シーフード・ビジネス最前線 「レッドロブスター」ロブスターは米国から空輸
シーフードビジネスといっても、日本市場の場合は、フルメニューを揃えたディナーレストランはまだまだ未発達である。しかも、そのチェーン企業となると数は限られる。日本の本来のシーフードレストランというと、「すしショップ」ということになるのかも知れない。
すしもりっぱなシーフード、それもヘルシーフードという認識を強くしている。市場規模一兆六〇〇〇億円(平成3年度(財)外食産業総合調査研究センター推計)、全外食市場の五・七%のウエイトにある。刺身も日本の伝統シーフードであるなら、これは割烹料理店や居酒屋でも食することができる。
こういう視点でみるなら“日本的シーフードレストラン”はどこにでもあり、むしろ成熟マーケットという状況にあるとさえいえる。しかし、前述したように、ディナータイプのレストランとなると、市場の拡大はこれからである。
「レッドロブスター」「かに道楽」「中納言」の三チェーンにスポットを当て、その出店戦略をみてみることにする。
レッドロブスターの第一号店は六本木店であるが、三年前にクローズドしてしまっている。投資の割には十分な成果(年商目標五億円)が出なかったという理由からのようだ。六本木はたしかにフッショナブルで、感性の高い街であるが、ナイトレジャーおよび飲食サービスについては、むしろアルコール主体の運営形態がベターで、アダルトの客層を志向するディナーレストランは不向きであるかも知れない。
とくにロブスターを看板メニューに野趣味をアピールしようとするのならむしろ郊外の生活道路やレジャー幹線道路沿いなどモービリティの高い場所での出店がベストである。
現にアメリカのシーフードレストランは、レジャー、観光地であるとか、郊外のロードサイドとか、人の往来の著しい場所での出店が多く、ダウンタウンでの立地は少くない。
レッドロブスター日本上陸の第二号店は、湘南の江ノ島店、また第三号店は東京・杉並の宮前店であるが、各店共にレジャー道路や幹線道路沿いでの出店で、現在なお店は順調な営業を続けており、大きな成功を収めている。
レッドロブスターは、当初の立地戦略は「都市型」と「郊外型」の二つのパターンを考え、店舗の大きさも一〇〇坪くらいで客席一〇〇~一五〇席を標準規模として、出店していく計画であった。店舗スケールはアメリカでの出店よりも、一回り縮小したものであった。
それが六本木店、すなわち都市型店舗のクローズドで、都市近郊のロードサイドや地方都市の幹線道路沿いといった駐車場付きの店舗出店ということになった。しかも、店舗の大きさもアメリカでの出店並みに、客席も一八〇~二〇〇席規模と大型になった。
メニューはロブスターが看板メニューであることは変りはないが、しかし、よりメニューにバリエーションをもたせ、また新鮮なものを安く提供するために、国内の魚介類も導入していくことにした。しかし、基本メニューはロブスターにシュリンプ、クラム、スカロップなど三〇アイテム前後。
看板メニューのロブスターは、アメリカから空輸してきているもので、店ではボイルしたものの単品か、帆立貝やサラダとセットにするなどバリエーションを拡げて提供している。価格は五〇〇グラム(一・五ポンド)あたり四五〇〇円。
ボリューム満点のメニューで本来ならば一万円くらいはする価格だという。メニュー料金が安く提供できているのは、米レッドロブスター(ゼネラルミルズ)のバイイング機能によるものといい、全米スケールによる量的な買い付けがメニュー単価を安く引き下げている。