ロイヤルの夢はホテル進出、味・サービス・空間を演出
ロイヤル㈱は、一九五〇年に、ロイヤルの前身であるキルロイ特殊貿易を、ロイヤルの創始者である江頭匡一氏が創立したのが始まりである。一九五六年、ロイヤル㈱として本格的に外食産業に進出した江頭匡一氏は、「現在でこそ、飲食業が一つの産業として確立しているが、私が外食産業に進出した当時は、まだ水商売としての認識しかなかった。食は国民の大事な行為であり、これが水商売という低い位置であってはいけない、世に認められる業界確立が必要」という強い信念が同氏にはあった。
ロイヤルは、外食分野を一つの大きな業界として育てあげた。その後同社は、時代のニーズに合わせるように、食を中心にあらゆる分野に進出していった。特に人材不足といわれるようになると、カフェテリア方式を導入、平成元年、幕張メッセからスタートしたコントラクトフードサービス事業は、大規模イベント施設、企業などに食事を大量提供していくビジネスとして21世紀のロイヤルを担う基幹事業として大きな成長が見込まれる分野である。
ロイヤルは、幕張メッセの「セントラルカフェテリア」に続き、平成3年10月には収容人員一万人の超高層インテリジェントビル「ワールドビジネスガーデン」一階に「ロイヤルガーデンカフェテリア」をオープンした。同店は、約五〇〇坪のスペースをもつ大型カフェテリアで、公園をイメージした店内にはグリーンがふんだんに配され、ロイヤルの調理力を結集したバラエティーに富んだメニューが用意されている。
料理は、東京食品工場バックアップキッチンで半調理され、店舗で仕上げるシステム。ピーク時にも、客を待たせないために、機内食では老舗のロイヤルのノウハウが生きている。
ロイヤルは、レストランから機内食、食品製造まで、幅広い事業を展開しているが、それらすべてのベースにあるのは、ホスピタリティ精神である。客に喜んでいただけるように、心から客をもてなす精神。
従って、サービス業を「ホスピタリティ産業」と考える同社は、長年、ホテル事業の進出を目標としてきた。味、サービス、空間演出と、すべてに最高レベルが求められるホテルは、ホスピタリティ産業の集大成ともいうべきもの。
同社にとって是非とも挑戦しなければならない分野である。
ホテル事業は、その売上げの六五%が料飲部門、残り三五%が宿泊部門で構成されているという。従って、料理部門がホテルのカギを握ることになるが、ここではロイヤルがこれまで培ってきたノウハウと技術が生きている。
ホテル進出への布石として、すでに一〇年前から新宿ワシントンホテルでコーヒーショップの運営を経験、こうして着実に実力を養い、時代のニーズに合ったホテルのコンセプトを固めたうえで、近い将来、ロイヤルは、ホテル事業に進出することになっている。
またこれからの外食産業は、客も食の演出に加わるということで、ステーキとサラダバーの新業態「シズラー」を運営している。サラダバーは、客が自由にチョイスでき、自分で盛り合わせるシステムで、これの特徴、豊富なメニューを出すことがポイント。チョイスできないようなサラダバーは意味がないという。
ロイヤルは、外食を中心にいろいろ手を広げていく。そして、最終的にはホテル業の運営が夢となっている。