まかない味シュラン(18)フランス料理店「ラ・クイエット」新人だって戦力
駅前の繁華街から少し離れたビストロ。入り口はこじんまりとしてシンプルだが、店に入ると、ピンクベージュの壁と、赤と白のテーブルクロスが華やかさを演出する。今年7月にオープンしたばかり、従業員三人の店だが、シェフの加藤さんはフランス料理一筋一〇年のキャリアをもつ。前の店にいたころオーナーと出会い、「ラ・クイエット」をオープンさせるに至った。地元に根づいたビストロということで、値段もコースで二五〇〇円から七〇〇〇円。手ごろな値段でボリュームもある。年配の方に常連が多いのも特徴だ。
まかない食づくりは新人の仕事だが、ここでは即戦力としても期待して、店に入ってもらった。
「普段あまりああしろ、こうしろとは言いませんが、二人で厨房を仕切るので、一つの仕事をする間に五つの仕事ができるように、効率よく、丁寧に仕事するように、とは言います。彼が上になった時のことも考えて、仕事に責任感を持てるように仕事を与えています」と加藤シェフ。
まかないの基本方針としては「お客さんにも出せるくらいのもの」。その日の仕入れを見て、従業員(三人)分も数として計算する。
「まかないをけちることはしたくないんですよ。食が豊かになると、心も豊かになります。心が豊かでないとおいしい料理は作れない、と僕は考えますから」
普段は客に出すものとほぼ同じ料理になるというが、手の空いたときは、一つの素材をテーマとして与えたり、オムレツなど技術が必要なものをリクエストすることもある。
「オムレツやサラダのドレッシングは、技術とともに味の創造性も身につくので、いいテーマですよ」
今日は肉屋が間違えて仕入れた牛スネ肉をまかない食に入れた。
「さすがにスネ肉は高いので、普段はまかないにしませんけど。ま、今日は安く入ったから」とニッコリ。
▼所在地=東京都調布市布田二‐二五‐三、岡本ビル一階、Tel0424・87・2700▼創業=平成10年7月▼営業時間=午前11時30分~午後4時30分、6時~10時30分、日定休▼坪数・席数=三〇坪・三六席
●牛スネ肉のポテ
■作り方 牛スネ肉、玉ネギ、ニンジン、セロリ、ジャガ芋、キャベツをブイヨンで煮込む。塩・コショウ、香辛料で味を調える。
■ポイント この上にブルーチーズをスライスしてのせて食べても美味。
●若鶏のガランティーヌ、ウフポッシェの親子サラダ
■作り方 詰め物をした鶏もも肉をオーブンで焼く。ワインビネガー、塩を入れたお湯に卵を落とす。クルトン、ベーコン、サニーレタスを中央において、盛りつける。マスタード入りマヨネーズをかける。
■ポイント 盛りつけや味のバランスの練習にぴったり。
●魚のスープ
■作り方 タイ、サーモン、アナゴ、玉ネギ、ウイキョウ、セロリ、ニンジン、トマト、白ワインをコトコト四~五時間煮て、裏ごしする。
■ポイント お客にはムール貝やエビなどの具を入れて出す。