名古屋版:注目の店、中国菜館「桃の花」
「桃の花」といえば、従来の中国料理店のイメージを払拭したフレンチ風の店づくりとボリュームのある値打ち感で知られるが、3月にオープンしたばかりの話題のアウトレットショップ、リバーサイドモールへ新スタイルで出店を果たした。従来型の、客単価が七〇〇〇円の高級店であるコンセプトを大幅に変え、「これからは高級店の時代ではない。全国に類のない業態を」(松原正憲社長)めざした結果、ラーメンとおかゆを中心メニューにすえた店となった。
「最近元気な中華料理店というと、客層を若いカップルに絞ったり、またファミリーに絞りこんだ店が多い。だったら、うちは老若男女、とにかく幅広い客層を対象にしよう」というわけでメニューは大衆向けラーメンとおかゆを選んだ。客単価は昼が一〇〇〇円、夜が一八〇〇円の設定。
新店のアイデアが完成してからは、ラーメンづくりの技術を学ぶため奔走した。中華料理の技術は持っていても、ラーメン店となると少し違う。年間に全国で三〇〇のラーメン店をオープンさせている「熊さんラーメングループ」(青森)で、味と経営を一年がかりで学んだ。
その結果、味噌の産地を特化した「自慢のみそらーめん」四メニュー、「京都西京白みそらーめん」(七五〇円)、「奥州藤原三代赤みそらーめん」(七五〇円)、「九州博多麦みそらーめん」(七五〇円)、「名古屋八丁みそらーめん」(七八〇円)が出来上がる。さらに、「桃の花特製らーめん」として三メニュー(すべて七八〇円)を備える多様さだ。
アイテム数は約六〇種類。前菜・冷菜(三五〇~一二〇〇円)、本場名菜料理(五八〇~一五〇〇円)、点心・飲茶(四〇〇~五八〇円)、スープ(六〇〇~九八〇円)、ご飯・名物おかゆ(六八〇~七八〇円)、デザート・菓子・まんじゅう(三〇〇~四〇〇円)となる。
「カップルがラーメンを二種類とって一つを分け合い二つ分楽しんでいる光景がよく見られる。テーブルでどんぶりや皿が行き交うのは、店内にも活気があふれていいもんですよ」との話だ。
ローコストオペレーションのシステムづくりに定評ある松原社長。「大手であればうまい料理を標準化させるためのシステムを築こうとするが、われわれのような中小ではなかなかむずかしい。だからこそ、先に仕組みやシステムをつくり、そこでいかにうまい料理をつくるかということがポイントだ」と強調する。
店舗とは別の場所にあるキッチンで八時間煮込んでつくる豚骨スープを、どこにもまねできないひとつの柱とする。あとは、アルバイトでもできるラーメン完成までのラインシステムを厨房機器メーカーと共同でつくりあげる。
正社員二人、コック見習い二人、あとは未経験のアルバイトでまかなう。いかに少ない人数でいかにスピードを早められるか、が常にテーマだ。
そんな厨房内システムの効率性、味へのこだわりに加えて、店づくりやテーブル演出についても工夫をこらす。ラーメンだけの軽食組、ファミリー、ディナーコースの宴会組と、まさに三毛作のバリエーションに対応できる店内のレイアウトとし、来店動機を広めることができる。
さらに、桃の花は今後同店のラーメンに特化して「天風堂」という名称の店を展開してゆく計画。二〇~三〇坪タイプで、初期投資一五〇〇万円、月商一〇〇〇万円を見込む。「五年後には七〇店舗展開、売上げ約六〇億円、経常利益六億五〇〇〇万円へ」と、従来の生業の中華料理店のイメージアップにつなげたいと抱負を語ってくれた。
◆中国菜館「桃の花」リバーサイドモール店(岐阜県本巣郡真正町政田字下西浦一九三九、0583・20・1555)