ピカイチキッチン(33)フードサービスコンサルタントの考察

2003.05.05 268号 23面

●コンサルティング依頼の前に考えよう

国内経済の低迷の影響によりフードサービス業界の不振もますます深刻化している。こうした中、自社内の努力のみでは限界を感じ、外部のコンサルタントを利用する経営者も増えている。本稿ではコンサルタントを利用するための考え方をまとめてみた。

●コンサルタントの役割

国際的に認知されているフードサービスコンサルタントの組織は「FCSI」(FOODSERVICE CONSULTANTS SOCIETY INTERNATIONAL)がある。この組織に加盟しているコンサルタントは専門分野(二四)の見識、経験、国内外の情報を有しており、依頼者は選択しやすいように組織されている。たとえば、経理専門、建築専門、キッチンデザイン専門、食品衛生、メニュー専門マーケティングなど多様の分野がある。

また、先進国でフードサービス分野のコンサルタントが関与することは極めて当然のこととしてシステム化されている。たとえば、レストランや病院、ホテルなどのフードサービスを計画する場合には必ずコンサルタントがアドバイスし、コーディネートしている。こうした点、日本国内であまり知られていないところにコンサルティングのトラブルの一端があると考えられる。依頼者は「コンサルタント」に任せればすべて解決されるかのような誤解をしてしまうからである。

コンサルタントは万能薬ではない。コンサルタントの経験や専門分野を調査検討した上で必要に応じて依頼をすればいい。コンサルタントである筆者がいうのもおかしいが、国内では「自称コンサルタント」が横行し、消費者に不審を抱かせているケースも少なくない。

●コンサルタントの選択

企業がコンサルタントを選定する場合、最も悩むのは報酬が高いのではないかということと、投資効果がどれほど期待できるかということではないだろうか。まず、コンサルタント報酬は、業務の内容や専門性によって異なるが、日経レストランの調査資料をもとに推察すると、一社当たりの年間報酬額の平均はおよそ三〇〇~四〇〇万円前後と考えられる。この金額だけをみれば一般社員一人分より割安と考えられ、その価値はあると思われる。

一方、コンサルタントを利用した企業の不満は総論が多く、各論(具体性)に乏しいことではないだろうか。そこで、コンサルタントを依頼する場合、どれだけ具体的なアドバイスをしてくれるかをしっかりと見極めることがコンサルタント選択のポイントとなる。そこで、そのポイントを次のようにまとめた。

(1)専門分野の見極め(2)面談による選定(3)依頼目的の周知徹底(4)具体策の有無

((株)サニテック主任研究員・本山忠彦)

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