この一品が客を呼ぶカレー編・東京:「薬膳カレーじねんじょ」特選薬膳カレー
八〇店以上ものカレー店が軒を連ねる神保町で、“薬膳カレー”という看板を掲げてオープンしたのが四年前。本店の谷中、二号店の白山に続いて三店舗目となる。オープン以来、ここのカレーを食べると元気になると評判を呼び、リピーターでにぎわっている。この人気メニュー「特製薬膳カレー」の魅力を探ってみた。
店名にもあるように、自然薯の優れた栄養価と薬効の高さを広く伝えたい、というのがこの店の出発点。加えて、ストレスやアトピー、成人病などに悩まされることの多い現代人に、体によいとされる薬膳を取り入れた料理を提供するにはどうしたらいいかと考えた末に、万人に人気のメニュー「カレーライス」を選んだ。
自然薯をはじめ、高血圧によいアシタバ、細胞を活性化するスギナ、動脈硬化によい柿の葉などを基本のルーにふんだんに使った。
一般のカレーは、バターなどの油でコクを出すが、ここではバターやラードの代わりに野菜や薬草、インドスパイスなどを使ってさっぱりとした、しかも味わい深いルーを作り上げた。それに、海鮮、牛肉、鶏肉などの好みの具材を選べるというわけだ。
客はほとんどがリピーター。おなかの調子が良くなる、肌がきれいになると喜ぶ若いOLや、滋養強壮のために毎月一回は来るというサラリーマンなど、客層も幅広い。
「オープン当初は『薬膳カレーなんて薬のにおいがしそうで…』というイメージがお客さまにあったようですが、今では健康ブームの波に乗り、薬膳という言葉も認知されるようになって、みなさん喜んで食べてくださいます」
中でも一押しは、「特選薬膳カレー」(飲み物付き、二〇四八円)。クコの実、ハスの実、ナツメ、またたび、さんざしなど八種の生薬がトッピングされ、見た目もきれいで食欲をそそる。辛みがピリッときいていて、それぞれの具とのハーモニーが楽しめて、飽きもこない。
つけあわせの手作り酢大豆も美味。一皿食べたら体が温まり、元気になること請け合いだ。
◆薬膳カレーじねんじょ 神保町店(東京都千代田区神田神保町二‐二‐一二、電話03・3239・7311)営業時間=午前11時30分~午後4時、5時~10時30分(日曜は8時)無休
◆食材の決め手 NPO・自然農法塾(東京都西多摩郡) 薬草
薬膳カレーの最大の特徴は、文字通りルーや具に薬草や生薬が使われていること。化学調味料や動物性油脂、食品添加物は一切使わないだけではなく、さらに健康増進・滋養強壮に効く薬膳がたっぷり入っている。
これらの薬草は、東京・奥多摩の峯地区にある自然農法塾から仕入れている。無農薬のスギナ、柿の葉、クワの葉などの薬草を奥多摩の清流で水洗いし、天日干ししたものを適当な大きさに切ってから仕入れているので、そのまま料理に使えて重宝しているそうだ。