メニュートレンド:「中華麺+冷たいタレ」で広がる発想

2022.06.06 520号 02面
写真1 (写真奥)=ウニクリーム 1,000円(税込み)、(写真手前)=ブラックビネガー 800円(税込み)

写真1 (写真奥)=ウニクリーム 1,000円(税込み)、(写真手前)=ブラックビネガー 800円(税込み)

写真2 キャビア 3,500円(税込み)

写真2 キャビア 3,500円(税込み)

このかわいらしい店が冷やし中華店とは!

このかわいらしい店が冷やし中華店とは!

 「冷やし中華、始めました」のシーズンが到来したが、「ひやちゅう(HiyaChu)」は季節を問わず一年中冷やし中華を専門に提供している。同店の冷やし中華は、あのおなじみのカタチにとらわれず、タレも具材も独創的で、常時5種類の冷やし中華を揃えている。ニュータイプの冷やし中華が通年、味わえるという異色の店である。

 ●冷やし中華、年中あります

 「ひやちゅう」は、地中海料理店「ダ・メオ・パタカ」をランチの時間帯のみ間借り営業している冷やし中華専門店だ。三浦直子店主は、ゆくゆくはハワイで展開できる業態を目指し、冷やし中華店を思いついたという。まずはニューヨークで夏季だけの期間限定でポップアップショップを出店してみたところ、大好評。そこで、2019年に東京・赤坂でランチのみの間借り営業を実験的に開始。こちらの営業も好調で、“冷やし中華専門店”という唯一無二のユニークさでメディアにも数多く取り上げられたことから、「この業態は受け入れられる」と見込み、20年4月に現在の店舗で本格営業を始めた。

 同店の「冷やし中華」は従来の概念を大きく広げ、「中華麺を使った冷たい麺料理」と三浦店主は定義している。また、一般的な冷やし中華は、酢醤油もしくはごまダレで調味され、錦糸卵、ハムや蒸し鶏、キュウリなどを具材にしているが、同店ではタレ、具材ともに制約は一切なく、「ハワイで食べたくなる冷たい麺料理のイメージで『私が好きな味』というのが基準でしょうか(笑)」(三浦店主)と自由な発想で作り出している。調味ベースは、おなじみの冷やし中華の酢醤油ダレよりも酸味がやわらかく、どこかシャレた味わいの「ブラックビネガー」と、ニラなどのグリーン野菜ペーストに花椒を加えた「グリーンソース」の2種類が定番。そのほか、時季によってウニクリームや、具材も油淋鶏をどかんとのせたり、キャビアをたっぷりと添えた一皿など、三浦店主のセンスが光る。冷やし中華というよりも冷製パスタに近いが、それでいてイタリアンのパスタともまるで違う独自の冷製麺料理が完成されており、リピーターが多いというのもうなづける。

 冷やし中華は生粋の中国料理ではなく、日本生まれの創作中国料理といわれている。であるならば、「中華麺+冷たい調味」という基準で、王道の形に縛られることなくもっとさまざまなアレンジが誕生してもいい。同店はそんな楽しい可能性を提案している。

 ●店舗情報

 「冷やし中華専門店 ひやちゅう」

 所在地=東京都武蔵野市吉祥寺本町3-10-2 エスカイヤ吉祥寺1階(「ダ・メオ・パタカ」内)/開業=2020年4月/席数=12席/営業時間=11時30分~15時。月曜休/平均客単価=1000円/1日平均集客数=夏期40~50人、冬期20~30人

 ●愛用食材・資材

 「GABAN スターアニス ホール」ギャバン(東京都中央区)

 本格中華の香りをプラス

 肉料理や魚料理の臭みを消して中華風の香りを添えるスパイスの八角。独特の甘い香りと苦味があり、同店では「ブラックビネガー」の調味に使用。「香りがよく本格中華の味わいを作り出すのには欠かせません。同品はとても使いやすく、形状も品質も安定している」と、三浦店主。

 規格=100g

 【写真説明】

 写真1:ウニクリーム 「中華麺を冷製ダレであえた料理=冷やし中華」と潔く定義づけたことで、「この店でしか味わえない冷やし中華」が完成。ブラックビネガーメ ニューの中では王道の冷やし中華に最も近いが、ショウガやニンニクなどの香味野菜を合わせたタレはオリジナリティーあり。椎茸、長ネギ、ツナ、豆板醤などを混ぜ合わせたツナチャツネのトッピングも秀逸

 写真2:キャビア 和風だしを使った繊細な味わいで、「不思議と卵豆腐の味に似ていると言われますね(笑)」と三浦店主。キャビアをぜいたくに添えた特別感から、ホームパーティー用のテイクアウト注文も多いという

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