飲食業界のアイドルを探せ(16)キリン食堂・鳴嶋久恵さん
店内に一歩足を踏み入れると、餃子を焼く香ばしいにおいやラーメンをゆでる真っ白な湯気よりも先に、まず彼女のまぶしい笑顔が目に飛び込んでくる。
「いらっしゃいませっ。こちらへどうぞ!」
鳴嶋久恵さん。二一歳。8月にオープンしたキリン食堂のオープニングスタッフとしてアルバイトに精を出す毎日だ。
その素敵な笑顔と底抜けの明るさに惚れ込み、店長自らスカウトしたというだけあって、彼女の立居振舞には華がある。
「正直言って、キリン食堂のスタッフとしてはまだ未熟です。お客さまへの応対についても勉強不足だと自覚しています。だからせめて元気良く、と思って」
そこへ一組の親子連れが来店。鳴嶋さんは男の子の目の高さにしゃがみ、飴玉をひとつ差し出した。むろん子供は大喜びだ。こんな気配りが自然にできるのも彼女の魅力だろう。
「毎日緊張の連続だけど、でもいつも何か新しい発見があるから、楽しいです。失敗? もちろんありますよ。この間も餃子の油をひき忘れて、社長に大目玉をくっちゃいました」
そう言ってぺロッと舌を出す仕草がまた憎めない。
そんな彼女の趣味は、スポーツクラブでたっぷり汗を流すこと。ハードな立ち仕事を終えてからの運動とはなんとタフな。
「最近、足の疲れがとれる運動法を発見したんです。だからかえって楽なんです」
現在、鳴嶋さんは調理においてはたまに餃子を焼く程度だが、いずれはほかのメニューにも挑戦してみたいという。
「実は私、料理が苦手だから、花嫁修業のつもりでがんばっているんです。でもラーメンと餃子しか作れない奥さんじゃ失格ですね」
これまたさわやかに笑った。
◆「キリン食堂」=神奈川県相模原市星が丘二‐一‐三、Tel042・754・4541