施設内飲食店舗シリーズ 「ニューピア竹芝」 モデル事業として注目

1993.09.06 35号 8面

JR浜松町駅北口から海岸通り方向へ歩いて七、八分。東京ウオーターフロントの地域都市「ニューピア竹芝」は、地下三階、地上二四階建てのノースタワーおよび地下三階、地上二一階建てのアジュール竹芝の二棟(北ゾーン)の高層複合ビルと、このビルの間に展開する低層のニューピアホール・レストランコート(ザ・ガーデン)および海上公園(中央ゾーン)から成っている。

東京都のウオーターフロント開発における第一号プロジェクトとして、竹芝ふ頭および周辺地域を再開発して誕生したものである。

全体計画を一、二、三期に分けて具体化しており、昨年2月までにビル棟計画の二期工事を、今年5月にはアジュール竹芝の南側に海上公園の整備を完了している。

第三期計画内容は、オフィス棟をはじめ、商業施設、ホテル、海上バス乗り場(南ゾーン)を建設するもので、平成7年を完成目標として現在工事を進めている。

これら再開発プロジェクトは、第三セクターの竹芝地域開発㈱と東京港湾局、同職員共済組合の三者によって具体化されているもので、東京臨海部のモデル事業としても広く注目されている。

計画面積一万四〇〇〇坪、総工費約一二〇〇億円(推計)を投入して業務、商業、宿泊、遊の地域都市を建設するプロジェクトで、すでに海と親しめる話題のスポットとして、来街動機を喚起している。

これら複合都市ビルにおける飲食施設は、ノースタワーに中国料理の「銀座アスター」(二四階)、和食レストラン「竹泉」(四階)、無国籍料理「ザ・ガーデン」、「ガーデンアネックス」(各三階)の四店舗。アジュール竹芝にスカイレストラン「ベイサイド」(二一階)、ラウンジ「レスカール」(四階)、しゃぶしゃぶ・会席・割烹「銀■(ぎんざ)」(三階)の三店舗の計七店舗が出店している。

なお、ノースタワーは五階から二三階までの一九フロアがオフィスで、現在の就業人口が約一〇〇〇人。アジュール竹芝は東京都職員共済組合が運営(委託運営藤田観光)する施設で、総合検診センターほか、プール、アスレチックジム、サウナ、結婚式場、大中小宴会場、宿泊施設(一〇一室)を展開する都市ホテルとしての性格にある。

ノースタワー、アジュール竹芝の飲食施設三店舗を紹介する。 (9面)

◆会席・割烹「銀座」

木造りの内装。入口から向かって正面にカウンター席、右手に海の見えるテーブル席、左手には離れの形で個室スタイルの座敷をレイアウトするという変化のあるフロア構成になっている。

収容人数一〇〇名。ゆったりとした空間の広がりが心を落ち着かせる。

「銀■」といえば、藤田観光が経営するワシントンホテルに出店する高級レストランとして知られているが、アジュール竹芝は宴会、宿泊施設があって、しかも藤田観光が委託運営していることから入居している。

この営業形態は、パターンどおりに朝サービスが7時~10時、ランチタイム11時30分~14時、ディナータイム17時30分~22時までというスリーシフトで、宿泊者および地域来街者の多様な飲食ニーズに対応している。

料理は朝が和洋定食一二〇〇円、昼は牛しぐれ煮重一六〇〇円、天ぷら御膳一八〇〇円、刺身御膳二〇〇〇円、松花堂三〇〇〇円、芝御膳三五〇〇円、浜御膳四五〇〇など。

夜は看板料理の上しゃぶしゃぶ三八〇〇円、特選和牛しゃぶしゃぶ四八〇〇円、上しゃぶしゃぶ会席六〇〇〇円、特選和牛しゃぶしゃぶ会席七〇〇〇円など。

このほか、造り、煮物、焼物、揚げ物などの一品料理五〇〇~二〇〇〇円前後もラインアップしている。

価格的にはアッパークラスに入る料金体系なので、客層のグレードも高く、企業の管理職や法人の接待利用、グルメ客といった客層で、ランチタイムを除けば、一般ビジネス客は少ない。

平均客単価は朝一二〇〇円昼二五〇〇円、夜八〇〇〇円といったところで、客回転は昼が二、三回転、夜一回転前後で、トータルの集客数はまだ目標のアンダーという状況だ。売上げ構成比は朝一〇%、昼二〇%、夜七〇%といったウエートで、当然のことながら客単価が高いだけに、夜の貢献度は大きい。

◆無国籍料理「ザ・ガーデン」

北ゾーンのニューピア竹芝の三階アトリウム部分に位置しており、昨年3月のオープン。店舗面積五七〇坪、一一八卓四六〇席の大規模レストランで、ピュアな食材を多用して和洋中のクロスオーバーメニューを提供するという“無国籍料理”を売り物にしており、「セルフコンシャスレストラン」(自然の中で自然を食べる)をコンセプトとしている。

店舗コンセプトのとおり、天井高一二mという広い空間に加え、総ガラス張りの明るい空間で、しかも南国育ちのガジュマルやベンジャミン、シュロといった樹木二〇〇本を植えた自然植物園といった趣きもある。

このため、天然素材の魚介類と肉、野菜類を使った料理を、自然の雰囲気の中で食するという店舗コンセプトにはウソはないわけだ。

店舗は単に広い空間というだけではない。全体を九つのシーンに区分してそれぞれに特色をもたせた客席環境をアピールしている。

料理と価格は、日替りランチ一〇〇〇円、ディナータイムがコース料理で四〇〇〇円、アラカルトが八〇〇円から。またアルコール主体のバーラウンジがビール六〇〇円、カクテル八〇〇円からといった内容で、この営業シフトは11時30分から14時までがランチタイム、17時30分から22時30分までがディナータイムという形態。

主力の客層は二〇代後半~四〇代のOL、ビジネスマンなど男女半々ということだが、店舗空間が店名どおりに自然の雰囲気と広がりがあるので、若い男女のデートスポットという使われ方に加えて、結婚披露宴や企業のパーティー会場としても利用されており、多目的レストランとしての機能を発揮している。

特に、結婚披露宴については意外な使われ方で、当初から見込んでいた利用形態ではない。土日が主体になるが、一〇〇名単位の利用で平均消費単価一万五〇〇〇円。あらかじめ最低利用料金として税別で一五〇万円を徴収するというシステムをとっている。

◆中国料理「銀座竹芝」

昨年6月オープン。ノースタワーの二四階(最上階)ワンフロアを使っての出店で、一般席一〇〇席、バンケットルームが立食スタイルで二五〇名、着席で一八〇名、VIPルームで一〇名の計三〇〇名以上を収容できる大型店。

中国料理全般でコース料理が四〇〇〇円から。11時30分から15時までのランチサービスは一〇〇〇~一八〇〇円で、常に五種類をラインアップしている。

単品メニューは二〇〇〇~二二〇〇円が中心価格で、一品当たりのボリュームは三、四人前くらいはある。

コース料理に加えて、さらに豪華な料理をということで、8月末までに一万二〇〇〇円(税・サービス料別)で「美味宴席」のサマーキャンペーンを実施している。

この料理内容はオードブルスープ、甘煮三品、焼そば、デザートなどがセットになっているもので、最上階で海を眺望しながらリッチな食事をという趣向のもので、7月中旬から実施している。

客層は日中のランチサービスがビル内のオフィスワーカーや地域のビジネスマン、OLなど。夜のディナータイムは地域の法人客や地域外からのファミリー客、カップル客など。このほか、宴会客も多く、独自の集客力を発揮している。

客単価はディナーで六〇〇〇円から八〇〇〇円。食事以外には一〇名単位で二〇〇〇円の飲み放題も実施しているので、夜はアルコール主体の客も増える。

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