電化厨房最前線(9)京うどん・ひよこ
昨年9月、東京・渋谷の西武百貨店A館地下2階にオープンした「デリ&レストラン・セタンジュ」は7つの専門店が軒を連ねるレストラン街。オール電化で全店シースルーのキッチンを実現。客席から見えるきれいな厨房で料理人が腕を披露するのも呼び物のひとつになっている。その1軒「京うどん・ひよこ」で電化厨房の使い勝手について聞いた。
京うどん・ひよこ(写真)はデリ&レストラン・セタンジュ内で唯一の和風の店。
「当店は飲めるうどん屋がコンセプト。お客様におばんざい(惣菜料理)を食べながら一杯飲んでいただき、最後にうどんでしめていただくうどん居酒屋を目指しています」と語るのは店長の和田修治さん。
「電化厨房はいつでも清潔ですから、シースルーでも安心。お客様に料理の様子を見て楽しんでいただいています。料理人が手振り、身振りでお客様と会話ができるので居酒屋のカウンターと同じ感覚なのもいい。まさに同店のコンセプトの実現に電化とシースルーキッチンの組み合わせはぴったり」
来店客の九割が女性。料理人の顔が見えるキッチンは女性客に親しみやすさと安心感を与えている。
店内には京都の風情を感じさせる照明やインテリアを配し情緒を演出している。静かで上品な雰囲気も人気の秘密だ。電化はふくしゃ熱を出さず、店内の空気に影響を与えないので、シースルーキッチンと客席の雰囲気をうまく調和させている。
店の自慢は京うどんと京天ぷら。京うどんは関西風のうどんをおろしたてのショウガ、ユズ、一味、サンショウの薬味でシンプルに、京天ぷらはサクサクした揚げたてを抹茶塩で食べる。
「電化は、うどんのゆで上がりが速い。油の温度管理も簡単なので、アルバイトでも天ぷらをおいしく揚げられる」
電化ならだれでも、人気メニューのうどんと天ぷらのセットを手早く提供できる。
午後5時以降は、居酒屋風メニューが増える。おばんざいは二八〇円から四八〇円と低価格なうえ、酒も女性向きにグラスワインやあんず酒などを三八〇円、地酒一杯を女性にも飲みやすい量にして四八〇円で提供する。多種でおいしい酒と料理を手軽な価格で提供するサービスが女性客を「ちょっと一杯」という気にさせている。
◆現場からの声 神原譲治調理長
料理の仕事をして二一年。電化はこの店で初めて使いました。火が見えないので最初は戸惑いました。でも慣れると手放せなくなります。わが家も電化にしたいくらいですね。
使用時以外には調理台として使える上、掃除も楽。ガスコンロを使用した店では一日一時間以上かけて掃除していましたが、電化は拭くだけでOK。とても簡単で衛生的です。
湯が沸くのが速いのにも驚きました。湯や油の温度が数字で管理できるなんて、以前は考えられなかった。
電化ではわれわれが経験を積んで覚えていったことが、素人にも簡単にできる。すべてのことに便利すぎて電化で調理を覚えた人は、ガスでは調理ができなくなるのではないかと心配になるくらいですね。
◆店舗メモ
「京うどん・ひよこ」/所在地=東京都渋谷区宇田川町二一‐一、シブヤ西武A館地下二階「デリ&レストラン・セタンジュ」内、電話03・5784・1125/営業時間=午前11時~午後11時/スタッフ=調理スタッフ七人、サービス八人(社員三人、アルバイト一二人。うち男性八人、女性七人)/使用機種=IHフライヤー八・六キロワット一台(一φ二〇〇v)、IHヒーター×三口五キロワット一台(三φ二〇〇v)、電気茹麺機二一・六キロワット一台(三φ二〇〇v)、IHローレンジ×二口五キロワット一台(三φ二〇〇v)