キャッシュレス還元事業 大手GMS・SM、高ポイントで対抗

小売 ニュース 2019.10.09 11954号 01面

消費税率が引き上げられた1日以降、大手の総合スーパー(GMS)や食品スーパー(SM)で自社発行の電子マネーやクレジットカードに高いポイント付与や値下げを打ち出す動きが広がっている。中小店だけを対象にしたキャッシュレス化推進のポイント還元策に対抗する様相を見せている。今のところ今月中の期間限定が多いが、長期化が懸念される。(山本仁)

●期間限定も長期化懸念

全国展開するイオンは今月末まで標準税率10%の衣料品、暮らしの品、日用消耗品などを電子マネー「ワオン」の利用で、通常ポイントに加え、さらに税込み200円ごとに5ポイント付与する。

高ポイントを付与する企業も現れた。愛媛のフジは9日までだが、自社の電子マネーもしくはクレジットカードで税抜き200円1ポイントのところ、10倍に引き上げた。マルエツも今月中は自社発行のクレジットカードでポイントが税込み200円で10ポイントのキャンペーンで、会員獲得にもつなげる構えだ。

提案力が強みの企業も警戒感を強めている。今月限定だが、福島のヨークベニマルは同社限定キャンペーンとして電子マネー「ナナコ」で税抜き200円で1ポイントを5ポイントに引き上げ、埼玉のヤオコーもポイントカードで税抜き200円で1ポイント付与するところ、酒を除いて5倍にした。

値下げの動きも出始めた。西友は5日から新価格プログラム「超超得」を開始。曜日別に飲料・加工食品と生鮮の二つのカテゴリーでそれぞれ数品目を週ごと選んで、3日間限定でさらに値下げする企画だ。広島のイズミも1日から食品や日用雑貨の350品を従来価格から最大で3割ほど値下げした。

滋賀の平和堂は国の還元策に対応し、各店舗の周辺でどの店が対象になるか確認して個別対応するとともに、全店では加工食品中心に106品で特別に5%ポイント還元を打ち出しているという。今後について、平松正嗣社長兼COOは「どう動くか分からないが、品目を追加するか、切り口を変えるかだろう」と東京都内の中間決算説明会で話した。

各社とも今月までのキャンペーンが中心だが、国のキャッシュレス推進のポイント還元の対象店は9月25日時点で加盟登録申請数が約73万店を数える。申請は来年4月末まで受け付けるため、対象店は増えそうだ。対象外の大手も販促や値下げが継続すれば、消耗戦に陥る。取引先への値下げや販促への協力要請が強まれば、製配販に悪影響しそうだ。

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