食中毒と目で見る管理のサニテーション 怖い「交差汚染」の発生
最近の一般消費者が、食品の安全・美味・栄養などに寄せる関心の度合いが高まっているなかで、食品による事故は、社会的に企業イメージに大きく影響を及ぼすことにもなりかねない。
従って、食品販売者は「安全な食品を、常時提供する義務」が生じ、これに応えていかなくてはならない。これを怠った場合には、消費者保護基本法(昭和43年公布)で法的責任が訴求される。
一、食品の製造又は販売を業とする者として、社会的道義責任を有する。
二、食品の製造又は販売する上で義務違反をした場合、法的制裁が以下の項目で追求される。
(イ)行政上の責任
・営業許可の取消等(食品衛生法第22条、第23条)
・第30条罰則(三年以下の懲役又は二〇万円以下の罰金、情状により併科する事ができる)
(ロ)民事上の責任
・民法第709条(故意又は過失に因って生じたる損害を賠償する責に任ず)
(ハ)刑事上の責任
・刑法第211条(業務上必要なる注意を怠り因って人を死傷に致したる者は五年以下の懲役若しくは禁固又は二〇万円以下の罰金に処す)
よって食品販売者は人命を預っているといっても過言ではない。
食中毒は、飲食物を介し体内に入った病原菌や有毒有害な化学物質により起こる急性の胃腸炎病等を言うが、「うちに限って大丈夫」と安心できないのである。
近年では、一般消費者の健康や安全面から、食品の腐敗やカビの発生を防止する化学薬品などの添加物や、農畜産物、養殖漁業の防疫薬剤が食品中に残留するため、大幅に法律の規制を受け、逆に付着微生物(食中毒菌など)の増殖条件を良好にしている。
また、細菌の増殖条件として、水分、温度、栄養の三要素があるが、食品販売者は、食品を低温状態で管理しての増殖を抑制してきたが、最近では、百貨店、量販店、コンビニエンスストア、ファーストフード店などに駐車場が完備されるようになり、顧客は半径三~六㎏㎞以内、あるいは遠く一〇㎞以上も離れた住宅地から来店してくる。
従って喫食までに食品の温度上昇を見逃す恐れがある。
このような状況下で、食品販売者は食品に細菌を付着させないように、今まで以上に努力する必要がある。
《さらに従業員の 自主管理徹底を》 食中毒は、たった一人の人間の不注意で交差汚染することもあり得るので、従業員の衛生及び自主管理を徹底することが肝要である。そのために、食品関連の企業では、従業員に対しての現場教育が厳しく行われている。
このような努力と管理のなかで配慮がなされても、異種食品との交りや、いろいろな器物(タオル、人の手指、調理器具、施設ほか)を介して交差汚染が発生し、食中毒が起こる場合もある。
これらを防止する手段として、種別、用途別にカラーコントロールすることで、“目で観る衛生管理”によって、提供する食品の安全性かつ鮮度保持が一層高まり、顧客サービスの向上と、企業姿勢の差別化につながる。
(㈱新和サニテーションマニュアルから)