トップインタビュー CoCo壱番屋社長・宗次徳二氏 目標1000店、800億円企業

1993.07.19 32号 3面

庶民の味として愛されているカレーの多店舗経営を展開している“CoCo壱番屋”は昭和53年に名古屋市郊外の西枇杷島に一号店を出店して以来一六年余りで二二四店、年商一六〇億円前後(平成5年4月末現在)と業績を伸ばしている。来年半ばの三〇〇店達成では全国制覇も同時に達成する予定だ。「今世紀中に一〇〇〇店、年商八〇〇億円」を目指す宗次徳二社長に現況を聞いた。

‐‐カレーハウス“CoCo壱番屋”を始めたきっかけは‐‐

宗次 学校を卒業して不動産会社に就職、五年後に自分で宅地建物取引業を開業しました。その後、喫茶店二軒を経営しましたが、順調な経営とは裏腹に喫茶店での多店化は肉体的、物理的に困難なため昭和53年に喫茶店の人気メニューであったカレーを専門的に展開することに決めました。この一〇年間で店舗は七倍強になり、売上げも一四倍まで拡大することができました。

今後、月に六、七店、年間一〇〇店の出店をペースに多店化を図っていき、今世紀中には一〇〇〇店、年商八〇〇億円企業の仲間入りを果す予定です。

‐‐現在の展開は。

宗次 出店は直営店、フランチャイズ・チェーン(FC)店および両店から社員が独立したブルームシステム(BS店)の三パターンがありますが、4月現在で二二四店を展開しています。店舗数と店舗末端売上げをみると、創業一年目は一五〇五万円、翌年が四店で五八八九万円、創業一〇年目にあたる63年に一〇〇店、年商四三億一三五六万円を達成、昨年は二〇七店、年商一〇四億円以上を計上することができました。現在、出店できない県も若干ありますが、来年半ばには三〇〇店を達成、その時点で全国を網羅します。

‐‐大衆に愛されるカレー店を独自のノウハウで運営されていますが、バブル崩壊の影響は。

宗次 細部において影響は確かにありますが、既存店ベースでは一・五%の伸びを確保しています。これまで数年続いたバブル時の高い伸び率を維持しての伸びですから、当社の場合恵まれているといえるでしょう。また、この4月にメニュー改定をしましたがその効果が徐々にでてきており、4月集計から五~一〇%と元の伸びを示すことができると思います。それは、多くのお客様が「CoCo壱番屋のカレーを食べたい」という目的意識をもって来店いただいており、それだけに商品に関しては絶対的な自信があります。

おいしいカレーを提供するのはもちろん、さらにカレーの辛さ、量、具のトッピングなどといった、豊富なメニューからお客様が好みに応じて選んでいただける楽しさを提供していることもリピーター増員につながっているのではないでしょうか。しかも、客単価は平均八四〇円とリーズナブルプライスですから、必ず満足していただいていると自負しております。

また、メニューも基本メニュー二八種類のほか、ファミリーでも満足していただけるお子様カレー(五〇〇円)をはじめジュニア・メニューも七アイテム用意、さらにトッピング四アイテム、サラダ五アイテムやドリンク、また、当社自慢のカレーソス、ドレッシング、サラダなど“テイクアウト”にも力を入れています。

‐‐貴社の社員教育は業界でも注目されていますが……

宗次 これだけの規模になれば繁盛店を出せる立地の選定と、それを運用する人材スタッフの育成が重要なことです。

この人材教育と育成についてはいかなる時でも企業経営の基本であると同時に、最も重要なファクターです。まず、採用においては若者はもちろん、最近増加傾向にある中、高齢者の方も今までの社会経験をうまく出せればと注目しています。

また、当社は無駄な販促費を使わず、お客様の口コミで売上げを伸ばすことを目標にしているため、それだけに人材の育成が最も大切になってくるわけです。そのため社員教育の基本を“原点を見つめ直す”ことに置き、私どもは創業以来QSC(クオリティー、サービス、クリンリネス)を徹底的に追求し、とくに接客サービスマナーは“ニコニコ・キビキビ・ハキハキ”を心がけてきています。というのも、基本をマスターできなければ他の専門的な仕事もうまくいかないと思いますし、現実にそういう結果がでています。

これまでは他社や近隣のお店との比較ではお客様から評価をいただいておりますが、実際、当店毎でもサービスによる格差がでますから完全ということはありません。こんごさらに社員教育を徹底し、よりお客様から愛されるお店づくりを目指していきます。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら