新型コロナ影響:コメまわり消費急増 ふりかけなど2桁増
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う内食、コメ消費の増大によって、ふりかけといった周辺販売も急増している。トップメーカーの丸美屋食品工業は今期1~2月売上げを2桁増と伸ばし、追随企業も好況。ともに主力品であるメニュー用調味料、即席味噌汁なども増収し、コメまわりで簡単調理といった基本価値が支持された。仮需要だが、過去の震災時もトライアル購買をリピートにつなげ、市場を成長させてきた。蓄積した商品力を好機に生かす。
ふりかけ市場はコメ消費の長期停滞と同時に近年は漸減していた。丸美屋は今年、業界の活性化も目指して「のりたま」の発売60周年企画を充実。1月から販売額を前年比2桁増と伸ばし、コメ需要増で勢いを増した。トップブランドの「のりたま」は年商50億円を超えるが、2月の単月売上げを3割増近くまで押し上げた。市場2番手の永谷園も2月、全社で大幅に増収。うるう年の最終日29日だけ見ると6割増という売上げを記録した。永谷園はトップシェアの即席味噌汁や「お茶づけ」、丸美屋は「麻婆豆腐の素」「釜めしの素」のほか、キャラクターカレー売上げも大幅増。主食のコメまわり、家族向け商材を充実する強みを生かした。
続く三島食品の「ゆかり」は前年並みの推移だが、新商品の「減塩ゆかり」「うめこ」が好調。合計シェア7割弱の3社の増大から全体の急拡大がうかがえる。ふりかけるだけの即食性と子ども向けキャラクターで楽しく、食事が前向きに進み、弁当にも最適な価値が評価された。
春休み需要の先取り感もあるが、東日本大震災の備蓄需要ではノン・ライトユーザーの高齢層を開拓。海産乾物などの素材訴求を中心に新たな消費を得て、市場をつなげてきた。今回も製造ノウハウを蓄積し、高めた味わいを伝える。給食や産業給食での減少を補い、成長余地を増やす。製造はおおむね原料数ヵ月分を確保し、人手不足ながら残業対応などを追求。安定供給に努める。(吉岡勇樹)