お店招待席 「とんかつ村」(神楽坂) メニューは一つ、特選ロースカツセット

1992.08.17 10号 4面

《□直営の牧場と 精肉工場》 直営の牧場と精肉および加工肉工場をもつ㈱ホソヤミート(本社千葉・佐倉市)の経営。オープンして六、七年になる。外堀通りから神楽坂商店街を二〇メートルほど上がったところの右手、ビルの地下一階。通りからは店は見えない。総ガラス張りの店舗で、一見するとファーストフード(FF)ショップという趣である。

店舗面積約一五坪。タテ長の店舗でカウンター一五席、テーブル二六席の中規模店。内装はモノトーンでシンプルそのもの。無機質すぎて温かみに欠ける面があるが、FF的な売り方をしているので、店のコンセプトからすると常識的な店舗造作だという。

「ボリュームがあって安いというメニュー提供を出店コンセプトにして、しかも学生さんなど若い人が集まる地域を立地条件にしていますから、正直いいまして客単価を高くする滞留型の店舗運営は、当初から考えていなかったのです。あくまでもとんかつのFFショップというコンセプトです」(副店長会沢賢一氏)。

《□ソースも1品》 オープン当初はロース、ヒレカツとメニューバリエーションがあり、とんかつソースもオリジナルブレンドの白、赤、黒と三種類をおいていたが、さらにFF化を高めるために、この7月16日から思い切ってメニューも、ソースも一種類だけにし、徹底してムダを省くことにした。

いわば、究極のとんかつショップということである。メニューがたったの一品とはさびしい気もするが、長年のABC分析の結果からの判断だという。

《□価格は650円》 その一品メニューとは、「特選ロースカツセット」のことである。価格は六五〇円。もちろん、ライス、みそ汁がつく。ロースカツのボリュームは一三〇㌘。一般的な店だと一〇〇㌘前後であるから、ポーションが一回り大きい。

これに新鮮なキャベツがたっぷりつくのもうれしい。ソースはとんかつ用の黒ソース。市販もののソースだが、ドロッとしていて甘辛く、かつの風味とよく合う。

かつはカラッと揚がっていて、歯ざわりがよい。油はラードを使い、油温は高めの一九〇度で二分ほど揚げる。ランチタイムの繁忙時には連続クッキングが可能になるので、調理時間は一分間に縮まる。ふつうでもテーブル出しまで三分で済む。

《□昼間は4回転》 「FFスタイルのとんかつ専門店」と称するゆえんであるが、このスピードクッキングで昼は四回転に高まる(夜は二~二・五回転)。とくに昼のランチタイムには、お客が列を作るので、効率的なクッキングは不可欠なことである。

「肉材は直営の精肉工場から配送されてきますが、人件費も光熱費もいろいろと値上がりしますから、メニューを安く提供していくとなると、回転率を高め、ムダを省いていくしか、経営の効率化を図る道はないといえます。そういう意味では、この店も可能な限り効率化が図られていると思います」と会沢副店長。

《□平均日商20万円 営業成果は上々》 平均日商二〇万円。繁忙期には三〇万円を達成するときもある。神楽坂店の場合は東京理科大学や法政大学、日本歯科大学など学生層が中間客層であるが、しかし夏、冬などの休校時には学生が少なくなるので、これに連動して売上げも減少する。

しかし、通常ベースでは店の営業成果は大きく上がっている。神田神保町には二号店がある。やはり同様の運営状況をみせている。

住 所 東京都新宿区神楽坂二‐一〇

電 話 03・3268・8756

営業時間 午前10時30分~午後10時30分(無休)