これが21世紀の野菜だ にっぽんの植物工場(21)カラーピーマンの栽培
◆鉄人坂井シェフのアドバイスで…
高橋氏が脱サラして宮古島で水耕栽培に取り組んだのは昨年、料理の鉄人として知られる坂井シェフの「これからカラーピーマンは、食材として有望」とのアドバイスをきっかけにスタートしたものだ。
カラーピーマンの栽培は、比較的高い温度を必要とするため宮古島には適しており、また、水耕栽培の導入で周年安定し、収穫も早いため農業ビジネスとしての魅力が期待されたからだ。
栽培を開始して五ヵ月。夏に台風や害虫の被害を多少受けたものの収穫はまずまずで、島内のレストランやスーパーに出荷している。新鮮であること、鮮やかな色、健康のイメージ、加熱する料理にも適する、料理のアクセントにもなる、といったことから、イタリアンレストランではサラダ、パスタに、また、スーパーでは彩りも楽しいパック詰として好評である。
オーナーの高橋さんにおいしい食べ方を聞いたところ、浜辺でのカラーピーマンの直焼きが最高だとか。皮がむけて身は柔らかく、甘いジューシーな風味は、従来のピーマンと異なりメーンディッシュにしてもよいほど魅力ある食材。
現在、高橋さんの収穫量は約一〇t、土耕栽培の三倍ほどになっている。養液のコントロールや病虫防除の点で研究の余地はあるが、植物工場のように数値化された農業は、何か問題が発生しても原因が分かりやすく、改善が速いというのも新規導入者にとっては心強い。
育苗から収穫まで計画的にできるよう設計された水耕システムは、高橋さんの今後の夢をどんどんふくらませていく。
ピーマンばかりでなく、ハーブや小松菜などの葉菜にもアイテムを増やし、夏の栽培にも挑戦したい。また、販売ネットワークも全国的に構築したいと意欲満々だ。
これからは情報で農業を切り開く時代。食べる人、料理する人、運ぶ人、作る人が輪になって進まなくてはいいものは生まれない。安全で、おいしく食べて健康になるという食物の基本をこの植物工場で実現しようと、料理を作ることを想定して種を蒔く時から農業をデザインしている。
★生産者=(有)高橋カントリー農園・高橋康浩(三六)
★所在地=沖縄県宮古郡城辺町字下里添、電話09807・7・8859
★栽培作物=カラーピーマン(黄・赤・オレンジ)
★栽培規模=三二七坪
★栽培株数=一二〇〇株
★施設内容=自然光型M式水耕栽培プラントDFT型M