厨房のウラ側チェック(23) 衛生教育はどこまで必要か(その2)

1993.03.01 23号 7面

衛生教育の必要性とその総論は前号に書いたとおりである。今回は新人研修から、幹部研修までの能力別に具体的に記す。

第一に、パート、アルバイト、新入職員、中途採用の人々を対象にした場合、求めるレベルは、食中毒がお客様にかける迷惑から、最悪の場合は死亡するまでの事故になり得る知識を習得し、さらに、食中毒の基礎的予防法を具体的に学ばせる範囲までである。

ポイントは、消費者保護基本法と飲食店の責任、衛生の三原則である「加熱」だけでは食中毒の発生は防止できない調理的具体例を示すことが重要。食中毒の簡単な定義と分類、特に、細菌性食中毒だけではないことを教える。食中毒の予防例として人、物、金で教える。検便と健康保菌者と国際化、食材と一般生菌数・菌叢と二次汚染、食中毒と行政罰、民事罰、刑事罰及び信用について。

金をかけない食中毒の防御は、手指洗浄の時期と簡易法、消毒薬の使用法と掃除のコツなど。最後に、食品衛生学と食性病害について話し、テストを実施する。

次に、入社してから一年以上経過し、腰を落ち着かせる従業員、いわゆる店舗における中堅どころの人や主任クラスの幹部候補の人材を対象にした場合、求められる衛生管理知力レベルは、食中毒の種類と問題点と解決法。そして、食品衛生法の一部解釈と法定伝染病を含む感染症の総論。さらに、衛生害虫の実戦的駆除法とライフ・スパンについてまでの範囲とする。

教育のポイントは、公衆衛生学的解釈から話を進めなければらならない。考え方の基本は「組織的な地域活動によって…」であり、広域的な組織を利用するアイデアと積極的にそのような活動に参加する姿勢で臨むことが重要である。そのような活動を通じて得る情報は、活用次第で大きな利益を店舗に与えることだろう。

例えば、ネズミ駆除を単独の店舗で行動しても、その成果はあまり上がらず、労力とお金を消耗するだけである。しかし、新しい駆除法を知ることによって、単独でも可能性がある場合もあるが、効率を考えれば、ビル全体で駆除するとか、町内会やブロックで駆除法を考えた時の方が安い費用で成果が上がる。

これは、頭で考えているが、実行するのに難問としてあらゆる人々を「まとめる力」がないとできない理由がある。この「まとめる力」は、即、営業力と比例するので、特に社長職にある人は、実戦的昇格試験の位置付けで、このような衛生効果を伴う人事査定はいかがであろうか。次号で…。

食品衛生コンサルタント

藤 洋

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