お茶専門店特集 「麻布茶房ウイング高輪店」抹茶メニューで若い女性つかむ
東京、軽井沢、静岡に一五店舗を構える和喫茶「麻布茶房」は、女性なら一度は行ったことがある店といえるのではないだろうか。店内は黒のテーブルと抹茶色の座布団のあるイスで統一し、シンプルなインテリア。最近の傾向もあって、デザート類の味も全体的に甘さおさえめで、客が甘さを加減できるようにシロップなどは分けて出すようにしているという。
「一号店をオープンさせて五年目くらいから、抹茶を使ったメニューを出しています。抹茶そのものとお菓子をつけたメニューもありますが、抹茶をアレンジさせたものが人気です。意外に若い女性にうけていますね」(宮腰本部長)ということで、抹茶を使ったメニューを数多く出している。
夏場の多いときは、一日で抹茶一Kgを使ってしまうほどである。宇治のものを用途別に二種類仕入れているが、抹茶は風味を損なわずに客の前に出すのが難しい。「麻布茶房」では風味を逃さないためにも、抹茶あんみつなどについているシロップも一ヵ所でつくらず店舗ごとにつくって出すというこだわりぶりだ。
こうして抹茶はここの人気メニューになっていったが、日本茶のメニューは見当たらない。以前は煎茶と和菓子のセットもメニューにあったそうだが、いまではサービスで出しているだけとなっている。
「やはりお茶はサービスという意識が強いらしく、お茶にお金をだす人はあまりいなかったんですね。こちらとしては、サービスのお茶と区別するよう器や入れ方、作法にもこだわったのですが、手間のかかる割に……という結果になってしまいました」
日本茶の躍進は、消費者の意識からということになるかもしれない。
◆「麻布茶房ウイング高輪店」(東京都港区高輪四-一〇-一八、ウイング2F、電話03・3440・5261)