トップシェフの旬菜塾:8月 枝豆
マメ科ダイズ属。原産地は中国説が有力。大豆自体は弥生時代に渡来したと考えられている。未成熟な大豆である枝豆を食べ始めた時期ははっきりしないが、鎌倉時代の文献に登場している。枝豆用に栽培されたのは17世紀末期(江戸時代)。このころには枝豆売りの声が飛び交い、夏の風物詩に。栄養素は大豆に似ているが、大豆に含まれないビタミンCが豊富。100g中134kcal(ゆで)
(野菜提供=(株)つま正)
◆分とく山 野崎洋光店主
○枝豆あられサラダ
■使用食材(2人前)
枝豆(150g)トマト(100g)ブロッコリー(100g)カリフラワー(100g)塩(適宜)A(サラダ油75ml、ごま油15ml、酢60ml、醤油30ml。炒りごま大1)
■調理方法
(1)枝豆は両端を切り、塩もみして、塩分4%濃度の熱湯で3分30秒ゆでる。ゆで上がったらうちわであおぎ冷まし、殻と薄皮を除去。
(2)トマトは湯むきし、枝豆と大きさをそろえて角切りにする。
(3)ブロッコリーとカリフラワーは下ゆでし、枝豆と大きさをそろえてカットする。
(4)(1)(2)(3)を混ぜて器に盛り、合わせたAをかける。
■ポイントと応用のヒント
大きさをそろえると、味、食感のバランスがよくなり、たくさん食べられる。食感に変化を出すため、キクラゲを加えてもよい。同じ材料でトマトを除けば、かき揚げにできる。
■枝豆を生かすポイント
夏の色味に欠かせない食材です。ゆで湯は塩分濃度4%で。例えば湯1mlなら塩40g。塩もみするのは色よく仕上げるため、両端をカットするのは塩味を豆にしみ込ませるため。加熱時間は豆の太り具合にもよりますが、5分以上はゆですぎです。つぶして豆腐などにも利用しますが、見た目で季節感を強く打ち出せる食材なので、粒利用の方がお薦めです。
◆アクアパッツァ 日高良実オーナーシェフ
○枝豆とスプラウトのサラダ
■使用食材(2人前)
枝豆(30~40粒)、スプラウトミックス(1パック)トマト(1/5個)パン(焼いてあるもの適宜)ワインビネガー(適宜)ユズコショウ(極少量)塩(適宜)コショウ(適宜)EXVオリーブ油(適宜)
■調理方法
(1)塩ゆでした枝豆をボウルに入れ、ユズコショウ、塩、EXVオリーブ油であえる。
(2)トマトを5mm角程度に小さく切り、スプラウト、パンとともに(1)に加える。
(3)塩、コショウ、ワインビネガーで味を調える(特にパンにビネガーを吸わせるようにする)。
■ポイントと応用のヒント
パンは、クルトンでもよい。トウモロコシなど、枝豆と同じような形状で夏を感じさせる食材を加えても。
■枝豆を生かすポイント
丸のままのほか、スープやずんだ風に粗くつぶすなど、独特の食味や食感を生かしたい野菜です。汗をかく夏に食べるので、ゆでる際に塩を効かせると甘さも引き出せます。味付けは塩味のほか、酸味を効かせさわやかに。若い大豆である枝豆を食べる習慣はヨーロッパにはありませんが、イタリアソラ豆「ファーベ」が似ていますね。
◆ヒルトン東京ベイ「王朝」宮本莊三料理長
○枝豆のサンショウ風味漬け
■使用食材(4人前)
枝豆(500g)赤唐辛子(種を取ったもの7本)長ネギ(35g)ショウガ(薄切り40g)粒サンショウ(大1.5)A(水1ml、酒50ml、塩大2)
■調理方法
(1)長ネギはぶつ切りにし、包丁で軽くたたき香りが出やすくする。
(2)Aを鍋に入れて加熱し、沸騰したら火を止めて赤唐辛子、(1)、ショウガ、粒サンショウを入れて冷ます。
(3)枝豆の角をハサミでカットし、アクを取りながら塩ゆでする。
(4)(2)に、水気を切った熱いままの(3)を入れて漬け込む。
■ポイントと応用のヒント
味付けの塩は強めぐらいがよい。ニンニクを加えるとスタミナメニューに。同じたれで枝豆のほか、サッとゆでたフキ、ウド、セロリなど食感のある野菜を利用しても美味。
■枝豆を生かすポイント
炒め物、押し豆腐とのあえ物など、ソラ豆が終了後中華でよく利用します。今回ご紹介したレシピは実際にお通しとして店で提供しています。クセがない上、色あせしにくいので色味を生かしやすいですね。ゆでたあとで味付けする場合は、味が入りにくいので濃いくらいのたれで。また、たれは必ず1回沸騰させて香り出しを。保存性も高まります。