柿安本店の健康食彩レストラン「三尺三寸箸」、3年で30店体制に
おやじの昼食「牛丼」を尻目に、奥さま族のバイキング・ビュッフェスタイルの昼食会が人気だ。柿安ダイニングを展開する(株)柿安本店(三重県桑名市、電話0594・23・5500)はビュッフェスタイルの新業態として「安心・安全・健康」をキーワードに展開する健康食彩レストラン「三尺三寸箸」を3年間で30店体制にし、レストラン事業本部100億円計画の中核に育成する考えだ。
同業態の現在の店舗数は7店。ほとんどが都心立地だが、10月には愛知県春日井市に初のロードサイド型を出店する計画。同社はこれまで地域一番店の百貨店に惣菜業態を積極的に出店してきたが、百貨店惣菜売場の同質化、競合激化で一時ほどの伸びが期待できなくなってきた背景がある。生活者の食パターンの中で同社でフォローできていなかった分野が中食。企業の収益構造をさらに底上げするため、この分野に積極的に参入していこうという狙いがある。
03年11月開店の1号店「三尺三寸箸HEPナビオ店」(大阪)は開店2~3ヵ月で行列ができるまでの人気を集め、好調は今も続いている。現状は月商2700万円(日商90万円)、年商3億円超のペースだ。
既存店の規模は今年6月に開店した「三尺三寸箸ヌーベル日比谷シャンテ店」の218坪を除くと平均100坪前後、席数は102(ルミネ新宿店=昨年10月開店)~128席(ドルフィンポート鹿児島店=今年4月開店)。平均メニュー数は和・洋・中など80。客数の90%以上が20~50代の女性。食事時間は昼が90分、夜120分。料金は地方店で昼1600円、夜2400円、都心店で昼・夜とも1800円。週末は地方・都心とも客単価が100円アップする(いずれも大人料金・税込み)。このほか松阪牛しゃぶしゃぶ、六白黒豚しゃぶしゃぶの特別コースも用意している。平均来店客数は平日の昼で500~550人、土日の昼が550~650人、夜は700人まで増加する。100坪前後の標準店の損益分岐点は日商60万円という設定だ。
ちなみに天井の高さが5・5mありパーティールームもある豪華な日比谷店の場合、席数178席、メニュー数100超、料金昼1800円、夜2880円。
人気のビュッフェスタイルは当初月間1回の来店頻度を予想していたが、平均すると月間2~3回になるという。一番多い人で7回、約4~5日に1回は来店していることになる。
リピーターが多い決め手は何か。「メニューの豊富さ、そしてメニューの改廃、おいしさ」(櫻井英雄広報室マネジャー)だという。全店統一メニューもあるが、各店とも月次で和・洋・中の料理長がメニュー提案(プレゼンテーション)し、経営幹部らが試食、改廃を行っている。月次で3割ぐらいが変更になる。
また、デザートも他店がスポンジケーキ主流に対して、パティシエによるプチケーキ、HMR事業部のおはぎ、あるいは葛切りなど10点以上用意していることも来店頻度アップにつながっているようだ。さらに、点心のワゴンサービス、客席でのローストビーフの演出など、シズル感・イベント性を考慮している点も見逃せない。