トップインタビュー:ピザ等宅配業安全運転管理協議会理事長・浅野秀則氏

2002.01.21 244号 5面

ピザ等宅配業安全運転管理協議会(略称SDA)が、昨年創立八年目を迎え、新理事長に(株)フォーシーズ(ピザーラ)の浅野秀則代表取締役が選任された。発起人で設立当初から理事を務めてきたアーネストM・比嘉前理事長((株)ヒガ・インダストリーズ代表取締役)は会長に就任。副理事長には(株)ストロベリーコーンズの宮下雅光代表取締役が就任した。

SDAは平成5年、宅配ピザチェーン九社が発起人となり、安全運転に対する業界の意識の向上と、従業員の交通安全教育を実施する団体として設立されたもの。ドライバーに対する安全運転実技講習会の開催、都道府県主催の無事故無違反運動への参加、鈴鹿サーキットでの「セーフティコンテスト」の開催など、安全運転への啓蒙、実技講習会など多数の活動を展開し、警察本部からも高く評価されている。浅野秀則新理事長に今後の抱負などをうかがった。

‐‐新理事長就任のいきさつは。

浅野 協議会も八年目を迎え、当初の目的である安全運転に対する業界の啓蒙、運転実技の向上などは、比嘉前理事長のご尽力でほぼ達成できたと思う。警察庁をはじめ関係諸官庁及び団体にもその実績が認められ、「ボランティアでこんなにやっている団体はない」とお褒めの言葉をいただいたくらいだ。会員会社も賛助会員を含め二六社、傘下店舗は二四〇四店舗と全国的な組織になった。今後は新陳代謝を図って、さらなる発展を目指そうということで、私がご指名をいただいた。

‐‐今後の抱負は……。

浅野 デリバリー業は、他の飲食業に比べ比較的コストが低いため参入しやすく、各種業態からの参入が増えている。しかし一方で事故も急増し、一件の事故は何ヵ月分ものマイナスを生む。「安全は優先されるべき」との考えで業界の啓蒙活動を行ってきたが、まだ多くの企業が安全運転に興味を持たずデリバリーをしている現状がある。企業の温度差が大きい。全国チェーンは加入しているが、地区単位の大きい企業で、まだ未加入のところが何社かある。また、いまはピザと宅配だが、もっと幅広くデリバリー業界を統括していく組織に、名前の変更も含め広げていけたらと思う。食品関連のデリバリーでは、いまコンビニエンスストアの「ampm」さんに加入いただいているので、その範ちゅうからすれば、相当数の企業が入ってくるだろう。

持ち帰りずしやファミリーレストランで宅配を始めているところなど、他業種へのアプローチも積極的に進めている。

‐‐具体的な活動計画は。

浅野 いま一番力を入れているのは安全運転だが、次に防犯だ。従業員が安心して仕事に取り組めるよう、不当要求不正防止などデリバリーが巻き込まれる可能性のあるトラブルについて、しっかり対処できるように、警察と連携したパイプづくりが二番目の大きな柱になっている。三番目は、衛生面などで危機管理全般をやっていきたい。

鈴鹿の安全走行キャンペーンでは、警察が来て表彰をしている。以前に比べ事故はずい分減っている。ピザーラ一社でみても、昨年は保険代が四〇〇〇万円くらい削減できた。会社にとっても非常にプラスの活動だと思う。

安全に対する啓蒙活動は地道にやっていくしかない。これまでもノーヘルだったり、近道をしたりといろんな問題があったが、何回も講習をやることで改善されていく。

デリバリーに携わるすべての企業が参加すれば、さらに活動の幅も広がるだろう。フードサービス業の方にはぜひ入会していただきたい。アルバイトを大事に考えて、事故をなくしていただきたい。またデリバリーは地域密着型のサービス。マナーをきちんと守り、地域に貢献していくことが大切だ。

◆プロフィル

あさの・ひでのり=昭和28年東京生まれ。慶應義塾大学商学部卒。事業意欲旺盛で学生時代から旅行代理業務などさまざまな事業を手掛ける。卒業後、ラーメン店、喫茶店、ビデオ店など数多くの小売店を手掛けた後の昭和62年、映画「ET」で見た宅配ピザのシーンに直感し、同年「ピザーラ」をオープン。業界初のTVCMで認知を一気に集め多店舗化を加速。現在、飲食事業の多角化を推進するほか、ヨットレースなどスポーツ文化振興にも貢献する。

◆(株)フォーシーズ(本社所在地=東京都港区南青山五‐一二‐四、全菓連ビル、電話03・3409・6000)事業内容=宅配ピザでトップシェアの「ピザーラ」(約五〇〇店舗)を機軸に、カジュアルイタリアン「TO THE HERBS」、グルメバーガーレストラン「クア・アイナ」、餃子専門店「宇明家」、天ぷら「天あさ」、割烹「有季兆」など外食事業を展開。昨今は宅配ずし「柿屋鮓」のチェーン化に本腰を入れる。

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