中国料理 最も基本的な調味料 塩・油・酒

1993.10.04 37号 11面

塩、油、酒は中国料理の最も基本的な調味料である。中国は塩の種類の多い国で、海塩のほかに、岩塩、塩湖からとれる池塩、深い井戸を掘って塩水を汲み上げてつくる井塩などがある。

中国料理の料理法の中で、最も多いのは炒(炒め物)で、これに次いで炸(揚げ物)が多い。

油を多く使用することが、中国料理の特徴のひとつである。豚の多い国だが、食用油の主流は植物油である。食用油脂原料は大豆、落花生、油菜(菜種)、コショウ、綿実、麻、シソ、油茶、ヤシなどで、この中で大豆、油菜、ごま、落花生が四大油料作物といわれ、全体の九〇%以上を占めている。北方では特に大豆油を多く用いる。

動物性脂の主流は豚脂(ラード)で、植物性油では大豆だが、調味料用としてはごま油(香油、芝麻油、大糟油)が最も多く用いられる。大豆油で炒めた料理でも、最後にごま油一滴をたらす。

中国のごま油は、ごまを炒ってから搾油する。食卓調味料のラー油は、唐辛子とごま油で炒めて作ったものである。

酒を調味料的に用いるのは世界共通である。中国でも、料理に用いる酒を料酒といってよく使う。酒は大別すると、紹興酒などの醸造酒(黄酒)、汾酒、茅台酒、大曲酒などの蒸留酒(白酒)になるが、料理用に用いられるのは醸造酒である。

例えば、山東の紅米酒、南方に多い糯米酒などのように、日本のみりんと製法は異なるが、同じように甘味の強い酒が料酒として適している。

また、海鮮醤(ハイセンジャン)という広東省特産の甘味の強い、練りみそ状の醤があり、「甜麺醤」(ティエンミエンジャン)と基本的には同種類の醤である。

海鮮醤はなじみの深い安価な調味醤で、はん用性に富んでいる。広東料理の人気上昇につれて海鮮醤の存在も見直されてきた。小麦粉、唐辛子、ごま油、にんにく、酢、砂糖、水、塩などを原料とした独特の醤で、外観が日本の八丁みそに似ていて、甘味があるのが特徴である。

最近の消費者のし好に合った海鮮醤は味だけではなく、健康志向にも合った調味料として評価されている。

海鮮醤は一般に付け合わせ醤としてよく使われる。においを消したり、風味を増したり、調理技術の離合集散の材料として、いろいろな面で活用されている。

海鮮醤は料理人のアイデア次第でいろいろな顔を持ち、表情豊かな醤になる。北京ダックのつけみそにはよく使われるが、炒めものに甘味と風味を加えるのにも使われる。

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