名古屋版 「有機野菜」名古屋でも生産流通セミナー

1997.05.19 127号 17面

「安心・安全」をキーワードに有機野菜の需要は高まる一方だが、昨今ではそれに加え「おいしさ」への探求が盛んである。客の商品に対する価値観がレベルアップしている時代、食卓へのリピート率が真価のカギとなる。おいしい料理を作るための素材としての「有機野菜」がもう一度問われる時期にきている。

現状分析をしながら、生産者、流通業者、スーパーや外食産業界の人々が理解を深め役割分担をした上で協力しあえる体制づくりをと、㈱セイツーは3月24日、第一回「有機野菜」生産流通セミナーを開催。パネルディスカッションが行われた。

出席者は、コーディネートをつとめるおおやかずこ・フードコーディネーター、パネラー有馬充・㈱無量井ストア青果部長、舘本勲武・㈱デリカフーズ社長、奥村晃・㈱セイツー社長の四氏。有機野菜を素材として、いかに健康で豊かな食事メニューの提案ができるか、ニーズと課題について考えを述べ合った。

舘本 われわれの仕事はまず、産地間の競争をなくし、良い人間関係をつくるベースを築くことだ。産地と川下との距離を縮める組織づくりをするのがデリカフーズの役目だと考えている。

おおや 有機野菜の売り方として差別化を考えるべきだ。今、みずみずしさという、本能的、生理的な「おいしさ」への訴求が必要だ。

有馬 うちではラインの中のひとつのアイテムとしてとらえている。それが野菜全体の差別化につながってゆくのではないか。

おおや 奥村社長は客のニーズをとらえて生産者へ投げかけるという、コントロールタワーの役割をされているが。

奥村 最近、フードサービス、食品加工、外食産業から引き合いをもらうようになり、消費者のニーズを把握。調理方法に適する品種提案も必要になってきた。素材の特性を知り、料理方法を含めたオリジナリティーを差別化として考えるべきだ。

おおや それは大切なポイント。同じ素材でも野菜の場合も煮物用、大根おろし用と、下処理の仕方を工夫しメニュー方法を提案するなど、踏み込んだ売場づくりが大事ではないか。

舘本 健康、家族構成、調理時間の三点を考慮に入れたメニューづくりを提案してゆく必要がある。「つくる、運ぶ、提供する」の三者がどう手を組むのかがこれからの課題だ。

奥村 有機野菜は鮮度が命。いかに早く、いかにたくさんメニューの中に取り入れ、また商品開発を行うかをみんなと一緒になって仕掛けてゆきたい。

おおや 「おいしさ」とは見た目のおいしさ、食べたときのおいしさ、また食べたくなるおいしさの三拍子。有機野菜は「おいしさ」をまず徹底した上で、「情報提供」する売場づくりができるか。ネットワークを組みいかに食卓をおいしく豊かにするか。これを今後の目標にしたいと思う。

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