辛口・外食にモノ申す:ベンチャーリンクの強引なFC勧誘

2002.10.07 261号 17面

「牛角」などのFC支援企業、ベンチャーリンクの強引な商法が明らかになりつつある。日経ビジネス二〇〇二年9月9日号「特集・FC繁栄の裏側」に、その記事が掲載されている。

権利は買えども出店できず(前略)ベンチャーリンクが仲介する加盟店契約は「エリアエントリー契約」という、特殊な契約形態をとっている。FCの加盟契約は、店舗物件を決めたあとに結ぶのが一般的。これに対してエリアエントリー契約では、物件確定前に「東京都港区」など出店を希望するエリアの出店権利を購入する。(中略)そして、この契約形態をめぐる不満が数多く存在する。エントリー料を本部に納入したものの店を構えることができずにいるケースが多いのだ。二〇〇二年5月現在、ベンチャーリンクが仲介した契約は四七四二件。そのうち三〇九六件分が未出店。

契約したのに出店できないとは不自然な話だ。では、実際に出店できずにいる加盟企業の話を聞こう。二つのパターンがある。

製造業が本業だという一人目の加盟店オーナーは、エントリー料八四〇万円を払い込んだあとで、資金調達が難航している。資金のメドをつけてから契約すれば良さそうなものだが、営業マンが三日とあげずにエントリーの地域別成約表を手に事務所にやってきて、「麹町はもう決まった」「あそこのエリアは埋まりました」などと契約を急がす。最後は、「このエリアの希望者がほかに出ました。私の力でおさえてありますから、一日も早く入金を」との言葉で頭に血が上った。八四〇万円は即金で準備できたが、契約後、開業資金の融資を金融機関に断られた。

食品店を営む別の加盟店オーナーは、契約後、店舗物件が一年たっても見つからずに、足止めを食っている。すぐに出店するつもりで店長候補の正社員を確保していたが、本業が苦しくなり、四〇〇万円分の賃金を払ったところで解雇せざるを得なくなった。(以下略)

われわれは当初から、こうしたベンチャーリンクのやり方を知っていた。今までは、「サンマルク」や「牛角」「ガリバー」「高田屋」という上場企業を生み出し、ベンチャーリンクそのものも店頭公開するような急成長企業であったから、こうした問題が、マスコミの矢面に出てきていなかった。

われわれ少数派のコンサルタントが訴えても、大手マスコミは取り上げようとしなかった。ベンチャーリンクとその支援FC本部は、その巧みな広報宣伝力と圧倒的な営業力で、目を見張るような急成長を果たしてきたのである。

しかし、今その神話が崩壊しつつある。ベンチャーリンク傘下のFC加盟店のかなりの店が、ろくに営業利益も出ないような経営状態を強いられているらしいのだ。高学歴で優秀な社員が多いと聞くが、店舗の経営実務がまるでわかっていないようだ。だから、マニュアル以外の事例が頻発する現場では、ほぼ無力に等しい。

今新しく出店しても、そうやすやすと利益を手に入れられる状況ではない。昨日や今日の素人風情が、「お店をつくりました。はい、儲かりました!」などという安易な業界ではないことは確かだ。

ベンチャーリンクのこうした、空気を売るような「エリアエントリー」権利に群がる方もどうかしている。そんなに簡単に飲食業が儲かるはずがない。流行はめまぐるしく、新しい店が出てはつぶれ、出てはつぶれの繰り返しである。競合どころではない。ほとんど白兵戦である。

本業がだめだからと、ベンチャーリンクの勧める「新ビジネス=飲食FC」に安易に乗っても、隣の庭と同じで、そばから見ているからきれいに見えるだけなのである。

再度繰り返すが、いくら最強のマニュアルやフォーマット(ビジネスの仕組み)があるとしても、それだけで飲食ビジネスが成功するわけがない。なぜなら、飲食ビジネスとはあくまでそこで働く「人」によって大きく左右される、人間くさいヒューマンビジネスだからである。

(おわり)

((有)日本フードサービスブレイン代表取締役・高桑隆)

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