アイルランドの料理と食材

2001.02.05 221号 11面

チーズとシーフードにギネスビールの国、アイルランド。アイルランド島はヨーロッパ大陸の最北西に位置し、サハリン北部とほぼ同緯度にある。北海道とほぼ同じ大きさで、北端の英領北アイルランドを除く大部分がアイルランドである。

酪農と畜産が盛んで、チーズやビーフ、ベーコン、ラムなどがとにかくおいしい。なかでもラムと野菜を煮込んだアイリッシュ・シチューは冬の代表料理である。また、シーフードも豊富で、特にアイリッシュ・サーモン、カキ、ロブスター、ムール貝は絶品である。

日本食糧新聞社が主催する二一世紀外食レストラン研究会(事務局=03・3432・5700)は昨年12月、アイルランドのデクラン・オドノバン大使の協力によりミレニアム特別研究会を大使公邸で開催した。

今年は、アイルランド生まれのラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の生誕一五〇年に当たる。一八九〇年に来日、日本文化・伝統・民話に基づく著作を通じ、一九世紀末の西洋への代表的な日本紹介者となった。そのハーンゆかりの地ではさまざまな記念行事が計画されている。もしかするとアイルランド料理にもお目に掛かれるのではないだろうか。

アイルランドは、比較的温暖なメキシコ湾流と大西洋から四季を通じて吹き寄せる南西風の影響で気候は安定しており、国内では地域差による気温の差はほとんどない。こうした気候のなかで営まれる農業はアイルランド経済の極めて重要な部分で、GNPの約七%、全雇用の一〇・三%を占めており、食品・農産品を含めた農業関連輸出は輸出全体の約九%に達する。

主要農産物は、小麦、大麦、バレイショ、菜種、キャベツ、トマト、テンサイ、リンゴ、キノコ類。これに畜産のビーフ、ラム、チキン、牛乳、鶏卵。そして二九万tの漁獲量を誇る海の幸が加わる。

食品工業としては、肉類、チーズ、バター、粗糖などがあげられる。なかでもクリーミーな泡がのった黒ビール「ギネスビール」は、アイルランドならではのおいしさを誇っている。

オドノバン大使は「アイルランドの現代料理は、ヨーロッパの新しい創造的な料理法の一つとして急速に評価されています。ご存じの伝統的料理といえば、手作りのブラウン・ブレッドに載せていただく上質のアイルランド製スモークサーモンやアイリッシュ・ラム・シチューなどでしょう。おそらくご存じないと思われる料理の一つにコルカノンがある。キャベツで風味を出したポテト料理で、セント・パトリックス・デーにいただくお祭り料理です。また、長い歴史を持つアイルランドの酪農に培われた上等な農家特製のチーズの数々に目を見張られることでしょう」と語った。

また、代表的なアイルランド料理について次のように解説した。

▽伝統的料理である豚肉料理には、ソーセージとベーコンがある。卵、トマト、それにブラック・プディングやホワイト・プディングといった品目とともにおいしいアイルランドの朝食の材料です。

▽北海道と同じようにジャガ芋は、アイルランド料理の主材料です。アイルランドでは皮付きのままゆでた新ジャガは、夏の到来を告げます。ジャガ芋は、ミネラルを始めとする栄養素を豊富に含んでおり、マッシュしたり、蒸したり、ゆでたり、焼いたりしたジャガ芋は、濃厚なシチューやソースと補完しあって一層食事を楽しくしてくれます。

▽冬には日本と同じように、温かい料理をいただきます。私どものシチューは鍋料理ととても似ており、ホット・ウイスキーは、熱かんや焼酎のお湯割りととても似ています。パイにパン、そしてローストチキンと野菜は、冬をより温かく、そしてより楽しくしてくれます。

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