シリーズ・売れる惣菜 自然発酵食品の傑作「キムチ料理」 塩分控えめ・肥満も防ぐ

1996.11.18 115号 19面

漬け物業界の顔色がさえない。たくあん、梅干しも不調、人気の高かった浅漬けも伸び悩む。この中で、韓国産のキムチは好調で輸入は急増中。また、国産キムチも品質が向上し、スーパーの売れ筋として定着した。

キムチの人気の秘密は、低塩でビタミンとミネラルの宝庫で極めてヘルシーなのが理由。辛み成分のカプサイシンは、溶脂作用があり肥満防止に効果的。韓国女性に肥満者が少ないのもキムチの影響である。

韓国ではキムチを自然発酵食品の傑作と自慢するのも当然で、現在では日本をはじめとしてアメリカ、中国(東北省に特に多い)、中近東などでもよく見かける。アメリカではKIM‐CHEEと書き、英語となっている。

そして、キムチの種類は二四二種とバラエティーに富み、好みの味を作って家庭ごとに楽しむ。

代表品種をみると‐‐

●ペチュ=だし昆布、リンゴ、ショウガ、すりニンニク、アミの塩辛、粉末唐辛子、荒びき唐辛子、砂糖、荒塩

●スンム=タラコ、ショウガ、すりニンニク、粉末唐辛子、中びき唐辛子、砂糖、荒塩

●オイ=ショウガ、リンゴ、アミの塩辛、すりニンニク、粉末唐辛子、糸唐辛子、昆布、砂糖、荒塩

●ボッサム=ナシ、クリ、乾椎茸、ナツメ、カキ、イイダコ、イワタケ、松の実、ニンニク、ショウガ、アミの塩辛、粉末唐辛子、荒塩

これらをベースに、単一の野菜ではなく、白菜、大根、ニンジン、長ネギ、ニラ、カブ、紫玉ネギ、小松菜、キュウリ、ニンニク、セリなどを数種ずつ組み合わせて漬け込む。辛さも家庭の好みによって異なる。

三食の食事に欠かせないキムチであるが、単なる漬け物ではなく、料理素材として大活躍する。日本の有名居酒屋のメニューにもキムチ料理として若鶏キムチ味、キムチギョウザがみられ、人気のほどが理解されよう。

韓国でみるキムチ料理はまさに庶民の味で、手軽、美味、安上がりである。メニューでは、キムチスープ、キムチチゲ、牛もつのすき焼き、キムチと豚肉炒め、キムチの牛肉巻き、イワシとキムチの煮付け、キムチの炒めご飯、キムチ入りお好み焼き、などとなる。

代表的な作り方を紹介すると(四人分)

●キムチスープ(キムチを具にしたスープ)=白菜キムチ二〇〇g、煮干し三〇g、ごま油大さじ一、醤油大さじ一、ニラ少々

(1) 鍋に水六リットル、頭とはらわたを取った煮干しを加え、一五分ほど煮出してだしを取る。

(2) キムチを小口切りに。鍋にごま油をひきキムチを炒め、色が変わったら醤油を加え、(1)のだし汁を加え、味を調える。ニラの小口切りをあしらいに。

●キムチ炒めご飯=ご飯八〇〇g、白菜キムチ四〇〇g、ごま油大さじ四、醤油、いりごま

(1) キムチを小口から一・五センチメートル幅に切る。

(2) 中華鍋にごま油を熱し、ご飯を加えてよくほぐし(1)を入れ、よくまぜていりごまをふる。

●キムチチゲ=牛・豚薄切り肉各一〇〇g、豆腐一丁、生椎茸四個、玉ネギ小半個、ワケギ四本、白菜キムチ三〇〇g、合わせ調味料(ニンニクみじん少々、醤油大さじ一、ごま油大さじ一、コショウ少々)、コツジャン大さじ一、味噌大さじ二

(1) 牛・豚を合わせ調味料で下味をつけておく。玉ネギは薄切りにして肉と合わせる。

(2) 椎茸は薄切り、ワケギは四センチメートルの長さに切る。

(3) 鍋に材料を並べ、コツジャンと味噌を水で溶いた煮汁で煮る。冬一番の食べ物となる。

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