ザガットサーベイに見る流行最前線の裏側(11)総合編
ニューヨークグリルはなぜ、東京で一番人気のあるレストランになったのだろう?
ゴージャスな空間、日本離れした壮大な景色、息を呑むようなオープンキッチンと、そこで作り出されるカジュアルなグリル料理…。「この店ならでは」を挙げると、いくらでも考えつく。そして、そのすべてがこの店に続くさまざまな店で模倣され、あたかも二一世紀の都会的レストランの条件のようになってしまった。ならば、いつかはこの店の、この店としての特徴は当たり前の物になり、そして次第にその人気に翳りが差すのか…?
この店の最大の特徴は、実は料理でもインテリアでも夜景でもなく、「その分かり難い立地と不親切なまでのアクセスの悪さ」にあるのではないか?と、かねがねボクは思っている。ホテルのメーンダイニングにして何度もエレベーターを乗り換えなくてはならぬ分かり難さと不親切。…なぜか?
そうすることで初めて「再来するコトの楽しさ」が生まれる。初めてこの店を訪れる人に先立ち、次々エレベーターを乗り継ぎ、迷いなくレストランの入り口に辿り着く誇らしさ。これぞこの店の人気の理由…ではないかと、熱烈に思う次第。
((株)OGMコンサルティング常務取締役・榊真一郎)
〈「ザガットサーベイ東京のレストラン2002年度版」から引用〉
総合ランク(Tokyo’s Most Popular)
第1位=ニューヨークグリル/新宿区西新宿三‐一七‐一‐二、パークハイアット東京五二階、電話03・5323・3458/価格目安=一万二三〇〇円/西新宿のアメリカン・キュイジーヌは、日本にいることを忘れそうな眺望と雰囲気だから、料理が大味でも気にならない。天井も高いけど値段も高いので、とっておきの日に利用する人多し。外人スタッフのサービスには賛否両論あり。
第2位=クイーンアリス/港区西麻布三‐一七‐三四、電話03・3405・9039/価格目安=九八〇〇円/初代フレンチ鉄人の店。店によって味もサービスも異なるため、料理、内装、サービスとも抜群との声から最悪まで、意見が両極端に分かれる。総合的にはイケてるのだが、有名人なので評価が厳しいのでは、との声も。
第3位=スターバックス・コーヒー/チェーン展開/価格目安=八〇〇円/緑の基調が落ち着いて長居してしまうカフェは、新商品が矢継ぎ早に登場し、おいしくいただける。どれを飲んでも甘すぎるし、待ち時間長すぎなのは相変わらずだという厳しい声もあるが、禁煙なのがうれしい。
以下、4位「タイユバン・ロブション」(フランス料理・恵比寿) 5位「キハチ」(創作料理・銀座ほか) 6位「うかい亭」(鉄板焼き・八王子) 7位「叙々苑游玄亭」(焼き肉・西麻布ほか) 8位「つばめグリル」(欧風料理・銀座ほか) 9位「美々卯」(うどんすき・京橋ほか) 10位「筑紫樓」(中国料理・恵比寿)