いま注目の新製品:「キリン一番搾り<生> 自己冷却樽」(キリンビール)
キリンビール(株)(東京都中央区、電話03・5540・3499)は、国内初となる自己冷却機能を持ったビールの樽詰生「キリン一番搾り〈生〉自己冷却樽5リットル」を投入する。この商品はドイツで開発された新技術を利用することで、電気や氷、炭酸ガス、什器などを一切使うことなく、いつでもどこでも冷えた樽詰生が手軽に楽しめることが特徴。同社ではこの特性を生かして「ビールの新しい飲用スタイルとともに、その楽しみ方における“手軽なぜいたく”を提案する」として商品化を実現した。市場の受容性確認を目的に、東京都内で小規模なテスト販売を行い、平成16年の市場導入を予定している。製造は取手工場。
発泡酒台頭が目覚ましい中、ビールに求められるものはプレミアム性や嗜好品的価値となっている。そのニーズに対して同社は昨年、「〈樽生〉方式一番搾り」を発売し、容器・システムの新提案によって家庭でもビールの本格感が楽しめる新しい飲用スタイルを開拓。今回の商品はそこに一層の“手軽さ”を加えることで、全く新しい飲用市場の創造を目指す。
「一番搾り〈生〉自己冷却樽5リットル」の最大の特徴である“自己冷却機能”は、あらかじめ樽中に封入されている水が低圧状態によって水蒸気に変わる時に熱を奪う原理を利用。樽上部のレバーを倒すとこの原理で内部に氷を作り、それによってビールを冷却する。冷却反応開始約九〇分で飲みごろ温度の六~八度Cになり、一〇度C以下の適温を約一二時間保持できる。
冷媒に水を使っていることで、高い安全性と省エネルギー効果を確保。使用後は樽を回収し、工場で自己冷却機能を再生してビールを充填。約一三〇回以上の再生、再販売が可能となる。これらの新技術は独ゼオテック社が特許を持ち、ビール会社、トゥッヒャー社の一〇〇%子会社クールシステム社が製造、独のほか数ヵ国で商品化している。
この商品には多様な可能性が期待でき、飲用シーンとしてはホームパーティーはもちろん、海や山のアウトドア、祭りなどの各種イベント、宴会などでの需要が見込める。今年9月の酒販免許緩和で、宅配フードなどのケータリング業種にも新アイテムとしての可能性が広がる。希望小売価格・税別二六二〇円(樽容器保証金二〇〇〇円は別)。