横浜・八景島シーパラダイス 初年度入場目標はや5カ月で達成

1993.10.04 37号 14面

今年5月、横浜金沢八景に海と人とのコミュニケーションアイランド『横浜・八景島シーパラダイス』がオープンした。八景島は横浜市の「横浜市海の公園島部開発基本構想」により、金沢区の海上部分を埋め立てた人工の島で、総面積二四㌶(七万二〇〇〇坪)の規模をもつ。このうちの約二万一〇〇〇坪を借地(三〇年間)する形で、上物施設を建設したもので、総建設費五五〇億円を投じている。

事業主体は㈱横浜八景島(本社・横浜市金沢区八景島、資本金三二億円、黒田昭社長)で、同社は90年2月、西武不動産、日産自動車、新日本製鉄、横浜銀行、第一勧業銀行、京浜急行、清水建設、東亜建設工業、安田信託銀行など九社の共同出資によって設立したもので、レジャー事業の展開を主目的としている。

施設はアクアミュージアム(水族館)、ベイマーケット(各種ショップ、レストランなど)、オープンマーケット(各種ショップ、飲食施設)、プレジャーランド(遊機具)、カーニバルハウス(アミューズメントマシン、他)、シーパラダイスマリーナ、海上レストラン、その他から成っており、海洋性レクリエーション拠点という位置づけだけに、開放的で、より親水性の強いレジャー施設(ゾーン)となっている。

同施設の特色は、まず、自転車、オートバイ、自動車の乗り入れを完全にオミットしていることで、島全体が公園という形になっている。もちろん、施設の近接地まで鉄道(金沢シーサイドライン)や自動車でアクセスできるのだが、施設ゾーンに入るにはすべて徒歩ということになっている。

このため、島では安心してくつろげるし、施設から施設へと自由に往来することができる。

一方、施設面での最大の特色は、ピラミッド型五階建てのアクアミュージアム、延べ約五〇〇坪、総水量一万二〇〇〇t、五〇〇種一〇万点の生物を展示しているということで、これは日本最大級の施設規模だ。

また、同施設は三階から一階までを“アクアチューブ”(水中トンネル‐日本初のエスカレーター)で結んでおり、天井および壁面のガラス越しに回遊する魚群を見ることができる。

このほか、全体で四万個という世界最大のランプ数を誇るメリーゴーランド、全長一二七一mのキャメルバック型海上走行風コースター。

これは、最高部で四四mで、海上に約八五m突き出ており、海から空へとダイナミックな走行が楽しめる。

コースターのコースデザインは“海”をテーマにしたオリジナルで、日本初の斬新な施設だ。

施設の営業形態は、平日10時~22時、休日9時~22時で、島への入場は無料のほか、飲食についても、TDLなどと異なって、自由に持ち込むことができる。

初年度入場者数を約二〇〇万人と見込んでいるが、平日、休日ともに来場者は多く、オープン五ヵ月ですでにこの目標数をクリアしているという。

今年は夏の期間が少なかった反動で、人出が予想以上に多かったという解釈もできるが、問題は冬場にどれだけの集客が可能かということだろう。

施設利用、料飲を含む初年度売上げは一六〇億円を見込んでおり、現時点では目標は十分にクリアできるとみている。

レジャー施設については、「知・遊・スポーツ」をコンセプトに多様な施設を組み込んでいるが、飲食分野についても大小合わせて多様な施設を展開している。

飲食施設は全部で二五店舗(左掲)を展開しており、スナック、ファストフードショップから、ディナータイプの和・洋・中レストランまで幅広く、多様な飲食ニーズに対応している。

これら飲食施設は、「レストランゾーン」に一〇店、「エコロジカルライフ」、「シーサイド」、「シーパラダイス」各一店、「センターハウス」三店、「オープンマーケット」九店という出店内容で、それぞれに独自の賑わいをみせている。

しかし、施設的に集客力を誇っているのは、スナックやファストフード、カフェテリア、点心、飲茶といった業態で、単品単価の高いところはどうしても敬遠されているようだ。

やはり、利用客が値頃感を認めるプライスゾーンは、単品で三~四〇〇~一五〇〇、二〇〇〇円前後で、それ以上は敷居が高くなるということだ。

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