GMS・SM2月期決算 前期増税・天候要因響く コロナで今期見通せず

小売 決算 2020.05.20 12053号 04面

主要な総合スーパー(GMS)、食品スーパー(SM)の前20年2月期(19年3月~20年2月)決算で、28社中14社が本業のもうけを示す営業損益が前年を下回った。昨年10月の消費増税や冷夏、暖冬など天候要因も響いた。今21年2月期(20年3月~21年2月)は新型コロナウイルスの感染拡大がどう影響するか、GMSの食品やSMは3月の売上げは好調なものの、長期化した場合には業績にどれほど影響を与えるか見通しに不透明さが増す。(山本仁)

新型コロナウイルスの影響でGMSは衣料品やテナントが休業でマイナスに作用した。今期業績に与える影響も合理的に判断できないとして、10社中6社が業績見通しを公表できなかった。SMも3社が業績予想を公表せず、公表企業もコロナの影響を織り込んでいない、もしくは3月までの状況を加味したものと暫定的な数値にとどめた。

コロナの影響の不透明さが続く中、グループや業界の再編は進む。業態を超えた競合への対抗、人手不足に対応する業務効率化、調達力を高めるには各地で上位集約化の動きが広がる可能性がある。

イオングループは、SMの再編を全国各地に広げる。イオンリテールの東北カンパニーとマックスバリュ(MV)東北も3月に統合し、イオン東北としてスタートした。イオン北海道も同じく3月にMV北海道と統合し、地域ごとの食文化にあった商品開発と製造から物流の機能を自社で運営する食のSPA化を推進する。

近畿でも3月にダイエーと光洋と経営統合した。前期に販管費を抑制して増益だったイオン九州は9月、MV九州、イオンストア九州と合併する予定。すでにMV西日本は、昨年3月にマルナカと山陽マルナカと統合し、MV東海も昨年9月にMV中部と統合してシナジーの発揮に注力する。

フジは、昨年5月にMV西日本の株式を買い付けてイオングループとの連携を強化しつつ、買収したニチエー(広島県福山市、11店舗)を今年3月に、4月にサニーTSUBAKI(松山市、3店舗)を連結子会社としてグループに入れ、地域シェアを高める構えだ。

増益で計画を達成したイトーヨーカ堂は、店舗構造改革を推進するほか、首都圏SM構想ではヨーカ堂の食品館とザ・プライスを新会社ヨークに移管する。

イズミは、SM改革に本腰を入れるとともにマルヨシセンターと昨年11月に資本業務提携を結んだ。前期の業績は新店、増床・活性化店舗で増収も単体既存店売上げ前年比0.9%減と計画未達だった。増税後の節約志向の強まり、天候不順、新型コロナ感染拡大で外出抑制などが影響、新店の運営費増、人件費・広告宣伝費の増加で営業減益だった。

平和堂は、単体が増収も子会社含む小売事業の売上高不足で連結では減収で、大型投資による費用増と人件費増で減益。今期は収益改善では前期の大型投資効果と既存店改装の実施、販売力強化で売上高向上、粗利益率の改善を図る。

沖縄のサンエーは、パルコシティ出店に関する経費増で減益。今夏に大型店のサンエー石川シティを開業する予定。今期の予想は新型コロナが5月まで影響したと想定。

有力SMのアークス、リテールパートナーズ、バローホールディングスの新日本スーパーマーケット同盟の連携を強化し、スケールメリットを追求する。

大手SMでは、ライフコーポレーションは新店、既存店の改装が寄与し、粗利改善も寄与して増収増益を確保した。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)は、ディスカウントストアやドラッグストアの相次ぐ出店で競争環境が大きく変化し、19年7月の天候不順や9月、10月の台風で一部店舗の休業や時短営業が売上げに響いたほか、原材料や物流費の上昇、人件費などコスト増で減益だった。

営業収益1000億円未満の企業も営業減益で苦戦を強いられた企業が多かった。コロナの影響による内食需要の高まりで収益改善につなげ、コロナ終息後にどう備えるのかが問われそうだ。

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