイカリソースとともにブルドックソースグループとして東京、大阪、広島の各地域のソース文化振興に尽力。生産面においても21年に3工場体制から2工場体制へと生産体制を再構築し、生産効率向上・省力化を進めてきた。

 21年には東証2部から1部へ移行、22年4月にはプライム市場への移行を果たした。公職では18年から日本ソース工業会会長を務めている。

 ●井上猛氏(いのうえ・たけし)

 兵庫県手延素麺協同組合理事長=1956年10月29日生まれ、兵庫県出身。79年大阪産業大学工学部卒業。84年井上製麺所入社。98年兵庫県手延素麺協同組合理事、2001年日本手延素麺協同組合連合会監事、同年兵庫県手延素麺協同組合理事長就任、同年手延素麺製造作業技能検定委員、13年藍綬褒章受章。

 六百有余年の歴史を誇る「揖保乃糸」を厳格な管理の下、全国ブランド商品に育て上げるとともに、手延べ干しめん製造自主基準の作成など業界発展のため多くの功績を挙げてきた。

 また、若年層や諸外国へのアプローチから新たな需要創出を図るため、さまざまな戦略を実践している。夏のシーズンに全国各地を巡るキャンペーンガール「ミス揖保乃糸」や玩具会社タカラトミーアーツとの異業種コラボ、SNSなどでのレシピ発信といった旧来の観念にとらわれない発想で「揖保乃糸」にとどまらず、「そうめん」の普及にも多大な貢献を果たした。

 ●井上ゆかり氏(いのうえ・ゆかり)

 日本ケロッグ代表職務執行者社長=1962年4月4日生まれ、大阪府出身。85年大阪大学経済学部卒業。同年プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク(P&G)入社。2003年ジャーディンワインズアンドスピリッツ(現MHDモエヘネシーディアジオ)常務取締役、05年キャドバリー・ジャパン(現モンデリーズ・ジャパン)代表取締役社長、13年日本ケロッグ合同会社代表職務執行者社長。16年経済同友会幹事。

 井上社長はP&Gでキャリアをスタート。キャドバリー・ジャパンの社長時には「ストライド」などヒット商品を誕生させ同社のガム市場シェア向上に貢献。07年には三星食品のTOBを成功させキャンデー事業のシェア拡大につなげた。

 13年に日本ケロッグ代表職務執行者に就任すると、シリアル市場の好調を追い風に「グラノラ」「オートミール」などヒット商品を連発し、業績拡大とシリアル市場活性化に貢献。さらに「プリングルズ」で成型ポテトスナック市場に参入。20年4月には新たに独自の流通戦略を推進。市場環境の変化に即した販売・流通を可能にするモデルを構築し成長戦略を推進した。

 ●岩崎浩一氏(いわさき・こういち)

 日清製粉デリカフロンティア取締役社長=1956年9月12日生まれ、東京都出身。80年3月明治大学商学部卒業。同年4月日清製粉(現日清製粉グループ本社)入社。2007年日清フーズ(現日清製粉ウェルナ)取締役営業本部長、10年常務取締役営業本部長、12年取締役社長、17年トオカツフーズ取締役副会長、19年日清製粉グループ本社取締役常務執行役員事業開発本部長、22年日清製粉グループ本社取締役常務執行役員、日清製粉デリカフロンティア取締役社長、現在に至る。

 日清製粉入社以来、食品部門の営業を担当。12年から17年まで日清フーズの取締役社長として陣頭指揮を執った。その間、海外事業にも注力し、トルコ、ベトナムでの現地法人の設立に尽力した。15年には持続可能な物流サービスの提供に向け、国内食品メーカー6社と協働でF-LINEを設立した。11年から2年間、日本プレミックス協会会長を務め日本パスタ協会、日本冷凍食品協会でも食品業界の発展に尽力した。17年から中食・惣菜事業に移り、22年に同事業を統括する日清製粉デリカフロンティアを立ち上げ、「新たな価値でデリカの未来を切り拓く」という志の下、日清製粉グループの「中核事業」として成長させるため挑戦を続けている。

 ●小形博行氏(おがた・ひろゆき)

 エスビー食品代表取締役会長=1957年3月5日生まれ、岩手県出身。79年3月慶應義塾大学工学部卒業。79年4月エスビー食品入社。2008年4月会計業務管理室長、09年6月執行役員、11年6月監査役(常勤)、12年6月取締役執行役員、14年6月常務取締役管理サポートグループ担当、16年6月代表取締役社長、22年6月代表取締役会長(現職)。

 同社ビジョン『「地の恵み スパイス&ハーブ」の可能性を追求し、おいしく、健やかで、明るい未来をカタチにします。』を掲げ、スパイスやハーブを核とした健やかな暮らしに役立つ製品開発に積極的に取り組み、 広く社会に貢献できる企業を目指して、その機運を醸成。シーズニングの市場確立、チューブ入り香辛料の進化・ラインアップの拡充などによって香辛料市場の発展に貢献した。また即席ルウの新機軸製品の育成を推進し、市場に新たな価値を創造。20年には全日本カレー工業協同組合理事長に就任し、日式カレーの海外普及活動に尽力している。

 ●工藤茂雄氏(くどう・しげお)

 太子食品工業代表取締役社長=1951年6月5日生まれ、青森県出身。77年3月青山学院大学大学院理工学研究科修了。同年4月太子食品工業入社。84年常務取締役、90年専務取締役、94年代表取締役社長就任。

 D+0が通説の時代に伝統と技術を融合させた工場で「賞味期限7日間」の豆腐を製造。おいしさと衛生管理の徹底によりLL豆腐を市場に投入した。廃棄ロスも削減され、フードロスの先駆けになった。97年1月「遺伝子組み換え大豆不使用」を宣言し、批判を浴びたものの、国内外から関心を集めNON-GMO大豆の調達確保、パッケージへの表示などが消費者、流通の高い支持を集めた。

 水、鮮度にもこだわり東北各地に工場を建設、98年には関東市場をにらんだ日光工場が稼働した。数多くの業界初を生み出し、重要さを増すPBFへの取組みでは今年2月「なめらか豆腐バー」を発売した。

 ●新妻一彦氏(にいつま・かずひこ)

 昭和産業代表取締役会長=1957年10月1日生まれ。81年3月明治大学経営学部経営学科卒業。同年4月昭和産業入社。95年製粉事業本部製粉企画課長、2001年広域営業本部長、03年広域営業部長、06年製粉部長、09年執行役員製粉部長、12年常務取締役、14年専務取締役営業部門統轄、16年代表取締役社長、20年代表取締役社長執行役員、23年代表取締役会長、現在に至る。

 社長就任の翌年、創立90周年に当たる25年度に向けたグループ全体のありたい姿を示す長期ビジョン「SHOWA Next Stage for 2025」を策定。17年から3ヵ年の中期経営計画をスタートさせ、同社グループならではの複合系シナジーソリューションを進化させるとともに、ESG経営を推進した。また、ブランドメッセージである「穀物ソリューション・カンパニー」を浸透させ、企業イメージを刷新した。さらに地域社会との共生を目指し、食育活動や災害支援などの社会貢献活動を積極的に行った。一方、製粉協会会長には16年、20年の2度就任し、国際貿易交渉の進展や新しい輸入小麦の調達方式の導入、コロナ禍での安定供給への対応など、秩序ある企業間の競争と健全な業界協調に努めた。22年からは日本植物油協会会長を務めている。

 ●松田克也氏(まつだ・かつなり)

 明治代表取締役社長=1957年8月25日生まれ。80年慶應義塾大学法学部卒業。4月明治乳業入社。2011年4月明治・乳製品ユニット乳食品事業本部乳食品事業部長、17年6月取締役専務執行役員営業企画本部長市乳営業本部・加工食品営業本部・菓子営業本部・栄養営業本部管掌、18年6月代表取締役社長(現職)、明治ホールディングス取締役(現職)。

 松田社長は、21年に明治の存在意義や進化の方向性を具体的な言葉でまとめた「明治 栄養ステートメント」を策定。創業の精神「栄養報国」から続く明治のDNAを表現し、すべての事業活動や商品・サービスの考え方の軸に据え、新たな栄養の価値創造に挑戦。「明治らしい健康価値」を提供し社会課題の解決に挑戦。酪農・乳業、カカオから低栄養問題までさまざまな分野で社会が進化するための価値を創出し、経済価値と社会価値の同時実現を目指している。

 日本乳業協会会長、日本アイスクリーム協会会長、アイスクリーム類及び氷菓公正取引協議会会長、日本チョコレート・ココア協会会長など要職を務める。

 ●的埜明世氏(まとの・あきよ)

 ニッスイ Executive Advisor=1953年11月9日生まれ、東京都出身。77年3月慶應義塾大学商学部卒業。同年4月日本水産(現ニッスイ)入社。2007年6月取締役北米事業執行委嘱・ニッポンスイサンU.S.A.社取締役社長、12年6月取締役常務執行役員水産事業執行委嘱、17年6月取締役専務執行役員水産事業執行委嘱、18年3月代表取締役社長執行役員最高経営責任者(CEO)、21年6月相談役、22年6月Executive Advisor(現職)。

 入社以来、水産事業一筋で、スケソウダラすり身などの北米やロシアなどのグローバルな水産物の調達に長く関わった。簡潔な発信を旨とし、身の丈に合った手堅い経営手腕を発揮。トップマネジメントとしてCSRを推進、ブリ・ギンザケなどの国内養殖事業の展開を加速させた。M&Aなどによって欧州の拠点を整備し、今日の欧州事業拡大への礎を築いた。日本冷蔵倉庫協会会長も兼任し、脱フロン・自然冷媒導入などの課題解決に向けて政府・与党へ精力的に働きかけを行った。

 ●山邑芳子氏(やまむら・よしこ)

 櫻正宗監査役=1933年6月21日生まれ、兵庫県出身。57年聖心女子大学英文科卒業。78年山邑酒造(現・櫻正宗)入社。90年専務取締役、91年代表取締役社長、2003年代表取締役会長、15年監査役に就任。

 1625年に創醸し、灘の酒造りには欠かせない宮水を発見した山邑酒造の11代目社長を務めた。「品質第一をモットーに酒造りを通して人々に潤いを提供する」「文化の継承を基に地域社会に貢献する」という蔵元の理念を引き継ぎ、寛永以来約400年にわたる自社の清酒造りを通じ、長年清酒業界の発展に貢献した。

 社長を務めていた1992年には社名を自社ブランド「櫻正宗」と統一し、さらなる事業の成長につなげた。櫻正宗は各地の清酒の銘柄などに使われる「正宗」の元祖。国の花といえる紅色複弁の櫻花一輪を配した「櫻正宗」の伝統の魅力を、現在に伝える役割を果たした。

 地元の伝統酒類として、「灘で生まれ育った生粋の混じりけのない酒」とされる「灘の生一本」の新たな価値の発信にも尽力した。

 〈技術部門〉

 ●久保村喜代子氏(くぼむら・きよこ)

 久保村食文化研究所代表=東京都出身。日本のフードスタイリスト・フードサイエンティスト・フレーバリスト・学術博士。青山学院女子短期大学食品学研究室・助手を経て専業主婦となるが、英国・ロンドンで語学と食品香料開発技術を習得。東京調理師専門学校卒業後、カルピスR&Dセンターキッチン、国内外香料会社などに勤務した後、久保村食文化研究所を設立し、食品香料の開発・料理メニュー開発・加工食品用大量生産処方開発などを強みとして、食品大手各社のコンサルティングを務めている。

 畜肉副産物や水産物加工残さ由来のリアクションセイボリーフレーバーを専門として、ラーメンスープの香味油などアイテム開発実績が多数で、特に食品メーカーやレストランメニューの新製品開発では1000アイテムを超えている。

 長年にわたり、国際フードサイエンティストとして、また働く女性として時代を切り開いてきた。35年在籍している食品科学技術者学会(IFT=本部シカゴ)では本部評議員を務め、長年の功績から08年にIFTフェロー、19年にIFT功労賞、20年には国際食品科学技術アカデミー(IAFoST)フェローに選出された。

 ●小泉武夫氏(こいずみ・たけお)

 東京農業大学名誉教授(農学博士)=1943年8月27日生まれ、福島県出身。300年続く造り酒屋の5人きょうだいの末っ子として生まれた。66年東京農業大学をトップ成績で卒業。その後、同大学で「発酵」を極め、農学博士号を取得、84年同大学教授に就任。同大学名誉教授をはじめ、鹿児島大学、福島大学、別府大学、石川県立大学、島根県立大学、宮城県立大学で客員教授を歴任、「発酵の学校」の校長として技術者や後進の育成に力を注ぐ。発酵文化推進機構理事長(現職)、発酵のまちづくり全国ネットワーク協議会会長(現職)。

 日本醸造協会が清酒醸造業における進歩発展の貢献者に贈る最高の賞である「日本醸造協会伊藤保平賞」をはじめ、日本発明協会白井賞、三島海雲学術奨励賞などを受賞。発酵や食に関する著書多数、小説も執筆。

 研究者人生を決定づける恩師である鈴木明治教授(東京農業大学)と出会い、「発酵学」の研究に打ち込んだ。古文書の読み方を近衛道隆教授(東京大学)に師事し、忘れ去られた酒造技術を読み解き、現在に復活させている。長年にわたり国内外の失われつつある発酵文化や食文化の保護活動や発信をしている。

 〈流通・情報部門〉

 ●井阪隆一氏(いさか・りゅういち)

 セブン&アイ・ホールディングス代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)=1957年10月4日生まれ、東京都出身。80年3月セブン-イレブン・ジャパン入社。2002年5月同社取締役、09年5月同社代表取締役社長、セブン&アイ・ホールディングス取締役、16年5月同社代表取締役社長執行役員社長に昇格、23年4月同社最高経営責任者(CEO)に就任。現在、日本銀行の参与、日本経済団体連合会デジタルエコノミー推進委員会の委員長も勤める。

 1980年に入社したセブン-イレブン・ジャパンで商品開発に力を入れ、カウンターコーヒー「セブンカフェ」を看板商品に育成したほか、グループのPB「セブンプレミアム」の開発でも大きな役割を果たした。2016年にはセブン&アイ・ホールディングスの社長に就任し、国内外でCVS事業を成長させ、23年2月期業績では国内小売業として初めて営業収益10兆円を超える企業に導いた。「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループへの成長戦略を積極的に推進している。

 ●伊藤碩彦氏(いとう・ひろひこ)

 伊徳代表取締役会長=1942年3月2日生まれ、秋田県出身。65年3月早稲田大学商学部卒業。同年伊徳入社。66年4月日本リテイリングセンター出向、67年4月衣料品担当部長、68年社長、2010年10月会長就任。

 伊徳は明治32(1899)年、秋田県北山本郡藤琴村で薬、荒物、雑貨を扱う伊藤徳治商店で創業。碩彦会長は1968年弱冠25歳で3代目社長を継いだ。先代社長の急逝によるもので、以来県内、東北の小売業の激変を見つめ、時として渦中にもいた。店舗数は28店。県北、中央、青森県津軽地区へと歩を進めてきた。人口減少率、高齢化率共に全国一の県で出店、売上げを伸ばすことの難しさは容易に理解できる。

 単独での成長は無理と判断し08年にベルプラスと(後に解消)、さらに12年には同じ県内のタカヤナギと経営統合、ユナイトを誕生させた。高柳恭侑会長とは高校、大学が同じで周知の間柄。ユナイトの好業績は東北CGC内でも光る。

 ●岡本均氏(おかもと・ひとし)

 伊藤忠食品代表取締役社長・社長執行役員=1956年6月14日生まれ、兵庫県出身、67歳。早稲田大学法学部卒業。80年4月伊藤忠商事入社。2008年執行役員ファッションアパレル部門長、10年4月常務執行役員繊維カンパニープレジデント、10年6月代表取締役常務執行役員、14年代表取締役専務執行役員、15年CSO、16年CSO・CIO、18年4月伊藤忠食品社長執行役員、18年6月代表取締役社長・社長執行役員(現職)。日本加工食品卸協会副会長。 総合商社での幅広い知見を生かして伊藤忠食品の企業価値向上へ尽力し、新たな事業戦略や機能合理化で卸業界の発展にも貢献。20~22年度に推進した中期経営計画「Transform2022」では製配販連携で新たな価値を創出するエコシステムの形成を打ち出し、デジタルサイネージを活用した消費者起点の魅力的な売場作りをはじめ、優れた冷凍技術を取り入れた商品開発など新施策を相次ぎ展開。低重心経営の徹底による強固な収益基盤の確立にも顕著な成果を示した。

 今期から前中計の成果を基盤とする新中期経営計画「Transform2025」を始動、情報・商品開発・物流・人的基盤の強化へ磨きをかけ、さらなる躍進を目指す。

 ●西原一義氏(にしはら・かずよし)

 西原商会名誉会長=1948年3月3日生まれ、鹿児島県出身。66年、鹿児島県立鹿児島工業高等学校卒業。71年12月、地元食材に精通する父・喜一郎から助言され食材商社・西原商会を創業。以後、事業を拡大し業務用食材卸に発展。本社・鹿児島を拠点に九州全域に営業網を築いた後、全国展開を推進した。躍進の原動力は「調味料1本から配達する機動力」。ご用聞きに徹する献身的な商売を掲げ、きめ細かなルートセールスに先駆け、有力店から小規模店まで幅広くタイムリーに対応する提案力を構築。同時に愚直な営業理念が支持され急速に顧客数を開拓した。かたや製造子会社を積極的に吸収し、業務用に特化した即戦力食材の開発に注力。卸とメーカーの機能を併せ持つ独自の営業スタイルを確立した。これまで全国60ヵ所に営業所を設け、海外出店は6ヵ国。製造子会社17社22工場を含む連結年商は1045億円(2023年2月期)。12年、長男・一将氏に社長職を承継後、同年から現職。

 〈外食部門〉

 ●谷真氏(たに・まこと)

 すかいらーくホールディングス代表取締役会長=1951年12月25日生まれ、富山県出身。77年関東学院大学経済学部卒業後、すかいらーく入社。2000年ニラックス代表取締役社長、07年同社社長兼すかいらーく執行役員、08年すかいらーく代表取締役社長就任、18年すかいらーくホールディングス代表取締役会長兼社長、23年同社代表取締役会長(現在)。

 谷氏が社長に就任した08~10年の3年間で、マーケットの変化に対応した不採算店の閉店(約400店)、業態転換(約500店)を迅速に進め経営を刷新。ガスト、バーミヤンなどの主力業態に加え、新しい食のニーズに対応した専門店型新業態を次々に開発し成長路線に乗せ、14年には東証1部に再上場を果たした。現在、20以上のブランドで約3000店舗(海外を含む)を展開し、顧客体験価値の創造や多様な人財の雇用促進に努めている。

 また、レストラン事業者として持続可能な社会の具現化にも注力。使い捨てプラスチック製ストローの全店廃止、持ち帰り・宅配用カトラリーの木製への変更、23年8月には環境配慮モデル店舗としてCO2排出量実質ゼロのガストを東京都東村山市にオープンするなど先進的な取組みを続けている。

 ●松岡まち子氏(まつおか・まちこ)

 まつおか代表取締役社長=1945年9月30日生まれ、滋賀県出身。1987年2月有限会社まつおか設立、社長に就任。99年10月株式会社に移行。

 今やデパ地下和惣菜店の草分けとして知られる「まつおか」を、創業時から大きく成長させて全国区へと押し上げた。

 88年に自社商品の「香豚煮」を開発。全国の百貨店を回り、各地の百貨店物産展に出店することで話題を集めた。94年に現在のまつおかの原点となる「出来立てお惣菜の店 まつおか」を名古屋栄三越で立ち上げた。百貨店内の厨房で野菜を一からカットして煮炊きをした惣菜、ディスプレーには炭火のコンロを模した大鍋を使い好評を得た。

 96年に星ヶ丘三越、2000年3月にはJR名古屋高島屋、01年8月には伊勢丹新宿本店に出店。これらを北海道から九州までの全国展開への飛躍の原動力にした。

 「働くお母さんの代わりをしたい」という創業の志を大切にし、従業員の成長を糧に同社と業界の発展に日々尽力している。

 〈特別部門〉

 ●山東昭子氏(さんとう・あきこ)

 参議院議員・前参議院議長=1942年5月11日生まれ、東京都出身。文化学院文学部卒業。11歳で芸能界入り、女優・司会者として映画・TV・ラジオで活躍。74年当時の田中角栄首相に請われ参議院議員選挙(全国区)に自民党から出馬し初当選、90年6人目の女性大臣として科学技術庁長官就任、2007年女性初の参議院副議長就任、「ねじれ国会」の健全な運営に力を注ぐ。19年第32代参議院議長就任、22年8月退任。参議院議員(現職)。

 フランス政府から12年レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ、13年国家功労勲章グランドフィシェ受章。

 長年にわたり国民の健康や食に関わる政策に携わり、自由民主党食育調査会長として議員立法「食育基本法」の制定をはじめ、「健康増進法(受動喫煙防止法)」「食品ロス削減法」等を制定。また、教育・福祉・環境・観光・住宅対策・科学技術・外交関係をはじめ幅広い政策課題にも取り組む。

 ◆第56回食品産業功労賞受賞者名(部門別・五十音順・受賞理由)

 〈生産部門〉

 ●石垣幸俊氏(ブルドックソース代表取締役社長執行役員)

 ▽新商品・新ブランド挑戦等と普及促進貢献

 ▽ウスターソース類等主力品高度化活動貢献

 ▽全国団体等組織運営、調味分野産業振興貢献

 ●井上猛氏(兵庫県手延素麺協同組合理事長)

 ▽「揖保乃糸」ブランド手延素麺普及活動貢献

 ▽乾麺業界底上げ向上・新興促進、振興貢献

 ▽業界全国団体等組織活動運営、率先推進貢献

 ●井上ゆかり氏(日本ケロッグ代表職務執行者社長)

 ▽朝食の欠食・孤食・栄養改善等課題是正貢献

 ▽シリアル食パイオニア食文化普及訴求貢献

 ▽女性経営者組織等、団体活動積極推進貢献

 ●岩崎浩一氏(日清製粉デリカフロンティア取締役社長)

 ▽新価値創造、未来開拓中食惣菜事業拡大貢献

 ▽物流インフラ食品プラットフォーム構築貢献

 ▽全国団体等組織運営、幅広いカテゴリー貢献

 ●小形博行氏(エスビー食品代表取締役会長)

 ▽シーズニング市場確立等香辛料進化発展貢献

 ▽新タイプ即席ルウ商品による市場価値創造貢献

 ▽全国団体等運営、日式カレーの海外普及活動貢献

 ●工藤茂雄氏(太子食品工業代表取締役社長)

 ▽遺伝子組み換え大豆不使用等新需要拡大貢献

 ▽健康・顧客満足度高度化、和日配食開発貢献

 ▽先進的食文化取組み、業界技術開発創造貢献

 ●新妻一彦氏(昭和産業代表取締役会長)

 ▽製粉事業強化、海外領域拡大推進普及貢献

 ▽企業イメージ刷新、穀物取扱量日本一育成貢献

 ▽製粉・食用油業界、社会的課題解決促進貢献

 ●松田克也氏(明治代表取締役社長)

 ▽乳製品・菓子等普及活動、新価値訴求貢献

 ▽安心・安全等健康新分野発信、課題促進貢献

 ▽全国団体等組織運営、業界産業発展寄与貢献

 ●的埜明世氏(ニッスイExecutive Advisor)

 ▽水産食品・ファインケミカル事業等普及貢献

 ▽食文化創作促進、新価値向上・業界発展貢献

 ▽全国団体等組織運営、脱フロン等課題貢献

 ●山邑芳子氏(櫻正宗監査役)

 ▽寛永以来400年の酒造り、清酒継続発展貢献

 ▽「灘の生一本」地元伝統酒類、新価値発信貢献

 ▽酒造り女性経営「櫻華一輪」伝統魅力促進貢献

 〈技術部門〉

 ●久保村喜代子氏(久保村食文化研究所代表)

 ▽日本アジア女性初高学術IFTフェロー受賞

 ▽食文化・食科学分野、内外新価値創造貢献

 ▽食品香料開発、加工食品用等技術革新貢献

 ●小泉武夫氏(東京農業大学名誉教授)

 ▽日本酒杜氏・焼酎製造技術養成推進貢献

 ▽発酵食品探索「食冒険家」文化深掘貢献

 ▽団体等組織運営、発酵文化技術普及貢献

 〈流通・情報部門〉

 ●井阪隆一氏(セブン&アイ・ホールディングス代表取締役社長最高経営責任者(CEO))

 ▽世界最高水準日本型CVS成長推進貢献

 ▽セブンカフェ等、先駆的食文化創造貢献

 ▽全国団体等組織運営、経済活動発展貢献

 ●伊藤碩彦氏(伊徳代表取締役会長)

 ▽商品調達力強化、経営戦略体制構築貢献

 ▽創業120年超、地場密着経営向上貢献

 ▽地域産業振興・少子高齢化等課題克服貢献

 ●岡本均氏(伊藤忠食品代表取締役社長・社長執行役員)

 ▽消費者起点発想に基づく売場活性化貢献

 ▽冷凍技術活用による地域産業活性化貢献

 ▽全国業界団体等組織運営、発信推進貢献

 ●西原一義氏(西原商会名誉会長)

 ▽外食ユーザーへ的確適時提案体制構築貢献

 ▽食材専門卸機能進化、海外事業等拡大貢献

 ▽全国営業網構築および中小外食企業支援貢献

 〈外食部門〉

 ●谷真氏(すかいらーくホールディングス代表取締役会長)

 ▽おいしさ食文化・安全安心・快適提供貢献

 ▽時代の要請に対応、外食普及貢献

 ▽外食業界食の未来創造、環境配慮型経営貢献

 ●松岡まち子氏(まつおか代表取締役社長)

 ▽「手作りおいしい和惣菜」創作活動改善貢献

 ▽お母さんの味最大表現、顧客密着化貢献

 ▽SDGs宣言等、地域・社会貢献推進活躍貢献

 〈特別部門〉

 ●山東昭子氏(参議院議員・前参議院議長)

 ▽自由民主党食育調査会会長、食育基本法制定貢献

 ▽仏レジオンドヌール勲章シュヴァリエ受章貢献

 ▽参議院で女性議長等活躍、食文化普及貢献

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