シリーズ・今年の中部外食(19)居酒屋編:じゃぽん屋
外食業態の中で唯一好調だといわれるのが「居酒屋」。一般的な傾向として消費者の外食回数は減少しているが、そのうち居酒屋で使う一人当たりの合計金額は変わっていないといわれる。厳しい目で店を選び、選んだからには回数の減った分一回に払う金額は多くなっているとのことだ。だからこそ、客に選ばれる店をめぐっての争いはし烈を極める一方だが、今回は話題の店を訪ね最近の奮闘ぶりを聞いた。
名古屋駅東側の地下街を抜けた広小路沿い、「名駅メルサグルメ館」の地下にあるのが「じゃぽん屋」。
まわりに同じ居酒屋は約一〇店舗ほどあるが、そのほとんどは大手チェーン居酒屋で客単価は低い設定。したがってそれより少し高めの同店にとっては直接競合となる店は少ない。
ここは(株)ペルソナ(本部=名古屋市中区、Tel052・332・5774)が展開する居酒屋業態の中のひとつで、中部地区に四店舗展開させるうちの一店舗。
オープンは七年前で、刈谷雅徳マネジャーによると「開店以来あまり景気に左右されず、確かに厳しくはあるが大きな落ち込みもない」との話。現在でも、一五〇席の大型店にもかかわらず夜は確実に一・二回転はする好調さだ。
店内は安土桃山時代を再現したつくりになっていて、シックな中に金銀をほどこしたぜいたくで華やかな雰囲気。料理は和・洋・中をそろえ全部で九〇品目。定番メニューのほか「素材のお楽しみ料理コーナー」を設け、じゃぽん屋オリジナル料理の牛タンのネギ焼(四八〇円)、ゴイクン(エビと野菜の生春巻き、五八〇円)、マグロのカルパッチョ(六八〇円)、揚げ鶏と野菜あんかけ(五五〇円)などを用意。
また女性客の多いことからデザートを充実させ、特に焼きリンゴのアイスクリーム添え(五五〇円)は人気とのことだ。
「この店で二時間過ごしてたとえば四〇〇〇円とする。最近のお客さんはそこでどれだけ満足感を得られるか、を選ぶ基準にしている。大手の居酒屋チェーンには商品力では負けるけれど、熱いものを熱いままに厨房から最短距離で運ぶ、ホールスタッフのきめ細かいサービス、料理のおいしさはもちろんだが演出にこだわり、見せ方を工夫するなど、勝てる要素もたくさんある」(刈谷マネジャー)と、現在の単価で最高に得られる満足感をどこまで追求してゆけるかがこれからのポイントと話している。
年間売上げ、三億円が目標。
◆「じゃぽん屋」(名古屋市中村区名駅四‐二四‐一三、メルサグルメ館B1F、Tel052・581・5771)営業時間=午前11時30分~午後2時、5時~11時(日・祭日午後5時~11時)、年中無休、客席数=一五〇席、平均客単価=三〇〇〇~三五〇〇円