デナロ、回転寿司向けタッチオーダー寿司テム「注文くん」開発

1996.09.16 111号 22面

(株)デナロ(東京都千代田区、03・3252・2401)は、回転ずしの神田川商事(有)と共同で回転ずし店舗向けにメニューパネルを指で押す「タッチオーダー寿司テム『注文くん』」を開発した。安い、早い、豊富なネタをウリに成長を続けている回転ずし業界も、大手資本企業の参入や価格の安いラップのすし、便利な宅配ずしなど、同業・異業種交えて戦国時代の様相を呈している。クルクル回しているだけの商売から一歩進んだ積極的な商売が明暗をわけそうだ。

「注文くん」はメニューパネルをピッピッと押すだけ。お客様がボタンを押すとオーダーが直接、板さんの表示パネルに順次登録されるため、食べたい品を握りたてですぐに食べられる。サビ抜きやお好みを板さんに気兼ねなくオーダーできる。

一方、調理場では注文を受けてから作るのでロスがない。注文を聞き漏らしたり、順番の間違いもなく信頼が得られる。一日のリース料金はパートさんの二時間分程度でホールスタッフの仕事が軽減され、人件費の節減にもなる。

回転ずしを千葉と埼玉で展開する神田川商事の佐藤正造社長は「握りたてはすしが一番おいしい。人肌ぐらいのシャリで海苔もパリッとおいしい。注文くんがあれば少スタッフでこれが可能。当社はネタを常時五五品目揃えているがレーンに流すのは大衆的な価格帯を中心にせいぜい十数種。一〇人に一人ぐらいしか流れていないものは注文しない。これを改善してさらなる需要につなげる方法を考えていた。注文くんを付けたら、気兼ねせずにゲーム感覚で注文できるので今まであまり売れない高価なネタが売れるようになり、相対的に売上げが五~一〇%伸びた。板前も一人一五人ぐらいの客を相手にするが、お好みが入っても焦らず正確に出せるのでストレスが最小限で済む」と顧客サービスにもなり、売上げも上がり、板さんにもやさしいと、7月からの試し期間の成果を語る。

佐藤社長は「将来的には立ちのすしにしたい。一人の職人が一〇人の客をこなせたら同じネタで三割の価格ダウンは可能」と注文くんで新たな商売構想を模索している。

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