ヒット食材徹底検証:金印わさび「生おろしわさび」

2000.04.03 201号 15面

外食市場の活性化に貢献した業務用加工食品の功績を記念表彰する「業務用加工食品ヒット賞」は、本紙創刊五周年を契機に各関係団体協力のもと創設された。これまでに「和食」「洋食」「中華」「給食」の四部門で計三六製品が受賞に輝いている。これらの製品は、昨今の消費低迷のなかでも元気いっぱいだ。ではヒットの要因は何なのか。このシリーズでは、受賞ヒット製品の開発コンセプトと成功要因を徹底検証する。今回は、和食部門で受賞した「金印生おろしわさび」(金印わさび(株))。

金印わさびが「金印生おろしわさび」の開発に成功、商品として世に出したのは昭和48年のことである。既に二七年の販売実績を誇り、約一○○アイテムにも達する同社商品のリーダー役を果たす。

昭和4年の創業以来、今日までの七〇年の業歴は、「わさび製品」のパイオニアとして、より高品質、よりニーズに沿った商品の研究・開発に明け暮れた年輪の積み重ねだったと言っても過言でない。

それを裏付けるように、同社は当初から研究開発型企業として、常に最新のテクノロジーを導入、開発・改良に全精力を傾注して来た。

そのさらなる充実・具現化を目指して、西洋わさびの契約栽培主産地が長野県から北海道に移ったのを機に、昭和43年に網走工場を完成。その後、57年に網走研究所を、62年には、網走市、農業協同組合、金印わさびの三者により網走市農産物高次加工研究所を設立した。

そうしたノウハウを生かした集大成として、平成6年に「オホーツク事業所」を完成させ、加工わさび専業トップメーカーとして、その地位をますます揺るぎないものにした。

同工場の規模は、一万○六四七平方メートルの敷地面積に、建築面積四一六三・二二平方メートル、建築延面積五七八三・一三平方メートルの重量鉄骨造り地上二階建て。設備は、前処理室、撹拌室、充填包装室、立体自動冷凍倉庫、原料冷蔵庫と、オートメ化された合理的なラインを構成、最新鋭の一貫システムファクトリーとなっている。

ところで、ワサビは漢字では「山葵」と書き、学名を「Wasabia Japonica Matsumura」という。春先に白い花をつけるアブラナ科の多年生植物。食用の歴史は古く、平安時代に書かれた「本草和名」によると「深山に生え、葉が銭葵に似ているので山葵の名が生まれた」という。

主産地は伊豆の天城、静岡近郊、信州の穂高、島根県など。ワサビの辛さは、胃や腸を荒らさないばかりでなく、唾液の分泌を促し、食欲増進の効果もある。さらに、菌の発育を抑制する制菌作用があり、栄養面ではたんぱく質、でんぷん、ビタミンCを多く含む。

「なま物にはワサビ」という風習は必然性から生まれたもので、これからもさまざまな商品展開が期待できる食品だ。

金印生おろしわさびは、本わさびと生西洋わさびを、特許製法によりすりおろし、ミックス凍結した純粋の生製品。アイテムとして金印生おろしわさび「お造り用」二○○g、同一○○g、同生おろしわさび二○○g、同ブロータイプ二八○g、同一○○g、同冷蔵タイプ八○○g、同三○○gなど多彩。

今後も「天恩、地恩、人恩に感謝し、ワサビを通じて、人類の健康づくりと世界の食文化の向上に貢献しよう」という経営理念で一層の飛躍を目指す。

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