お店招待席 居酒屋「屋台村」(大宮) アジア無国籍料理

1994.02.21 46号 8面

食品スーパー改装

JR大宮駅の東口を出る。西武デパートの前を通って大栄橋方向へ。国道一六号線を渡って“キタギン通り”を行く。

居酒屋や小料理屋など小さな飲食店が点在するが、さらに進むと特殊浴場などが建ち並ぶ“ピンクゾーン”だ。

正直いって立地環境がよいとはいえない。昨年12月のオープン。以前は食品スーパーだった。それを改装しての出店で、日本人に加えてアメリカ、イラン、中国、フィリピン(近い将来タイ、パキスタン、バングラデシュが加わる予定)など多国籍の従業員が働く店であるほか、アジア料理と無国籍料理を売りものとしている店だ。

店は鉄骨二階建て。二階は事務室とバックヤードとして使っている。店舗面積約二三〇坪、客席数二五〇~三〇〇席。この店はカラオケルームも併設しており、全体のうち三〇坪がこのスペース。

改装資金三五〇〇万円。厨房設備費などを加えると四〇〇〇万円前後の投資だが、改装のポイントとしては、スーパー当時の加工ブースは厨房に転用、天井と壁面はカラーペインティング。床はPタイルが張ってあったが、そのままにして、破損した部分を取り換えた。平台は、テーブルに生かせるものは生かして使うという考え方で、構造的には客席フロアを六〇坪ほど増築した程度で、マイナーチェンジの工事にとどめている。

改装資金五〇〇〇万円としても、坪当たり約二二万円という低コストで、最少の設備資金で業種転換を実現。この費用対効果は大きい。

オープンして間もないので店の存在はまだ広くは知られていないが、日を追ってクチコミで客が増えてきている。

売上げは平日で五〇万円、金、土曜日で倍の一〇〇万円といったところだが、平均日商六〇万円としても月間一八〇〇万円の売上げで、単純計算すれば、三ヵ月で元を取るということになる。

客単価2600円

店の売りものは前述したように、アジア料理と無国籍料理だが、これはフィリピンや韓国料理などに加えて、無国籍の大皿料理、焼きとり、おでん、お好み焼き、焼きそば、すし、フルーツ、バーコーナーなど九業態(コーナー)から成っており、店名どおりに屋台を集合させた運営形態だ。

メニュー単価は主力の大皿料理が三〇〇円から。定番メニューの焼きとり二本三〇〇円から、おでん一品一〇〇円から、お好み焼き、焼きそば各五〇〇円から、刺身一皿五〇〇円から、手巻きずし二本セット三〇〇円から、チャーシューラーメン六〇〇円など。やはり低価格志向の価格政策になる。

アルコールはタイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム、インド、シンガポールなどアジア各国のビール(五〇〇円均一)をはじめ、サワー(四〇〇円)、日本酒(六〇〇円)、ウイスキー(シングル三〇〇円、ダブル五〇〇円)、カクテル(五〇〇円)とほとんどのものを揃えており、飲んでよし、食べてよしの運営形態にある。

客単価二六〇〇円。客層は若者から中年のオジサンまでさまざまだが、二、三人から四、五人連れとグループ客の利用が多く、キタギン通りのコミュニティースポットとしてのイメージを高めつつある。

併設のカラオケルームは四〇人以上収容できるテーブル席スタイル。室料無料一曲二〇〇円というシステムで、店の屋台料理やアルコールを持ち込むことができる。

このため、ストレートにカラオケ利用の客も多いわけだが、駐車場(三〇台収容)も完備しているので、遠方からの目的客も増えてきている。

「正直いって場所にハンデがあるところです。店舗としてはエキサイティングなんですが、ファミリー客や若い女性たちにはちょっと抵抗があるようです。だけど、店は広いですからいつきても座われますし、料理もバラエティーに富んでいますから、一度利用していただければおもしろい店と評価していただけると思うんです」と話すのは田島伸二店長(32)。

田島店長は埼玉県川口市の出身。山梨大の土木工学を卒業してサービス業の世界に入ったという変わり者で、以前は甲府でディスコの店長をしていたこともあった。

店の経営は(有)旬鮮(本社=大宮市、宮城功治社長)で、地元大宮でクラブやレストラン、ディスコ、カラオケ、パチンコなど幅広く事業を展開している高収益の企業だ。

(しま・こうたつ)

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