飲食トレンド:五感で楽しむイタリアン・グリル、料理よりも調理法訴求

2002.02.04 245号 1面

イタリアン人気にともない、ピザ、パスタ、アラカルトを手軽にセット売りするカジュアルイタリアンレストランが急増したが、居酒屋など他業態でもイタリアンメニューが定番化し、売り物だった「カジュアル」の訴求・集客力が弱まっている。また、同業店の過密・競合により、価格引き下げも始まっている。そんな中、調理方法を前面に訴求するイタリアンの新業態が現れ話題になっている。

京都市は京阪三条駅近くの「イル・ロッソ」は、「イタリアングリル」を掲げるカジュアルイタリアンのリニューアル店。前店舗は同業他店との価格競争で落ち込み、打開策として「グリル」(鉄板焼き)をメーンに業態特化した。

このイタリアングリル。オープンキッチンに鉄板グリルで素材をシンプルに焼き上げ、熱々の鉄皿に盛って客席に運び、お客の目前でハーブソースを注ぎ、ふたを閉じて提供するもの。出来立ての熱々料理と弾けるソースのシズル感が売り物だ。

「五感で楽しむ新しいイタリアンコンセプトです」とは西村哲宣店長。

「リニューアル(業態特化)は、何よりもスタッフの志気を高めました。前の店舗では同業他店ばかりを気にしていましたが、現在では新業態の創始メンバーとしてのプライドを秘めて、サービスの向上に努めています。この効果はグリルというコンセプト以上に大きい」と言う。

リニューアル投資は一七〇〇万円。グリル料理はグランドメニュー七〇品のうち三〇品で、オーダー構成比は約四割。店舗スペースは六〇坪一〇〇席のままで、月商は倍増の一〇〇〇万円に達する勢いだ。

若年層主体だった客層はカップル、中高年層に移行し、客単価も二〇〇〇円から三五〇〇円にアップしている。

人気のグリルメニューは「地鶏の黒コショウ焼き」(一二八〇円)、「マグロのレアステーキ」(一二八〇円)、「本日の鮮魚」(一四八〇円)といったところ。

カジュアルイタリアンのみならず、現状をベースに業態特化を図る参考事例として必見といえる。

◆イル・ロッソ 京都市左京区川端通三条上ル孫橋町三三、電話075・771・5589

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: メニュートレンド