宅配中華特集:上海エクスプレス・杉崎幹雄社長に聞く

2000.06.19 206号 3面

‐‐現況について。

杉崎 現在の店舗数は直営が二三店、FC七店の計三〇店舗。メニューアイテムが豊富な中華宅配は、客にとっていろいろチョイスできる良さがある。

ピザに比べ後発の当社は、ニッチ市場的なところから始めたが、五〇~一〇〇店舗になればもうニッチではない。直営を中心に確実に売上げを伸ばしており、順調なペースできている。

ただ人の教育が一番大変なところだ。ピザはアルバイトでも焼けるが、中華はコックを育てなければならない。それだけ新規参入がしづらいが、出店ペースを上げることもできない。

‐‐今後の課題は。

杉崎 現場をフォローすることが本部の最大の仕事と考えている。そのために受注などの事務処理を本部に集中させるシステムを作った。

これからは電子メールでオーダーを取る時代になる。いまインターネットの普及率は世帯でみると一五%。それが三年後には五〇%ぐらいになるだろうとみている。

インターネットを活用したIT(情報技術)の強化がこれからの課題だ。いまインターネットなどWeb上でオーダーを取り、自動的に各店舗に振り分けられる仕組みを構築中だ。

今年の秋には、皆さんがびっくりするようなシステム(ビジネスモデル)になっていると思う。

‐‐具体的には。

杉崎 詳しいことはまだ言えないが、特許を取る準備をしている。これから宅配は選別の時代に入っていくと思う。インターネットの特許を持っていないと生き残れない時代が来る。

インターネットがなぜ伸びるかというと、コストの削減ができるからだ。宅配は、人が調理し、バイクで運ぶという手間やコストは落とせない。一つ一つ見ればアナログの世界だ。

ではそれ以外のところでデジタル化を図って経費を圧縮していくしかない。手作業の部分と合理化する部分と二極化していくだろう。

そこに投資できるかできないかで、競争力の差が出てくる。

また仕組みさえあれば中華以外の展開も可能だ。食材の少ないピザなら明日にでもできるだろう。

‐‐株式公開の予定と今後の計画は。

杉崎 来年6月の店頭公開を目指している。その後はチェーンの拡大を進める。店舗を増やすだけなら、FC希望者はたくさんいた。しかし戦闘部隊に対し、資金力、情報力という兵糧部隊が一体となって動かないと、本部のフォローが追いつけない。

フォローとは投資したものが必ず生きる仕組みを作ることだ。日本のフランチャイズチェーンを見ていると、そうした投資が少なすぎると思う。

‐‐店舗数の目標は。

杉崎 最終的に二〇〇店舗。うちFCは一〇〇店ぐらいか。

4月から物流も大幅に変えていく。アウトソーシングで物流拠点を一ヵ所に集約し各店舗に配送する。さらに物流からデリバリーまでの一貫の流れをコンピュータで作る。

一括仕入れによるコストダウンのメリットを出すためにも、店舗数が多いことは必須だ。

‐‐同業の宅配チェーンの動きについて。

杉崎 宅配は初期投資が低いといっても、実際は価格との戦いだ。ある程度の大量仕入れの仕組みを築き、価格で争えないと勝てない。

現在の客単価は三〇〇〇円を切ったところだが、最終的な普及ラインは二七〇〇円ぐらいではないかとみている。

また従業員の福利厚生をきちんと整備しないと良い人材は育たない。二、三店舗は展開できても、こうした課題をクリアできない中途半端なチェーンは、必然的に淘汰されていくだろう。

◆上海エクスプレス=宅配中華料理の先駆チェーン。現場(店舗)の調理オペレーションの軽減を目的に導入した「オーダー本部管理システム」(電話オーダーを本部に転送し一括管理する新宅配システム)が功を奏し急成長。積極的にITを導入し、来年、株式公開を目指す。

◆(株)上海エクスプレスワールドワイド(東京都中野区弥生町六‐一〇‐一一、弥生町モンドビル五階、03・3381・0600)設立=平成7年2月/店舗数=三〇店舗(直営二三、FC七)/事業内容=中華料理の宅配

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