数字で読み解くフードサービストレンド:値上げは必ずしも全体的な満足度低下に影響しない

2022.07.04 521号 06面

 飲食店では、2021年秋頃から値上げラッシュとなっています。値上げの要因は、原料・容器などのコストの上昇で、コロナ禍以降における労働力不足や、経済再開に伴う原油・物流費・原材料費の高騰によって、世界的にコストプッシュインフレが生じているからです。さらに日本では円安も影響しています。コストが上昇したら、店頭価格も上げたいものの、客離れが心配でなかなか踏み切れない飲食店が多いことも事実です。では、値上げ=客離れなのでしょうか。

 エヌピーディー・ジャパンが提供する外食・中食市場情報サービス「CREST」で、値上げした飲食店でどのような影響があったのか、見ることができます。

 値上げの先駆けとなった牛丼チェーンで、利用者の満足度が値上げでどう変化したかを見てみると、「値ごろ感の満足」についての「満足」+「やや満足」の比率は、値上げ後70%台から60%台へ落ち込みました。ただし、全体的な満足度が下がったかといえば、そうではなく、このチェーンでは逆に全体的な満足度は値上げ後、上昇傾向となりました。

 消費者がその店を選ぶ理由や、選んで満足し、また来ようと思う理由は、価格だけではありません。価格だけではない価値(例えば、料理のおいしさや、スピーディーなサービスなど)を感じてもらうことで、全体的な満足度は上昇し、客数減少につながらないことがあるという好例です。ただ単に値上げをするのではなく、自社の強みを生かした価値を伝える施策が重要です。

 (エヌピーディー・ジャパン 東さやか)